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上海でアトリエ付きホテルに無料滞在!SWATCH ART PEACE HOTELでのアーティスト・イン・レジデンスレポート

2017年11月から半年間、上海のSWATCH ART PEACE HOTELでのアーティスト・イン・レジデンスに参加していたOuma。

レジデンスもすでに6件目ですが、丸2年の間に6件なので、ちょっとしたマニアですね笑。宿泊部屋もアトリエもこれまでで一番ゴージャスでした。こんなに素晴らしいロケーション、設備のところに無料で半年間滞在できるなんて。

しかも渡航費助成、中国ビザ助成つき!そんな素敵スペースをご紹介です!
※館内写真等はSWATCHの許可を得てアップしています。詳細情報は変更がかかる可能性があるため、くわしくはSWATCHにお確かめください。

SWATCH ART PEACE HOTELに応募しよう!

誰でもいつでも応募できるSWATCHのアーティスト・イン・レジデンス。審査期間は応募時期により半年くらいかかるようなので、結果が出るまで気長に待ちましょう。

審査はスイス本国で行われているようで、応募倍率などは公開されていません。年度ごとの応募というわけではないので、合格通知が出たらレジデンスの空き状況と自分のスケジュールを考慮しながら参加時期を決められるのもありがたいです^^
(年ごとの応募の場合、指定された日程で参加できないと参加資格がなくなることがある)

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2019年頃の段階で、受かっても参加までだいたい2年待ちという話を聞いています。徐々に知られていって倍率も上がってると思うので、受けるなら早い方がいいかなーと思っています。

最初にレジデンスルールの説明を受けますが、中級以上の英語は必須です。各国のアーティストたちも「英語が苦手で」って言ってる割りにみんな上手です(謙遜あるある)。しかし、みんなネイティブでないせいか割と英語は分かりやすい。やっぱり言語はネイティブのものが一番難しいです。

✓ 参考リンク: SWATCH ART PEACE HOTEL

参加ジャンルもアート、音楽、フィルムメイキング、ライター、ダンス、写真とさまざま。幅広く門戸の開かれたレジデンスと言えます^^

2017年11月の参加時は、韓国、アイスランド、ポルトガル、スイス、カナダ、スペイン、フランス、ウクライナなどからの参加があり、セラミック、紙、音楽、インスタレーションとジャンルもいろいろ。私の前はダンサーが参加していたようで、私のアトリエスペースはダンサー向けの鏡がある部屋になっています。(このレジデンスで一番広い部屋とのこと)

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非常に広いところはいいのですが、机が全くないのはちょっとキツイ。小さめですが机を1式用意してもらい、現在は床を汚さないためのカバリングを頼んでいるところです。他のアーティストさんのアトリエには、カッティングボード付の大型机があるところも。

SWATCHレジデンスのいいところ

待遇が圧倒的にいいSWATCHレジデンス。最初にここに参加してたら、他のところにはもう行けないんじゃないかという気がするほどです笑。アーティストの同時参加人数は最大18人とかなり多いですが、キッチンや洗濯スペース、冷凍庫(冷蔵庫とキッチン棚は番号分けされている)だけがシェアで、それ以外は完全にプライベートスペースとなっているため、他の人を気遣って滞在といった感じはまったくないです。

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・滞在費、朝食ビュッフェが無料
・航空券、中国ビザ代の補助が出る(補助上限があるようですが、フランスからの往復も全額助成されたようなので、日本からならまず全額助成される)
・空港まで送迎あり
・バストイレ付き個室、週2回のルームクリーニング、シャンプーやカミソリなどホテルについてる基本的なアメニティがつく
・プライベートアトリエ(部屋とアトリエが一緒のところも。Visual artistはほとんど専用アトリエがつきます)
・滞在先のホテルは一般の人が泊まるホテルの真向かいにあるギャラリー付きホテル。ビル全体がそもそも広く、館内には過去の滞在アーティストたちの作品が展示されています。
・延長コード、カッターマット、机、照明、スピーカーなど貸し出し可能な設備もあるので、「これがあったらな」というものがあれば相談してみるといいです^^

部屋もアトリエもまちまちなんですが、バスタブがある部屋もあって、ちょっとうらやましいです笑。

また、ネット注文した荷物や本国から送った荷物を受付で受け取ってもらうこともでき、かなり大量の荷物を持ち込んでいるアーティストさんもいました^^

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ちなみに植物の提供まで(→途中で枯れてしまいました、、)

パートナーの滞在は7日間まで無料!

