プーマース大勝利


2020年11月15日、世界のラグビーで歴史的な日となった。アルゼンチンが30回目の対戦でNZに初勝利。伝説的SOポルタでも果たせなかったNZ撃破の報は瞬く間に世界中のラグビーメディアを駆け巡った。幸いにはリアルタイム(オンライン)観戦でき大勝利を見届けることができた。

アルゼンチンの勝利は何と言っても強烈かつ統率が取れていた防御。強烈に前に出るタックルながら成功率90%(152回成功/16回失敗)と安定性も高いのだから、攻撃力が高いはずのNZが何も出来なかったのはやむを得ないところか。主将のMatelaの3回のジャッカル成功は確かに素晴らしいのだが、数値を見直すと、No8のBruniのタックル数(31回)と成功率(28回成功)にも脚光が浴びられるべきであろうし、SHのCubelliが12回も称えられるべき。そしてFWタイト5の総タックル数65回、成功率95%(失敗が僅か3回)、1人当たりのタックルが13回というのも勝利に大きく貢献した要因だと思う。

 

勝因は他にもあるだろう。絶対的強者のNZは国内スーパーラグビー、オーストラリアとの4度の激闘を経てゲームフィットネスの点で充実していたものの、それが逆にモチベーションに影響したかもしれない。対するアルゼンチンは遠方からの移動、オーストラリアでの自主隔離によるトレーニング環境の不利さなど、非常に厳しい状況だった。

これはあくまでまだ推察の域を出ないが、コロナ禍で十分な「ラグビー」練習が行えないことのほうが、良いパフォーマンスを出してしまう「逆説」的な傾向を少し感じる。まず練習によるケガのリスクから解放されメンバーが揃えられる点、それから練習の積み重ねによるメンタル面/フィジカル面での疲れのリスクがなく、ラグビーが出来ないことでチームを一つに結束させる覚悟を習得出来てしまう、そんな状況が見られるのではないだろうか。

ともかくアルゼンチンおめでとうございます。

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