なぜ大森靖子はサイレントマジョリティーをカバーしたのか? ~ 計量テキスト分析で読み解く ~
皆さんは大森靖子というアーティスト・アイドルをご存じだろうか。
ひとことでいってしまえば、彼女はメンヘラ界隈の神様である。
彼女はミスiD(ミスアイドルと読むのではなくミスアイディーと読みます 笑)の審査員やZOCというアイドルグループを結成するなど地下アイドル界隈との関係も深く、アイドルには彼女のファンも多くいる。
可愛い地獄に住んでいる女の子たちにとって、靖子ちゃんは神様であり、女の子の最低も最高もすべて肯定してくれるGODである。
アイドルを作って動かしている男の人に、女の子(アイドル)の可愛いがあっという間に消費され使い捨てられていくことへの怒りと抵抗を続けてきた大森靖子が秋元康のプロデュースする欅坂46の「サイレントマジョリティー」をカバーした事は、@ほぉ〜むカフェでフェミニストとして有名な田嶋陽子がメイドの恰好をして働いている姿を見るのと同じくらいの衝撃であった。(もちろん、田嶋陽子が@ほぉ〜むカフェで働いたことはないと思います。いや、多分…)
さて、そんな靖子ちゃんがどうしてサイレントマジョリティーをカバーするに至ったのかを大森靖子とAKBと欅坂の曲をテキストマイニングして、分析してみようと思います。
元にするデータ・手順(黒字で強調している曲は特に私が好きな曲です。それ以上の意味はありません。)
大森靖子の曲を64曲(きゅるきゅる、私は面白い絶対面白いたぶん、裏、ノスタルジックJ-pop、絶対絶望絶好調、呪いは水色、子供じゃないもん17、イミテーションガール、ナナちゃんの再生講座、hayatochiri、最終公演、少女3号、さっちゃんのセクシーカレー、私は悪くない、マジックミラー、愛してる.com、劇的JOY!ビフォーアフター、ファンレター、TOKYO BLACK HOLE、少女漫画少年漫画、SHINPIN、給食当番制反対、無修正ロマンティック、ドラマチック私生活、■ックミー、■ックミー、超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS、ピンクメトセラ、勹″ッと<るSUMMER、ウエディング・ベル、POSITIVE STRESS、非国民的ヒーロー、朝+、YABATAN伝説、君に届くな、オリオン座、ドグマ・マグマ、IDOL SONG、地球最後のふたり、コミュニケイション・バリア、アナログシンコペーション、ドグマ・マグマ、draw (A) drow、わたしみ、サイレントマジョリティー、流星ヘブン、みっくしゅじゅーちゅ、7:77、何が悪い、SEIKO U、5000年後、はなまる、黒姫、VOID、きもいかわ、ラストダンス、GIRL’S GIRL、REALITY MAGIC、ZOC実験室、死神、絶対彼女 、JUSTadICE、BLACK CLOVER、Re: Re: Love、めっかわ)(文字数3万2555)
AKB48の26曲(会いたかった、制服が邪魔をする、軽蔑していた愛情、BINGO!、僕の太陽、ロマンス、イラネ、桜の花びらたち、Baby! Baby! Baby!、大声ダイヤモンド、10年桜、涙サプライズ!、言い訳Maybe、RIVER、桜の栞、ポニーテールとシュシュ、Beginner、チャンスの順番、桜の木になろう、Everyday、カチューシャ、フライングゲット、風は吹いている、上からマリコ、GIVE ME FIVE!、真夏のSounds good !)(文字数1万2277)
欅坂48の8曲(サイレントマジョリティー、世界には愛しかない、二人セゾン、不協和音、風に吹かれても、ガラスを割れ!、アンビバレント、黒い羊)(文字数5474)
の計、5万0265文字をテキスト分析していきます。RとKH Coderを使用し行っています。
なお、本分析は改正著作権法30条の4の二号「情報解析の用に供する場合」に基づき行われています。(JASRACさんは損賠請求しないで下さいね 笑)