アーティストの滞在はSWATCHホテルの真向かいにあるビルで、1階は時計ショップとフロントデスク、2階はギャラリー、3階と4階はアーティストのアトリエと部屋、キッチンなど、5階はバー、6階の屋上は町を一望できるテラスとなっています。

滞在先の部屋は非常に広く、パートナーであれば最大7日間無料滞在ができるよう。しかし、親兄弟や友人は宿泊できません。アーティストのワーキングスペースに遊びに来ることはできますが、滞在は23時まで。

また一度に大勢を呼ばないこと、など細かい規定があります。そもそもの参加人数が多いので、なんかしらのトラブルがあった場合に疑いが生まれるのを避けたいとのことでした。朝食ビュッフェに友人を呼びたい場合は、追加料金を払うことで可能とのこと。その場合は事前連絡が必要です。

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どうやら以前には追い出されたアーティストもいるようで、すでに4か月いるアーティストさんからは「いろいろ複雑だから、なんかしたいことがあれば、する前に言っておいたほうがいいよ~」とアドバイスをもらいました。まぁでも、普通に生活・制作している分には問題ないです。

極端に異臭がするもの、古い建物のため煙に敏感なので、火器に注意することなどの説明を受けましたが、これも常識の範囲ですね。(こっちの方向の常識をぶち破ったモノをつくりたいという人にはSWATCHはおススメしませんw)
アーティスト間でのやりとりはWechatのグループで行っていて、誰かがグループに入れてくれます^^

アーティストとしてのチャンスはあるのか?

設備も充実していて渡航費助成もあるくらいなので、参加して損するということはぜんぜんないのですが、レジデンス選びのもっとも重要なポイントを私は「アーティストとしてのキャリア形成」と考えています。つまり、次のチャンスにつながるかどうか。

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具体的には「発表機会があるか」「販売機会があるか(ビザや滞留許可の取得に注意)」「キュレーターやディレクター、コレクターに見せる機会があるか」「他のアーティストとの交流機会があるか」「地元施設とのコラボレーションの機会があるか」などです。

単に制作場所がいい、というだけでは、日本で制作しているのとまったく同じ。滞在費が無料だったとしても、渡航費がかかるとしたら日本で制作したほうが節約できます。レジデンス経験がまったくない、というのであれば、1つ合格しておくことで他のレジデンスに応募する際に実績として出せますが、マニアの私はすでにそれだけでは満足できず笑。

SWATCHレジデンスには公式の展覧会の機会はありませんが、SWATCHのアート・ディレクターなどがアトリエを見に来るオープンスタジオの機会がありました。また、紹介してくれたアーティストさんによると、ハリウッドスターの1人が審査員の一人で、撮影で上海に来た時に遊びに来たことがあるようです。

とはいえ、オープンスタジオは月数回あることもあれば、全くない月もあってマチマチ。私は通常、レジデンス期間を選べる時は「3か月」を選択しているのですが、今回「6ヶ月」と最大日数を選んだのは、なるべくそういったチャンスを拾い上げるためです^^

作品販売の機会もあったと事前に聞いてましたが、実際にありそうです。ありがたいことに私が来てすぐにディレクターさんのスタジオビジット、ギャラリースペースでの展覧会オープニング(レジデンスアーティストの展覧会ではない)があるので、来たタイミングはすごくよかったです!

