【散文詩】後ろ向きに生きて前向きに死ぬ

素晴らしくも理不尽な地上には鉄面皮が跋扈跋扈跋扈。生死の境界線を救いと思い肯定を求めて飛び込むが天国も地獄もなく覚醒するとそこは更なる。此岸。節足動物が第一希望だったのに跋扈する別種の鉄面皮が蠢動する世界に下放される。面の皮は厚く進化し皮膚は相転移して鉄になった。表情は無。鉄だから。

鉄面皮に成れない皮膚の脆弱性は皮膚肉鉄食。喰い残された残飯として小動物に骨髄まで嬲られて分散された身体。喰われるのは餌としての体。心は消滅を免れ浮遊する。餓鬼は地上の使い。鉄餓鬼は心も喰う。無限の食欲は肉体を破壊寸前まで傷つける。滅びの肉体の魂を喰らう。鉄餓鬼は完食主義で残すのは御法度。喰いきれなければ融解され鋳直される。

墓前で祈りを捧げるのは鉄餓鬼が蘇生された墓鉄。
長方形の屍体は大量生産された物件情報。

認められることなく承認なんて望むべくもない。いいことなんかなかった。膝を抱えて鳴くこともない。餌にされた日々に本心を圧し殺す。いっそのこと心を鋼鉄に変えて感情を殺傷したい。永遠の鋼に混入物は水銀の体温計が腋窩で割れる。憎しみも怨みも感情。溶鉱炉の液化した鋼鉄に鍛えられる感情を待機させるのか。裏切られて気づいた嘘。信じたからこその激嘘が心を液体にして破裂し消滅する。