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いま最強の都市から何を学ぶべきか

すごい! ミーハーな私はすぐ興味を持ってしまいます。

人口増加率No.1
若者(10〜20代)の割合No.1
市民の95%が「住みやすい」と回答
通勤・通学時間 平均34.5分(平日片道)※関東大都市圏は49分

そんな羨ましいデータを持つのは「福岡市」
公式HPなぜかファイナルフ◯ンタジー! ファミコン世代はたまりません

今回は「福岡市が地方最強の都市になった理由」から。

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単に福岡スゴイ!って話じゃないんです。
「なぜ今の発展があるのか」が分析されていて、都市経営の問題と解決策の基礎を知ることができます。今回は感動した点を抜粋して

時間軸から見えること

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まちづくりって「未来のこと」ばかりを考えがちですよね。
私は、「歴史より未来だ」って思ってました。

でも福岡市の今は、50年〜100年をかけた都市経営があって築かれたもの。
順風満帆ではなく福岡、ピンチになりまくってます。それを当時では「ブッとんでる判断」をいくつも超えての現在なのです。

まちを考えるとき、エリアの分析と時間軸を認識する大切さに気づかせてもらえます。その経過を少しだけ紹介していきます。

制約されたまち

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福岡市は、決して恵まれた環境ではありませんでした。

1961年の総合計画では工場を誘致する計画を立てます。でも一級河川がなくて、水資源のない福岡市は、工場用水の確保など不利な地形もあり大惨敗
北九州市にそのポジションを奪われます。
さらに1977年の大規模な渇水で、深刻な水不足にもなりました。

ピンチを脱すべく、総合計画で戦略を変えてサービス産業の集積にシフトします。しかもこの総合計画、西日本新聞者とか民間が中心になって変えちゃってます。これは本当になかなかできません。感動です。

そして水不足でこれ以上苦しまないように、むやみな「市街地開発をさせない節水型都市づくり」を始めます。
行政はなかなかできない、この潔い撤退と変更は本当に凄いことです。

民間が主導する意味

改めて、なんで民間主導がいいの?というところですが、こちらも福岡市の歴史から学ぶことができます。

福岡市の行政にお金がないことを分かってて、過去の都市開発は民間の偉人が成し遂げています。渡邉與八郎松永安左エ門etc...)
例えば、電力や電車などのインフラ整備、九州帝国大学の誘致まで民間が主導で実現しちゃいます。あと明太子の作り方を広めて一大産業にした「ふくや」の川原俊夫さんも有名です!

一方で行政が主導して進めた、「都市未来ふくおか」が失敗に終わるという経験も。歴史的に見ても民間主導のまちづくりが、今の強い福岡市を作っていることが分かります。

改めてになりますが、地域内の民間が強くなる、稼ぐことでたくさんの税金が納められます。自治体は市民税や固定資産税が中心ですが、

赤字事業を税金で支えても、地域は更に衰退する。
黒字にして地域に財が残るようにすること。
平均所得の向上、不動産価値(農地、山含む)の向上
+地域内でお金を「使う場所」の創出で資金循環

がまちを豊かにすると示されています。税金は民間の稼ぎで生まれることはやはり忘れてはいけないなと思います。
ちなみに本社機能がある・ない、地域のお店・東京本社のチェーン店では地域内循環も大きく変わります。これもとっても大切だと思います。


いや、他にも地方交付税とか国から貰えるし。と思うかもしれませんが、

経済学者のウィリアムボーモルは、「公共部門から様々な形式で利益を得る国や地域ほど民間部門の生産性は低い」ということを指摘しています。

とお示しがあり、すでに分析されております…。
確かに、高齢化して地域の企業に元気がないまちを想像すると、分かりやすいです。これからは、このまちで食べていくと覚悟した方が、地域を変えていけるのだなと思います。

エリアで捉えたまちづくり

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福岡市は、水不足などを起源にコンパクトなまちづくりを徹底し、周辺の自治体が工業都市になったことから、サービス産業にシフトしたり、空港や鉄道などの交通機能を高めています。
自治体単体ではなく、経済圏をエリアとして捉えて、都市を開発しました。

住んでいる方からするとどうでしょうか。自治体というよりは、普段の生活範囲が大きく影響するものだと思います。
でも自治体(行政)は、それぞれの単位で、なぜか周囲と競ったまちづくりをしがちです。これはきっと意味がないです。

一つの自治体ではなく、周辺と比較して自分の立ち位置を活かすという判断をしたところは、とても先進的だと感じました。

このあとは川崎市を考えてみました。関係する方で読んでくださった場合はぜひご意見伺いたいです。

川崎市はどうだろう

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では川崎市と比較して感じたところですが、
主力産業の停滞と、制御できない都市開発が少し心配なところです。

①主力産業の停滞
川崎市はその昔、農村地帯でしたが、臨海部を埋め立てて京浜工業地帯を形成、市を縦断する南武線開通など、工業都市として目覚ましく発展しました。

かの有名な浅野総一郎が大きく貢献しており、まさに民間主導で繁栄した歴史を持っています。

しかし、昨今はJFEが一部撤退するといった、これまでの主力であった製鉄などの製造業が不況になってきています。
市はキングスカイフロントでライフサイエンス分野に重点を置きつつありますが、川崎を支えていた主力産業の停滞は大きな影響を受けることは避けられません。


②開発が制御できているか
東京都や横浜市に挟まれ、立地環境は圧倒的に恵まれています。
その反面、川崎市は昼夜間人口比率が88.3と低く、多くの就業者が日中に都内へ流れています。
また、東京・横浜の財政規模には、埋められない大きな差があります。

両都市に影響される形で、背伸びした都市開発になり易く、制御できていない傾向があるのではないかと。

タワーマンションがどんどん建っている一方で、川崎市は「空き家等対策計画」で空き家の増加を懸念してます。(政令指定都市では少ない方ですが)

ただ、「立地が良くて便利。家賃が安めだから」といった理由でまちに愛着のない人が増えていくことは、薄利多売で消耗していく商売に似ている気がします。

③これからできること
この先は、臨海部の広大な土地や、駅から離れた住宅地など、デメリットになりそうなところを、いかに尖ったエリアに変えていけるかが一つのターニングポイントになる気がします。

個人的にはそんな面白いエリアがないか、まちを歩く、現地でお話を伺うことから始めたいと思います。
過去に川崎市が公害都市のイメージを払拭したり、工場夜景を観光産業にできたように、ネガティブをポジティブに変えていきたいです。

川崎市、ポテンシャルもスゴイと思います。
民間が主導し、行政がしっかり後方支援できれば、きっとできる気がしていてなりません。

ありがとうございました。こちらの本とても参考になりました。



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