それではさっそく結果を見て行こうと思います。
ただし、見れば分かるデータの説明を長々と書くのはめんどうなので、基本的に説明は省きます。最後にデータで何が得られたのかをまとめます。
まず最初は、大森靖子の64曲をテキストマイニングし、良く出てくる単語をざっと並べてみました。やはり靖子ちゃんのテーマでもある「生きる」という単語が84回とぶっちぎりでした。後は曲を聴いている人にはお馴染みの単語が並んでいますね。
次に、名詞に限定して良く出てくる単語を調べてみようと思います。
こちらも曲を聴いている人にはお馴染みの単語ばかりですね。
それから、多次元尺度法を使用しました。多次元尺度法とは似たものほど近くに、似てないものほど遠くに…という分析手法です。
こちらは多次元尺度法の3次元散布図です。
次に、階層クラスター分析を行った図です。クラスター分析とはざっくりいうと似た者同士をクラスにまとめるというものです。
今度は、共起ネットワークを使用しました。共起ネットワークとは似たもの同士を線で結んだ図ですね。
と
多次元尺度法構成法(MDS)です。
最後は、自己組織化マップ(SOM)です。SOMとはデータを平面に並べてくれる教師なし学習の一種です。
上記でみてきた分析手法で、AKB48の曲も分析します。ただ、こっちはメインではないので、図だけ載せておきます。
欅坂46についても同様に行います。
最後に、大森靖子とAKBと欅坂の曲の関係について分析していきます。
コーディングルールとして、ポジティブ・ネガティブ、恋愛・非恋愛の条件を指定しました。
さて、クロス集計したヒートマップをみると、恋愛についてはAKB>大森靖子>欅坂の順になっていて、欅坂の歌詞に恋愛要素が絡んでくることが少ないのが分かりました。そして、AKBの曲はネガティブな単語がほとんど使用されない事も分かりました。
こちらも上と同様の内容をバブルプロットしたものです。
先ほど、説明した内容を折れ線グラフで、確認してみます。すると、欅坂とAKBの曲が恋愛とネガティブの点で、大きく異なっている、変化している事が分かりました。
こちらはクラスター分析したもの。
次に、コレスポンデンス分析したものを載せておきます。
共生起ネットワーク
最後に、SOM(自己組織化マップ)を載せます。
まとめ。
グダグダと御託(データ)を並べましたが、特にめぼしい知見は得られませんでした………(^▽^;)
ただ、AKBと欅坂の違いが顕著であることがデータから明らかになりました。AKBの歌詞はポジティブな姿勢で恋愛について書き出しているのに対し、欅坂の曲はむしろ大森靖子に近い世界観を築きあげておりAKBよりも大森靖子との方が親和性が高いことが分かりました。
結論として、大森靖子がポーニーテールとシュシュではなく、サイレントマジョリティーを選んだのは欅坂との方が距離が近いからだと結論付けます。(雑)
p.s.
大森靖子はとある雑誌のインタビューで、こう答えている。
「女の子が最高なのは女の子だからじゃなくて、その子が最高だから最高なんじゃないですか。つまり女子を女子だから評価するというのがすごく嫌なんですよ。・・・・・・でも、そこをうまく言語化できなかったんですよね。」
ドゥルーズが唱えた有名な概念に、男/女に区別される以前の中間状態としての「少女」というものがある。
以前、Google翻訳を使って雑に紹介した「ジェンダー加速主義」というイデオロギーがある。ジェンダー加速主義はドゥルーズの器官なき身体から着想を得て、性器なき身体が資本主義の加速により実現されるとしている。
大森靖子もジェンダー加速主義と同様に、従来のフェミニズムとは異なる方法で、周縁化された女の子たちを救い出そうとしているのではないだろうか。大森靖子に関する思想的な分析は別の回に回すことにして、ここで筆をおく。
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