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現代アートをもっと楽しむnote

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2020年8月の記事一覧

SWATCHデザインの裏側2~使われなかったカラフル案のつくりかたと上海のSWATCHレジデンスのこと

2020年8月末から期間限定でカスタマイズできるSWATCH X YOUのデザインに使っていただいています。たぶん9月くらいまでしか販売しないと思うので、気になっていただいた方は思い切って購入していただけるととてもとてもうれしいです。 好きな場所を切り取ってSWATCHにできるのがとてもおもしろいので、試すだけでもぜひ。切り取る場所を選ぶだけでけっこう楽しいです。 第1弾のデザインはこちら。 今回Ouma(オーマ)デザインとして販売されているのは、こちらの2点です。(ほ

最適な画材を選び出すように制作者のステータスを作品に混ぜ合わせることを考える

ロサンゼルスのチャイナタウンに、Good Luckギャラリーというギャラリーがあります。すごくおもしろい作品が多くていいなと思っていたら、取り扱いアーティストはadults with disabilities、障がいをもつアーティストなんですね。 ただ、言われなければ作者のステータスは作品からそこまで感じ取れないと思うのです。 なんだろう、なんだかとても気になる。 病気や障がいといっても、その中身は本当に千差万別で、ここからが「障がい」みたいな感じで線を引くことってでき

可視化された生命力、エルネスト・ネト

2012年に初めて、エスパス・ルイ・ヴィトン東京での個展「Madness is part of Life」を見て以来、世界で一番大好きなアーティストがエルネスト・ネトさんです。 いろんな理由をつけることもできますが、とにかく作品が感覚的に好き!生きてるみたい!です。 人の手で編みこまれた巨大な作品で、見た目が子宮みたいな感じになっています。少人数ずつ中に入れるのですが、一番奥のところで人々がごろごろっと寝てたんですね。自分もそこに混ざりながらごろごろできます。 その後、

ヒトと医療を結ぶアート企画「感覚をいただく食事会~食べるオノマトペ」の裏側で考えていること

「宇宙兄弟」から生まれたALSという難病の治療研究を支援する基金「せりか基金」。物語が現実の医療に貢献しているというのがとても好きで、みじんこも2020年1月から毎月3265(みじんこ)円を支援しています。 同時に、自分でも毎月3265円の作品を2点販売することで、自作と「せりか基金」のプロモーションを合わせてやっています。 元が獣医だったので、アート制作を通じた医療貢献っていうのをずっとやりたかったんですね。iPS細胞に支援というのもやってたことがありましたが、「せりか

人は自然のルールとしての物理現実のなかだけでなく、思考のルールの中に生きる、マリーナ・アブラモビッチ

マリーナ・アブラモビッチという、パフォーマンスアートの神みたいな方がいるんですが、自分の身体を作品のように扱い、観客との間の関係性をアート作品にしてる作家さんです。 彼女の作品の中でも「Rhythm 0」という作品がとても興味深いのです。 「Rhythm 0」は、6時間の間、無抵抗のマリーナに、観客が何をしてもいいというパフォーマンスです。マリーナは当時23歳。 小道具としてハサミやバラ、羽、ベルト、ロウソク、1発の銃弾を込めた拳銃など72個の物体が置いてあり、観客はそ