10年間ずっと売れなかった話

はじめに

この1年で、やっとアプリが形になった。
毎月15万~20万円の売り上げがある。

10年かかった。
アプリ開発、ブログ、YouTube、なぜか漫才まで。
全て無風に終わった。

でもそれぞれの失敗には確かな違いがある。
その違いこそが、今の売り上げに繋がっている。

では、10年分の失敗を順番に見ていこう。

10年分の無風案件たち

ブログ作成(規模:一人)

  • 論文のような厚みのある記事を書こうとした

  • エビデンスを集めて3ヶ月に1本しか投稿できず

  • 月4000円程度の収益

  • 100点は要らない、毎回80点でいい

  • つつかれる隙があった方が作品は伸びる

100点を求めて、逆に記事が重たくなってしまった。読者は論文を読みに来たわけではない。少しの隙があった方が、むしろ議論が生まれて記事は育っていく。指摘されるダサさを許容できない。当時の若い僕はそんな簡単なことも受け入れられなかった。

アプリ開発①(規模:二人)

  • 落ちてくる雲をねこが避けるアクションゲーム

  • 開発未経験者二人でゴールデンウイークに一気に作った

  • アプリの申請で1ヶ月かかった

  • 月3000円程度の収益

  • XとInstagramの公式アカウントを作っただけで、宣伝をほぼ考えなかった

作ることに夢中になりすぎて、その先を考えていなかった。いや、燃え尽きてしまったのだ。アプリ開発はスタート地点に過ぎない。リリース後の展開を考え、そして実行できなければせっかくのアプリも埋もれてしまう。

アプリ開発②(規模:二人/未リリース)

  • サバンナでシマウマを捕まえるアクションゲーム

  • 素材を買うだけ買って満足

  • サバンナという空間をスマホ内で表現するのは現実的ではなかった

  • 範囲を狭くしたことでアイディアの魅力が半減

  • 作る手が止まり、収益は0円

この失敗は最も多くの人が経験しているかもしれない。アイデアが大きすぎて、現実的な実装を考えた時点で魅力が失われてしまう。スケールを小さくしても面白さを保てる企画かどうかを、最初に見極める必要があった。※言い訳だがこの時期に離婚イベントがあったので、普通に人生が大変だった。

EA開発(規模:一人)

  • FX(外国為替証拠金取引)の自動取引システム開発

  • 運用中は常時監視が必要な仕様

  • 誰にも売らず自分用に改良を続けた

  • 合計20万円ほどの収益

  • 法的な規約を固める自信がなかった

若さもあって、メンテナンスの責任を取る覚悟が持てなかった。技術的な課題以上に、運用面での制約が大きかった。今だと利用規約まわりは生成AIでたたき台くらいは簡単に作れるだろう。現在は自身の運用のために改良を続けていくに落ち着く。

番外編

アプリ開発(規模:友人一人)

  • リズムゲー×ボディビル×大喜利の複合系

  • ボディビルの3Dモデルを自作

  • 「何をするゲームか」が分散しすぎた

  • 月数円の収益

  • 検証に時間がかかりすぎた

一つの要素に絞れば面白かったかもしれない。全部盛りは、開発時間も長くなり、ユーザーにも伝わりにくい。シンプルに作って、反応を見てから機能を追加する方が良かった。売れるかどうか判断するのは市場なので、いかに作ってから市場に届けるまでを短くできるかが個人開発の鍵だ。

動画投稿(規模:二人)

  • 妻がゲーム実況を担当

  • 編集、ブランディング、広報を担当

  • 他の失敗例の中では最も視聴された

  • パートナーとやる気の違いがあった

  • 収益化には至らず、収益は0円

他の失敗と違って、一定の反響はあった。でも一番難しかったのは、パートナーとの温度差だった。こちらの熱量を無理に押し付けるわけにもいかず、その温度差の調整に苦心した。※途中でめちゃくちゃ離婚した。

漫才(規模:二人)

  • アプリとは全く関係のない挑戦

  • ツッコミをやることになったが人生でツッコんだことがない

  • やりもしないコントもいっぱい書いた

  • 照れすぎてあまりうまくできなかった

  • 収益は0円

人生経験の幅を広げようとしたのは良かったが、自分の性格をもっと考慮すべきだった。「やってみたい」と「できる」は違う。おもしろいことへの関わり方は色々ある。当時の自分には焦らなくていいと言ってあげたい。本当はいつかまたやりたい。

無風時代が教えてくれたこと

完璧より継続。
市場に早く届けること。
リリースは開発の半分でしかない。

たった3行だが、これらの当たり前に気づくまでに10年かかった。

完璧を求めすぎない

ブログ時代の僕は、論文のような厚みを求めた。エビデンスを集め、隙のない記事を目指した。でも読者は論文を読みに来たわけではない。今なら分かる。少しの隙を与え、ユーザーを巻き込んで一つのコンテンツを作り上げていく方がいい。

市場に早く届ける

シマウマのゲームもボディビルのゲームも、作り込もうと頑張りすぎた。売れるかどうかは市場が判断すること。それなら、最小限の機能で、とにかく早く市場に届けるべきだった。

リリースは始まりでしかない

ねこのアプリの失敗が教えてくれた。リリースは開発の半分でしかない。その先の展開を考え、実行する体力を残しておかなければならない。作って満足して燃え尽きても、アプリは誰にも届かない。

アイデアと実現可能性

「面白そう」と「作れる」は違う。シマウマのゲームは、サバンナという壮大な空間をスマホで表現しようとして破綻した。スケールを小さくしても面白さを保てる企画かどうか。これは最初に見極めるべきだった。

パートナーとの温度差

動画投稿では、初めて「他人」と真剣に向き合った。技術的な課題より、相手のモチベーションの共有の方が難しかった。自分の熱量を押し付けることはできない。これは今でも重要な学び。

人生の波と向き合う

開発の途中で離婚もあった。人生の波は予期せぬタイミングで訪れる。だから「今ここで絶対に成功させる」という気負いは持たない方がいい。失敗しても、また始められる。その余裕を持っておくことが、逆説的に継続する力になる。

まとめ

10年の無風期間は、決して無駄ではなかった。
単に時間だけが過ぎたわけじゃない。

ブログで完璧を求めすぎて失敗したから、今は適度な妥協ができる。
動画投稿でパートナーとの温度差に苦しんだ経験が、今のチーム開発に活きている。
人生の波に翻弄されながらも、諦めずに続けてきた。

結局のところ、才能でも運でもない。
10年分の無風が、今の風を起こしている。

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