しかし、これらのイベント時期に当たるかどうかは完全に、運です。オープンスタジオの際には、アトリエのドアを開けておくこと!閉まっていると「邪魔しないで」の意味になってしまい、せっかくディレクターが来ても素通りされてしまいます。


※2020年2月所感(この文章は参加直後に書いたものなので、2年後の感想を追記します)
2018年がSWATCHアートピースホテルの5周年でした。当時かなり大きなイベントが行われていたので、10周年の時(2023年)にも同じようなイベントが行われると思います。

そんなわけで、参加時期を合わせられるなら2023年が狙い目かもです。
私の参加は2018年5月まででしたが、11月に銀座のSWATCHビル、ニコラスGハイエックセンターで個展をさせていただけました。さらに2019年12月にはSWATCHデザインに初参加!

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OumaデザインのSWATCHはここから買えます!
好きなデザインにカスタマイズできるので見るだけでも楽しいですよ、ぜひ。

伊勢丹新宿にポップアップストアが出て、大々的に売り出してもらえました。また、ベネチアビエンナーレにもSWATCHが協賛しているため、SWATCHブースがあるんですね。というわけで2年に一度のベネチアビエンナーレに呼ばれる可能性もあります!(2019年は同期のアーティストさんが3人も選ばれてました、すごい!)


私が応募したときは、パターンっぽい絵を中心に出しました。SWATCHのデザインにできそうだなーって思いついてもらいたいという思惑だったんですが、2016年にSWATCHのレジデンスに応募してから3年以上かかってようやく実現。とてもうれしいですよ!

ファッション系のコラボ、もっとしたい!


滞在前に準備しておきたいこと

中国国内ということで、FacebookやTiwtter、Gmail等のサービスが使えなくなります。Gmailを仕事で使っている人は事前にVPNの設定をしておきましょう。VPNの代表としてはExpress VPN、セカイVPNなどがあります。

Express VPNのアプリは中国国内で設定もできました。無料のVPNもあるようですが、接続は安定しないみたいでした。セカイVPNは最短3営業日で設定可能とのことでしたが、クレジットカード支払いで設定したら、1日2日くらいで設定完了しました。

とはいえ間に合わないと心配なので、申し込みには余裕をもって出国の10日くらい前には設定したほうが良さそうです。私の部屋がはじっこのせいか、Wifiが割と入りづらいので、PCは途中から有線に変えました。Wifiが不安定だとVPNもうまく接続できないようです。

あとは真剣に大気汚染がひどいので、マスクの持参を。Air Visualというアプリでその日の大気汚染状況をチェックできるので、お勧めです。

現地の人は汚染がひどい時でもマスクをしてる人は少ないのですが、参加アーティストさんの中には排気弁っぽいのがついたガチなやつを使ってる人もいました。

私は花粉症用みたいなのをもってきてましたが、マスクをしてても下水や排気ガス臭さはありました。(内部設備が充実しているため、あまり外に出かける必要もなく、引きこもり制作している限りはあまり心配いらないかと^^)
朝食の時の話題は主に「今日の大気汚染」w

あと、友人からのアドバイスですが、路上屋台のものは絶対に食べないこと!どんなにおいしそうな匂いでもやめておいたほうがいいとのことでした。私はもともと薬を多種類持参して旅をしているのですが、上海には正露丸を1瓶もってきてます笑。

SWATCHのいいところは、同時に参加しているアーティストの多いところ。他の作家の作品を見ること、アートについて英語で聞くこと・話すこと、は自分の作品づくりにも活きるはず。興味のある方はぜひ応募してみてください!(*´▽`*)


その他のアート関連情報はこちらから。

▼現代アーティストになりたい人のための~初心者の第一歩から海外展開まで役立ち記事まとめ
https://mijin-co.me/art_article_matome/

▼Oumaのこれまでの活動経過はこちらからどうぞ!
https://oumavet.com/artwork.php

▼作品はこちらからご購入いただけます!
https://ec.tagboat.com/eccube_jp/html/products/list.php?author_id=100354&tngs_flg=0

▼ALS支援してる「せりか基金」に毎月支援しつづけるための作品をつくり始めたよ!
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こっちから見てみてね!

▼直接「せりか基金」に寄付したいっていう人はこちらからどーぞ!
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