物語のおわり-ワインディングロード

サイクリングが趣味の綾子が、彼氏の剛生から文学の才能の無さを叱責され、好きな作品を否定され、挙句の果てに、第一志望だったテレビの制作会社の内定通知の報告をした時は、祝い言葉は一切なく、むしろ文学から逃げたやつに面白いドラマが作れるはずがないと言われる。

剛生に対してとてつもない怒りを覚えると共に、綾子に対しても「言い返してやれよ」と不満を感じた。この私の怒りの正体はどこにあるのだろうか。何を恐れているのだろうか。

好きなことを否定されることなのか、誰かの「正しい」が自分の「正しい」を打ち負かそうとしてくることなのか。「君は間違っている」と言われることで、思い出されるのは、幼少期の母からの叱責か、それとも剣道の道場でのしごきか。

いずれにしても、私は何かをひどく恐れている。そして、その人の好きなことを他の誰かが否定する権利は無いと願っている。

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