【詩】死に過ぎた臓器

解剖室の片隅に

思いを残した憎悪が一匹浮遊した

手のひらを割っても反さない

心の在り処を捲るため観音開きの肋骨を開く

それでも捌く尾頭付きの活き造り

いずれ肉体は骨が残る温度で燃やされる

土に帰還できず空に煙が揺蕩う

骨壷の蓋はバリバリと力強く締められ

箸の作法が食餌と同じ事実にたじろぐ

土俗の古層が疼く

死者は頗る衛生的で

不衛生に傾斜するのは生者

骨の美しくさは倒錯的な魅惑を噛み締める