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Webtoonのシナリオってどうつくるの?~物語の「家訓」を決めよう!

物語制作にとてもよさげな本を紹介してもらったよ!

作品を創り始める前に、絶対にぶらさないポイントとして下記のポイントを考えるといいみたいなので、実際の自分の作品に当てはめて考えてみました。

テーマ:凶暴な医療(積極的かつ能動的医療)※これは自分で当てたよ
家訓:凶暴な天才医師の活躍を描く
想定読者:才能を認められない者たち、才能をつぶされた者たち
トレンド(読者の期待):主人公は不条理な世界を変えてくれるはず
憧れ:天才性、凶暴性
愛嬌:かわいいものが好き

いつもこれをシナリオ制作メモ帳の一番上に貼っておき、読み返しながらやっていくと面白さがブレずに自分がやりたいことにも、読者の興味にも向き合いながら作り続けられる気がしました。

完結させないまま、どんどん新しいの描いちゃうの、めちゃくちゃよくないクセなんですが、今回、こちらの作品を縦スクロールバージョンに書き直していくために、再度、作品の骨子とキャラ設定を考え直しました。

自分の弱点として、ストーリーが飛びがち(思いついたアイデアにすぐ飛びつきがち)があったんですが、家訓があると、飛びそうになっても戻って来られるので、とてもいい手法だなぁとすでに感じています。

さて、では『王様のカルテ』の1話を縦スクロールマンガ用のシナリオとして作り直していきます。

みじんこが縦スクロールマンガのシナリオをつくる時は、まず全体の構成からつくります。構成が決まるとほとんどできたも同然。一度構成をつくってからシナリオにするまでにちょっと時間を空けると、構成よりもいいアイデアが浮かぶので、そんな感じで時間を空けてやっています。

<構成案>
■導入
この世界はヒトに有利にできている

すごいな
先生そっくりだ

もしも捕まったら僕に脅されたって言ってください。
この世界ではヒトが貴重だから
ヒト100%の僕が罪を犯しても処刑はされない
本当か?

まぁいい俺はお前のせいにして逃げる。
それでいいです
じゃあ行きましょう
先生を取り返しに

タイトルロゴ

■シーン1
処刑場、群衆の中でテオはトレスを確認
トレス、ビルの上で状況を確認
処刑人、レオが罪人であることを宣言
処刑が始まる号令
トレスが処刑場に大砲を打ち込む
レオの首が落とされる
処刑場が煙まみれに
レオ、煙の中に飛び込む
警備兵、トレスを捕まえようとする
トレス、ビルを飛び越えて逃げる。
テオ、レオの首を箱に入れて煙から飛び出し、そのまま逃げる。

テオ、周囲を伺いながら隠れ家のビルにダッシュ
保存液を使っても脳細胞が死に始めるまで1時間
その前に循環を始めないと

処刑場俯瞰
テオ、群衆の中からビルの上にいるトレスを見る。
トレス、大砲を肩に抱えて処刑場を確認

■シーン2
トレス、ビルを飛び歩きつつ、追っ手をひきつける
テオは逃げきれたかな
そろそろ撒くか
大砲を廃墟のビルに打ち込んで飛ぶ

レオの頭部を治療するテオ

この世界はヒトに有利にできている
本当にそうなら僕(ヒト)なら世界を変えられるはずですよね
栄養チューブへの接続完了
先生の冤罪は必ず晴らしてみせる。
トレス、帰ってくる

■引き
おかえりなさい
レオ先生

レオ、目を開ける

1話で伝えたいのは主人公の行動原理

冒頭1話で伝えたほうがいいと思ってるのは主人公のWANT、何をしようとしてるか、です。この話の場合は「先生を助けたい」。WANTの理由まで分かるといいです。主人公のしたいことが、読者にとっては灯台みたいになり、したいことが脅かされてると主人公が困難に直面しているのが分かっておもしろくなるので、1話でちゃんと灯台をつくってあげるのが大事かなと思っています。

