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あのひとに何を送ろう

40年前のこと。
口裂け女のことを誰も話さなくなった頃、不幸の手紙が流行した。
「はい、これ」と言って手渡されたその封筒には

これを読んだひとは不幸になる。
不幸になりたくなければ、
この手紙を10人に送りなさい。

とあった。(ように思う)

怖くなってせっせと10通の手紙を書いた。
その様子を見ていた母親は、わたしに送り元を問いただし、
そのクラスメイトの家に電話をかけた。
横で見ていたわたしは母も不幸になると思い
電話を切ってほしいと泣いて懇願した。

不幸になりたくなければ送る。
これが不幸の手紙だ。(諸説あり)

この手のものはもっと前からあるのだろう。
他国にも存在しているから、人間の本能がなせる業か。
媒体はチェーンメールへと変容し
題材は不幸から善行へと変化した。

「信頼できるお医者さんから来たメール」
「研究者による本当の話」

これらはチェーンメールとして今月出回っているが
良かれと思って拡散されている。
わかる、わかるよ。
誰かと同じものを分かち合いたい気持ち。
確かなものを探したくなる。

善行や確かなことをシェアしたい。
だったら、自分の感情や自分の経験にしてはどうかな。
これを作ったらおいしかった
こんな遊びは楽しかった
これを聞いたら涙が出た
自分自身の感じたことを共有できる時間にできる。

もらった不幸を送る時代はとうに去った。
もらった善を送る時代も終わる。
そろそろ自分の作ったものを送りたい。

Pay it forward.

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