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小規模都市における行政施設の再編|いなべ市役所新庁舎とにぎわいの森

三重県いなべ市では、2019年5月に市内にある支所を統合し、旧北勢町に新たな庁舎の建設を行いました。新庁舎の整備に伴い、「にぎわいの森」という独自のフィールドを整備しています。

今回は、整備から2年ほど経過していますが、現地レポートを実施し、既往記事等で語られている内容を踏まえて公共施設再編の今後のあり方について考えてみようと思います。

#公共施設 #ファシリティマネジメント #まちづくり #小規模都市 #公共事業

いなべ市は合併した小規模都市、その特徴とは?

三重県いなべ市は、2003年に4町が合併した人口約4万人の小規模都市です。合併したことにより、もともと各自治体にあった庁舎が支所となり、旧町圏域の行政等の機能をそのまま残していました。一方で、行政機能が分散していることによる効率性の低さ、各施設の老朽化、人口減少に対して施設維持コストがかかることなどの課題を有していました。

そのような課題を解決すべく、合併の際に国からの財政支援である"合併特例債"を活用し、新庁舎の建設を行っています。

平成に入ってから、自治体数の目標値が設定され、合併に伴う手厚い財政支援があったことから、同様な時期に合併を行なって、いなべ市と同じように行政施設が複数ある自治体が多いのではないでしょうか?

新庁舎を核とした交流拠点へ

2019年に開庁した新庁舎には、これまで分散していた行政機能を中心地に集約し、同じ敷地に保健センターとにぎわいの森が計画がされました。

新庁舎の配置図(上図)
引用元:いなべ市HP いなべ市新庁舎建設基本設計概要版

市役所本来の行政機能だけではなく、にぎわいの森という商業施設を併設した計画となっていることが、この場所の魅力となっています。

にぎわいの森にある小屋(ヒュッテ)は、単なる店舗や飲食店ではなく、いなべの農業や観光の振興の拠点として、「グリーン×ローカルセンス」をコンセプトに展開されてます。

小道を通りにぎわいの森に入ると、お洒落な小屋(ヒュッテ)が点在してます。食や農に関するコンテンツを発信・販売を行ってます。

このように、公共施設の集約といなべ市の魅力を発信するベースとして、機能を果たしてます。

一方で機能集約による課題の指摘も

一方で、一部の記事で行政機能の集約に伴い、にぎわいが低下するという指摘あるのを見つけました。

拠点を形成による交流・機能を強化できる反面で地域格差が生じているという声もあるそうで、当該記事では跡地利用の必要性についても言及しています。
また、当該記事で集約したことが、「賑わいがなくなった」「見切り発車」と書かれてましたが、財政的支援の期限、建物の老朽具合、地域別の人口規模を考慮すると妥当な時期と筆者は考えてます。

合併小規模都市の公共施設再編のあり方

いなべ市のような合併した小規模都市は、人口が少ない上に多くの重複した公共施設を持つため、今まで通りの維持管理コストが確保できず、老朽化に伴う施設整備を全てできない状況にあります。

近年、都市づくり界隈では、「生滅可能性都市」「取捨選択」「コンパクトシティ」などの言葉をよく耳にすることから、人口減少に伴い、緩やかに都市の規模を縮小していく方向性にあることが見受けられています。

このように合併した小規模都市は、課題が浮き彫りになりやすいため、他都市の縮小のモデルとなると、筆者は考えています。
いかにコミュニティや生活レベルを維持しながら都市として持続していくかを考える先進的な取組みが求められてます。

いなべ市のように単なる施設集約ではなく、新しいイノベーションを生む仕掛けをつくることは、今後の再編事業に求められる姿ではないかと考えます。

この記事見た方は、近くを通った際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?


あとがき

初記事です!
今回は、たまたま訪れた事例をピックアップしながら、公共施設マネジメントに関してさわりを執筆しましたが、別の記事(コラム)でもう少し深い部分も書いてみようかと考えてます。

All Photos By Takuma OBARA

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