上記の構成をシナリオに直すとこんな感じになります。絵だけで見せるシーンとかもあるので、どんな絵を置くかを考えて全体のボリュームを調整していきます。(アクションとか絵を見せるシーンが多いと、シナリオ部分自体は短くなる)

マンガのシナリオとして考えているので、文字数と改行を意識するために、セリフの改行位置を全角スペースで開けています。こうしておくと、長すぎる文章とかを書かなくて済むので、あとでネームにする時に自分が助かります。

■導入
ナレーション「この世界は ヒトに有利に できている」
トレス、頭部を机の上に置く
テオ、頭部に手を乗せる。
テオ「すごいな 先生そっくりだ」
テオ、頭部を箱にしまいながら「トレスさん もしも捕まったら 僕に脅されたって 言ってください」
テオ「ヒトは貴重だから ヒト100%の僕なら 罪に問われない」
トレス「ヒトの特権だな だが本当か? 実例はないぞ」
テオ「…」
トレス「まぁいい 俺は死ぬ気はない 責任はお前に 押し付けるさ」
テオ「それでいいです」
テオ、ゴーグルをする
テオ「行きましょう! 先生を取り返しに」

タイトルロゴ

■シーン1

処刑場俯瞰
テオ、群衆の中からビルの上にいるトレスを見る。
トレス、大砲を肩に抱えて処刑場を確認

処刑人、腕を上げる「技術の未熟さにより 患者を死に至らしめた 元国家医師レオ 医師法9条に則り 死刑を執行する!」
テオM、悔しさで歯をかみしめる(患者の死は 先生のせいじゃない)
処刑人、腕を振り下ろす
トレス、同時に大砲を撃つ
ギロチンが落ち、レオの首が飛ぶ
テオ、首の飛ぶ方向を目で追う
大砲が処刑場に当たり、煙が飛ぶ
処刑人たちや群衆、騒ぐ「何が起きた」「きゃああ」「逃げろ」
テオ、煙に紛れて処刑場にジャンプして乗る。
テオM(あの辺に 落ちたはず)
テオ、移動してレオの頭部を発見(後ろ向きになっている)
テオ、箱から人形の首を出し、レオの頭部を保護剤で保護して箱の中へ
テオ、転がった人形の首をちらりと見る。
テオ、周りのざわめきを聞きつつ、煙の外へダッシュ
テオ、煙を抜け、そのまま走り去る。

テオ、箱を持ったまま町中を走る。階段を上って隠れ家へ。
テオ、水槽が置いてある部屋に入る。
テオ、箱を水槽の横に置き、スイッチを入れる。
テオ、手袋して箱から頭部を出す。(中ははっきり見せない)

シーン2とラストの引きは割愛

どのくらい時間かかるの?

自分の場合、この構成・シナリオ制作に実作業として、構成30分、シナリオ半日くらいかかります。ただ、いつも物語のことを考えて先3話くらいの動きを考えているので、頭が動いている時間は結構長いです。シナリオも、実作業は3時間くらいですが、途中で散歩行って考えたり、時間を空けて推敲してまた直したり、を繰り返しているので、スタートから完成まで半日くらいかかっちゃう感じです。

途中で脳を何度か切り替えたいので、料理をつくったり掃除したりを挟んでいます。あんまり脳のリソースを使わずに、成果物が出る行動が好ましいです。

コルクラボマンガ専科に受講してから、毎日「問いの3分ノック(お題に対する問いをひたすら挙げる)」というのをやってるのですが、これをやるとシナリオのアイデアが出やすくなるので、とてもいいなと思っています。とはいえ、文字数にするとせいぜい3000文字くらいなのに、半日もかかっている状態にそこそこ辟易するので、、

成果物をぜんぜん出せない自分にがっかりするので、やれば必ず何かできる料理が好きだったりします。

この話はとにかく難しい。設定を作り込んでいるので、世界観そのものもめちゃくちゃ難しい。なので、マンガ初心者の自分としては、まずはシンプルに「分かりやすく書く」。これだけを心に留めて、またがんばります!

医療SFマンガもぜひ、ご予約お願いします!


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