青森山田のサッカーを褒めたい。

AFCU-23の敗戦についてまとめている最中、高校サッカーの決勝戦が終わったので、急遽書いてみました。
表題の印象とは異なり、静岡学園のサッカーについてのアンチ的な意見も多く書いてしまったことを、先に述べておきます。

大逆転を果たした静岡学園だけど、個人技に執着してチャンスを何度もフイにしていた印象。一方、後半は失速したものの、青森山田はスペイン1部リーグのFCバルセロナのサッカーを彷彿とさせるコンビネーションを見せた。両者は対照的なチームプレイに見える。個人的には当然、青森山田のサッカーが好きです。

結果が結果なので、静岡の方が褒め称えられているようだけど、連携すればチャンスに繋がるというのにそれがわからず、個人技に執着してチャンスをフイにする場面が多かった静岡のプレイスタイルは好きではない。連携を無視しても許される個人技というのは、それだけで試合を左右する程の力量があってこそ許されるものであり、チームスポーツであるサッカーとは真逆の理屈の上にあるものであると私は思う。チャンスを何度も潰してしまった静岡学園のサッカーは、その事実故に「もっといいサッカーができたのではないか」との指摘に対して、理屈ではなく、勝利という結果でしか反論できない。格上の相手には歯が立たないだろうと思う。高校サッカーでは日本一に輝いたイレブンだが、この先の世界で通用するかどうか。見守っていきたい。

勿論、悪口を言うのが目的ではなく、各選手の頑張りを否定するつもりは無い。ただ、「サッカー観戦が好き」で「Jリーグを見ることが好き」な一個人の私は、手放しで褒めるのはどうなのと思ったわけであります。この静岡学園が育てたサッカーは、果たして日本のJリーグや代表チームに良い影響をもたらすものだろうか。

また、個人技が悪いと言っているわけでもありません。個人技に執着してチャンスを潰すことが許せないと言っているのです。「仲間の頑張りを一人で無駄にすんじゃねえよおめー」と言いたくなる。ふざけんな。

試合に出たい大勢の選手を押しのけて、ピッチに立つことを許された選ばれし11人なのです。舐めたパフォーマンスをすれば、厳しいことを言われるのは当然です。本当に勝てて良かったね。負けていたら、敗因に個人技を挙げられていたのは間違いない。そうなれば個人攻撃が始まる。まあ、勝てたからそうなってはいないけれど。

敗者となってしまい、その結果でしか語られないであろう青森山田。しかし、チームとしてよくまとまったサッカーを展開した青森山田の選手は、個人単位という視点を超えて、チームレベルでの戦術を深く理解することが出来るのではないかと感じられた。「サッカーとはどういうものか理解している」という素養は優れた判断力に繋がる。その優れた判断力こそが、川崎フロンターレの優勝を導いた司令塔・中村憲剛やその後継者・大島僚太、U-23世代で最大級の評価を受ける田中碧選手が持っている最も優れた能力であると思う。もっと言えば、日本のメッシとも称される久保建英選手とその他大勢の「個人技に秀でていても、久保には及ばない」選手達の最大の違いである。
AFCの敗戦は、この「わかっていない」部分が露骨にGL敗退という結果につながった出来事なのだと私は考えています。そのことについてはまた別記します。

そんなわけで、青森山田の選手たち、頑張ってサッカーの未来に関わってください。青森山田のチームが決勝戦の序盤から見せてくれたあの素晴らしいパフォーマンスを私は忘れない。静岡学園のことをほめる人がたくさんいるけれど、あの瞬間の君たちの動きこそ、AFCu-23代表チームやその他の代表チームの選手たちにお手本として見せてやりたい。それほどに素晴らしく、美しいサッカーでした。負けてしまったのが本当に残念だけど、所詮は金が物を言う高校サッカーです(偏見)。本当の実力が明らかになる世界はそこではない。是非ともJリーグのチームや海外で活躍してください。羨ましいことに、君たちにはそれを叶えるに足る天賦と努力の才能がある。がんばれ。

ちなみに、広瀬姉妹が大騒ぎというニュース記事を見たけれど、本質は見えていないように思え、勝者しか見ておらず、日本のサッカーにとっていい影響にならんだろうなこれとしか思わなかった。まあ、当事者も記事を書いている人もサッカーを見慣れているわけではないだろうから、「どんなサッカーをしていたのか中身を見てから物を言え」と言っても仕方がないのだけれど。そういうのが日本サッカーに少なからぬ悪しき影響を与えているのだけれども。

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