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Our Music:Tatebayashi 制作ノート #8


館林にはロヒンギャ民族が約260人いる。
近頃ニュースでも目にすることが多いのでご存知の方もいるかもしれませんが、「ロヒンギャ」とは、ミャンマーのラカイン州に古くから住むイスラム系少数民族のこと。

ロヒンギャの大部分の人たちは、国籍を持っていません。
ミャンマー政府が彼らに国籍やパスポートを与えないからです。
人種や宗教の違いによって、その国で生まれ育っているのに国籍やパスポートがもらえないというのはあまりにグロテスクで想像するのが難しいですが、そういう基本的人権すら、守られていないのです。

ロヒンギャの現状や館林での様子については、
Buzzfeedの記事に詳しく書かれています。

参考:「帰れぬ故郷」から群馬県のあの街に。人々が移り住んだその理由(Buzzfeed)https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/rohingya-in-tatebayashi


また、写真家として近年ずっとこの問題を取材されている新畑克也さんのnoteも参考になります。

新畑克也(写真家)
https://note.com/kman57move

映像のなかでアウンティンさんが紹介してくれた歌の内容で
「故郷の家がなくなっている」「モスクがなくなっている」「学校がなくなっている」とありますが、実際に軍によって村が焼き払われる事件も多くあり、世相を表しています。(天野)

参考:特別リポート:ロヒンギャの惨劇 彼らはどう焼かれ、強奪され、殺害されたか(ロイター通信)
https://jp.reuters.com/article/rohinghya-idJPKBN1FW040

ロヒンギャとの出会い

#8で取材させてもらった、アウンティンさんに最初に出会ったのは2015年。館林に住むロヒンギャの人たちが、渋谷でデモ行進している時に話しかけたのがきっかけです。

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2015年は、祖国での迫害を逃れて海を漂流するロヒンギャの問題が一気に表面化した年でした。

参考:漂流のロヒンギャ人ら2000人を保護、迫害されミャンマー脱出か(AFP通信)
https://www.afpbb.com/articles/-/3048062

日本にいる難民について興味を持っていた僕が、先頭を歩いていたアウンティンさんに話しかけてみたら快く対応してくれて、以後、何度か館林や東京で会って取材させてもらう関係に。
2018年に僕がドキュメンタリーを作るため本格的に館林に滞在してからは、何度もご自宅でご飯をご馳走になったり、モスクでの撮影を許可してくれたりと、終始撮影をサポートしていただいた恩人です。

そうして制作したのが前作のドキュメンタリー映画「私の神は死なない」でした。これは、ミャンマーから難民として日本にやってきて、館林に20年間住んでいるイスラム教徒の男性に密着したものです。彼は来日以来ずっと難民申請が認められず、日本での生活の自由が著しく制限されている「仮放免」の状態です。

#8の本編でも「仮放免」という言葉が出てきますが、端的にいうと

入国管理局(通称 “入管”)が申請者を難民と認めない場合、一部の難民申請者の身柄を"不法滞在者"として入管の収容施設に期限を設けずに収容したり、収容が解かれても国内での行動の自由を制限する権限がありますが、その「一時的に収容を解かれている状態」です。

国際的な基準に照らせば明らかに難民であるのに、日本の難民認定の基準は非常に厳しく、難民として認められる可能性は極めて低いのです。仮放免になると、健康保険はおろか、働くことも許されません。そして滞在する都道府県を超えて移動することも基本的には許可制となり、人間的な生活が著しく制限されてしまいます。日本で難民認定が下りる確率が非常に低い一因として、「申請者の立証義務」が挙げられます。つまり、自分が祖国に帰ったら迫害を受けるという証拠を立証できなければ、難民として認められないということ。けれど、国籍もIDも剥奪されている人が着の身着のまま逃げて来るわけです。それを、日本にいながらにして祖国から証拠を取り寄せて立証するのは目に見えて困難です。こうした入管の問題については、ロヒンギャだけでなく在日のクルド人も広く影響を受けています。

参考:不法滞在者として生きる18歳 ~難民認定に翻弄されるトルコ系クルド人~(日向史有)
https://news.yahoo.co.jp/byline/hyugafumiari/20180326-00083014/

「難民の受け入れ」と「移民の受け入れ」は区別して考えるべきです。日本は難民条約の加盟国として、「帰る場所がない」難民を適切に保護するのは国としての義務です。難民については、国際社会の一員であるならば日本は適切に受け入れ、保護しなければならないのです。(天野)

館林とモスク

今回のOur Musicでも館林にあるモスクに伺ってみましたが、3密を避けるために集会や集まってのお祈りを制限されていて、基本的にモスクに人はほとんどいない状態でした。本編の#2でモスクでのお祈りが映っていますが、あれは前作のドキュメンタリーからの抜粋です。地方都市の住宅街にポツンと存在するモスクから、アラビア語のコーランの響きがメロディに乗って聞こえてくる様子は、とても不思議で心地よく、印象に残っています。(天野)

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動画は LINE NEWS 「VISION」にて配信中
https://news.line.me/issue/oa-vi-ourmusic/byhgtc1ik4jz

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LINE NEWS 「VISION」で公開中の「Our Music: Tatebayashi」の制作ノート。 館林の人やお店や音楽など、本編に入り切らなかったことをVIDEOTAPEMUSICと天野大地が語ります。 ※本アカウントはクリエイター個人が運営しています
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