シナリオが迷走しがちな時は、ベンチマーク作品のログラインを書くといいかもしれない。
Webtoon作品のシナリオ原作をやりたくて、いろいろ試行錯誤しています。Webtoon作品を読むこともそうなんですが、売れてる作品の傾向を意識しながらシナリオを考えるっていうのも大事なんですよね。
もちろん「自分が好きなお話を書く」というのが一番情熱がこもると思うのですが、好きなジャンルってみなさん1つじゃないと思うんです。創作している時点で、自分の好きなものでないとなかなか書くのは難しいので、傾向を意識していてもシナリオを書こうと思えば書けるんですね。自分は医療、歴史、ミステリーとかが好きですが、読み手になった場合、めちゃくちゃ残虐ホラーとかでない限り、おもしろければ雑食的に読むので、他のジャンルも好きなものではあると思うのです。スキが強いものだと、勉強がはかどるので、そこらへんの知識量の差は、作品のリアリティとして出てきちゃうものかもしれないですが。
さてさて、2022年7月現在のWebtoonだと、まだまだ売れる作品の傾向が顕著にあります。もっと先に進んだら、いろんなジャンルが出てくるんじゃないかっていう意見を出していたスタジオもありますが、現状では割と明確に「売れる傾向」があるようなんです。
某出版社の方にWebtoonについて伺ったことがあったんですが、その方は「縦読みだとスポーツは難しいんじゃないか」っておっしゃってました。画面が縦なので、縦の絵柄で映えるものじゃないとスポーツの迫力が伝わりにくいみたいです。だから縦で映えるファンタジーモノとかが流行ってるんじゃないかという分析で、なるほどなぁと思ったんです。
ってことはつまり、Webtoon作品としてスポーツモノのシナリオを描いても、現状で連載を通すのは難しいはずなんですよね。自分はシナリオ原作をやりたいけど、実績はまったくないです。横読みだと原作はまだまだ募集が少なく、あったとしてもすでに人気の作品を書けている人か、賞を獲った人にしかチャンスはいかないと思うのですね。当たり前ですが、作品をつくるってめちゃくちゃお金かかるわけですし、よう分からん人の売れるか分からないシナリオを出そうなんて思う出版社はないわけです。
そう考えると、シナリオだけをやりたい場合は、横読みよりはWebtoonに需要がありそうです。ただ、Webtoonにはかなり明確に「売れるジャンル」がある。なので、とりあえず原作をやりたい場合は、その売れるジャンルに絞って書けるシナリオを書いたほうが確度は高いんじゃないかなーって考えているのが自分の現在です。
ライターをやっていて思ったのですが、シナリオやマンガ原作についても、「早めに編集者さんについてもらう」ことってその後の成長率に大きく影響するんじゃないかって自分では思っています。やっぱり、客観的な指摘をもらえるのってめちゃくちゃ大きい気がするんですよね。そういう意味で、Webtoonは多くのスタジオが立ち上がって、あちこちで原作募集されているので、連載が決まるかはともかく、編集者さんと話せる機会は多いように思います。(企画書とテキスト原稿でみてもらえるWebtoonと違い、横読みだとネーム原作まで描けないと話ができないため、企画の本数を出すのに自分の場合だと時間がかかりすぎて数が出せない)
そんなわけで先月末くらいから、8本くらい企画書を書いたりブラッシュアップしたり、もごもごしています。
課題は多くあるんですが、今の一番の課題は「ベンチマーク作品の魅力を正しくとらえきれてないこと」だなぁと思っています。自分のオリジナル作品を考え始めていると、ベンチマーク作品の設定を一部なぞっただけという中途半端な作品ができあがってしまうんですね。
ふだん、マンガのライターをやっている時、記事の書き出しの一行はまさに作品のログラインのはずなんです。初めて作品に出会う読者が、その作品がどんなジャンルのどういう物語で、自分が好きな話かどうかの判断材料となる情報が含まれているのがログラインです。
しかしこの、ログラインを自分で展開していくと、徐々にログラインからずれてきちゃうみたいなんです。そこがどうやら自分の課題な気がしています。
たとえば、『東京卍リベンジャーズ』のログラインを
みたいに書いたとします。
これを細かく展開していくうちに、元カノの死より人類滅亡のほうが派手でいいかな~とか、不良と戦うより異星人と戦闘機で戦う方がおもしろいかなとか、主人公はもう逃げられない状態、たとえば「石」に変わっちゃうとかどうだろう、とか、、、
考えていくうちにログラインがぐだぐだになってしまうんですよね。不良と素手で殴り合うバトルアクションっぽいのが好きな人は、異星人と戦うスターウォーズみたいなのには惹かれないかもしれない。
そのうち、元カノは古代の魔導士の血を引いており、伝説のうんぬんかんぬんとかなってくると、もう最初のログラインからは想像つかない物語になってしまいます。この時点でターゲットとなる読者もぜんぜん違っちゃいますよね。
プロのシナリオライターさんはそんなことないのかもしれないですが、自分はまだまだ、枝葉を考えているうちにログラインがズレてしまいがちです。シナリオがおもしろければ、ログライン側を変更してもいいかもしれないんですが、今は「ベンチマーク作品」研究をしてるので、最初に決めたログライン「に」合わせられるようになった方がいいかなと思ったりしてるところです。
書けば書くほどわかることも多く、弱点にも気づくので、ひきつづき試行錯誤してみようと思ってますよ!
そんな近況でした。
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