ひとの生きざまに触れる|株式会社櫻想/侍の挑戦と未来
あなたは、「死」について考えたことがあるでしょうか。
わたしたちの誰もにいずれ訪れる「死」。それは、もしかしたら明日かもしれないし、今この瞬間に訪れるかもしれません。
自分がどんな死を迎えるのか。どんなふうに死んでいきたいのか。それはつまり、自分がどんな生き方を望むのかということと、切り離すことのできない背中合わせの問い。
介護事業を展開する株式会社櫻想/侍(おうそう/さむらい)では、そんな人の生き死にを、ひいては自分自身の生き方を深く考えさせられる時間が流れています。
“生ききる”ということ
そう穏やかな表情で話す株式会社櫻想代表の諸橋さんと櫻井さんからは、人の選択と人生に真正面から向き合っている静かな覚悟が垣間見えます。
介護と聞いてあなたの頭に浮かぶのは、もしかしたらデイサービスや老人ホームなど「サービス」と言ったイメージが強いかもしれません。
櫻想でも利用者さんをサポートするという点は同じですが、そういった一般的な介護事業とは、その姿勢や対象が大きく異なります。
たとえば、櫻想にたどり着くのは、身寄りがなかったり住む場所がなかったり、生活保護を受けていたりする生活困窮者がほとんど。その方たちが住める場所を準備し、必要な介護支援を提供するのがおもな役割です。
そのため櫻想では、食事介助や入浴介助など、一般的な介護支援はもちろん、利用者さんの死を看取ったあとの葬儀手続きや、自己破産の手続き案内など特殊なサポートのほか、ゴミ屋敷の片付けから引っ越し、入退院の手続きと費用の支払いなど利用者さんの人生に幅広く関わっていきます。
そして、その全てはあくまでも利用者さんの意思にもとづいたもの。
たとえ第三者から要請があったとしても、それが簡単にできることだったとしても、利用者本人の意思が別のところにあるのなら、櫻想がサポートに入ることはありません。
生きるとは
どういうことなんだろう?
冷たく聞こえるかもしれない。
批判的に捉えられることも多いかもしれない。
それでも櫻想が、利用者さんの意思と真摯に向き合う姿勢を貫く裏にあるのは、長年介護業界で働いてきた櫻井さんや諸橋さんの「介護業界を変えたい」という想いです。
福祉という“良いこと”とされる分野であるがゆえに、過剰なサービスを求められて疲弊する現場や、利用者本人の意思を無視した“良いこと”の押し付けが起こりやすいといった現実。
老いと死は、長く生きれば誰にでも平等に訪れる未来である一方、介護はプライベートなものとして家族だけで背負われたり、デイサービスや老人ホームといった専門的な場所でつい閉鎖的になってしまう現状。
さらに最近では、都市部であればあるほど、近所付き合いも減り、年齢を超えた人との交流がますます少なくなり、だからこそ、老いや死が日常生活と分断されがちになってしまう。
そういった課題と向き合う覚悟が、“生ききる”という櫻想の理念につながっています。
井戸端会議のような
ごちゃまぜの場をつくりたい
さらに、人手不足や低賃金といった介護業界が抱える課題を背景に、働きやすさを改善していく仕組みづくりにも力を入れている櫻想。たとえば、子連れ出勤や、スタッフさんへの事務所の解放、食事の提供などといった待遇面の工夫も取り入れています。
また、安全や衛生といった観点から、専門職もしくは、家族という閉鎖的な場に閉じ込められがちな介護をもっと開かれたものにしたいという想いがある櫻井さんは、「開かれた介護の場」をつくろうと構想しています。
介護事業者としての取り組みだけでなく、社会を見据え、さまざまな挑戦を志している櫻想。その一方で、思うように進まないもどかしさを抱えることもあります。
そんな諸橋さんと櫻井さんの想いを受け、綺麗ごとだけでは済まない介護の世界での葛藤や悩み、未来を考えるnoteでの発信がはじまります。
この先にどんな世界が見えてくるのか、歩みながら見つめ続けていきたいと思います。
文・編集:Mizuno Atsumi
株式会社櫻想/侍概要
▼場所
千葉県市原市五井中央南1-39-4 田中コーポB-2(侍)
JR五井駅から徒歩13分程度
▼事業概要
1.介護サービス事業
2.高齢者支援事業
3.生活困窮者支援事業
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