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東京駅、赤レンガ駅舎

丸の内駅舎は建築家の辰野金吾によって設計され、1914(大正3)年に完成した。軟弱な地盤を改良するために約1万1000本の松杭が打ち込まれ、構造には鉄骨レンガ造りが採用された。頑丈な駅舎は関東大震災にも耐えたが、焼夷弾の直撃を免れることはできなかった。1945年5月25日の米軍のB29による大空襲で、駅舎は炎に包まれドームや3階部分が焼失した。復興工事を担当した松本延太郎は、資材が不足しているために応急処置的にドーム型の屋根を八角形にして2階建ての駅舎を再建、そのまま半世紀以上が過ぎた。赤レンガが美しく映える東京駅は、2003年に重要文化財の指定を受けた。歴史的な建造物の保存・修理には、失われたものを、かつての姿通りに新しく作る「復元」と、始めの姿が改造されたり変化してしまったものを元の姿に戻す「復原」がある。2007~2012年の復原工事で、丸の内駅舎は3階建てに戻り二つの丸型ドームは復活を遂げた。元の丸型ドーム屋根に復原する動きは、石原慎太郎都知事(当時)が、JR東日本社長に打診したことが発端。東京駅の空中権(駅舎の上空の余った容積率を周辺のビルに移転することが認められる)を販売することで500億円を調達、JRは慣れ親しんだ駅舎を残すために高層化しないという判断を下した。2024年に発行される新一万円札の裏面には、丸型ドーム屋根の東京駅赤レンガ駅舎がデザインされる。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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