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車にまったく興味のない僕が選んだ車

ミラージュというクルマをご存知だろうか。

今から30年程前、僕が学生の頃は、それなりに流行っていた三菱の車である。ちょうどコンビニのバイトの先輩が赤のミラージュに乗っていて、先輩の冴えない外見とは裏腹に当時はイカした車だったのだ。ところが、時代の流れは残酷で、いつの間にか、その存在は世間から忘れ去られるようになってしまった。ミラージュとは、「蜃気楼」という意味なのだが、まさに蜃気楼のように現代社会からその姿を消した車である。

僕は車にまったく無頓着で、走ればそれでよい、と思っているタイプなのだが、ちょうど中古で購入した軽のワゴン車が10年を過ぎて車検を迎えようとしていたので、半分冷やかしのつもりでビッグモーターへ行ってみた。

CMに釣られて行ってみたビッグモーターだったが、営業マンは、ほとんどが髪型をツーブロックにして、先の尖った革靴を履いてるようなタイプで、事務の女性達も厚化粧にピアスをチラつかせている。どうも、量販店と携帯ショップの店員は好きになれない。

「いらっしゃいませ!今日はどういったことで・・・」

「あの、ちょっと車を見に」

「そうですか!こちらへ、どうぞ!お飲み物は何になさりますか??」

こちらの希望は明確だ。軽自動車でできるだけ安い車。走ればいい。初めからそう言ってるのに、安全性がどうの燃費がどうのエコがどうのと余計な車を薦めてくる。ところが、僕はある意味ラッキーだった。どうやら対応してくれた営業マンは新入社員で、営業成績がよくないらしい。どうしても成約して欲しいという思いがひしひしと伝わってくる。僕も鬼ではない。安くて良い車があれば成約してあげようじゃないか。

そして、彼の口から出た隠し玉が、3年落ち40万の「ミラージュ」だった。もう、その存在すら忘れていたが、数年前に知らぬ間に復活していたらしい。スタイリングも悪くないし、三菱ということに拘らなければこの価格は安い。当初考えていた軽自動車よりも全然安いのだ。しかも、1000Lだから、諸経費も軽自動車とさほど変わらない。そして、僕は格安でミラージュを手に入れた。

ところが、先日、日経新聞を読んでいると、そのミラージュ君がリコールになっているではないか。三菱のディーラーへ行くと、ゴーンショックのせいか、店は閑散としている。

「あの、ミラージュなんですが、あの、あれです、えーと、、、」

「リコールですか?」

「あ、それです。リコールって聞いたもんで」

「車検証を拝見させていただきますね。何か飲み物でも」

メニューを見せていただいて、ホットのカプチーノをお願いする。程なくカプチーノが出てきて、冷えた身体に温かいカプチーノを流し込む。

薄っ!!

カプチーノというよりも午後ティーミルクティーをお湯で薄めたような味がする。コンビニのほうがまだうまい。まあ、タダだから文句も言えまい。程なく、「今日はたこ焼きをサービスしております」といって持ってきた。

先!たこ焼きが先!!ドリンク聞く前にたこ焼き情報が先!

どこに、カプチーノ(しかもホット)飲みながらたこ焼き食う輩がおんねん!!

「すぐにノンアルコールビール持ってこい!」

とも言えないので、薄いカプチーノをすすりながらたこ焼きを食べる。たこ焼きは、それなりにうまかった。

リコールはエンジントラブルで、コンピューターの書き換えだけで30分程で作業は終了した。ついでに洗車もしてくれた。僕は洗車しない派なので助かった。

帰りがけに、「なんかエンジン音が変な音してるんですよね。。」と、店員に捨てゼリフを吐かれたが、無視して帰る。エンジンは、どうも回転数がおかしいことがあり、何度かビッグモーターにクレームを付けたが、「問題ありません!」と片付けられていたので、これを根拠にビッグモーターにクレームを付けてやる。

ちなみにミラージュ君を買ってから2年が経つが、まだ1台しか実際に走っているのを見たことがない。

まさに、蜃気楼のようなクルマである。

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