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9月の日曜日「またまたもう9月」

 さてさてまたしても、もう九月である。金曜日、仕事終わりに郵便受けを見てみると、こどもチャレンジの九月号が届いていて、それを片手に玄関のドアを開けると、娘が駆け寄ってきて、「それ、くがつごう? やったー!」と抱えて行った。いつも届いたら娘の部屋の机の上にそっと置いておくのだけれど、数日前から楽しみにしていて、何度もそこを見ては「まだとどいてないか」などと言っていたので、本当に嬉しそうだった。今月号はサイコロを二つ使うすごろくの付録があって、ようは簡単な足し算をしながら遊ぶ、というモノなのだけれど、一所懸命、指を使って計算している。以前は露骨に右手と左手の指の本数を数えていたのだけれど、昨夜は声に出しては数えておらず、じっと指を見つめていた。僕が「数えないの?」と尋ねると「だって、かぞえたら、さんすうじゃないじゃん」と、誰に言われたのか暗算をしているようだった。実際は左右の指をじっと見つめているので、頭の中で数えているのだろうけれど、なんというかまだ四歳なのに凄いな、と素直に感心した。

 僕の方は、ここ数日はアーマードコア6を例によって買ってしまったので、隙あらばプレイしている。十年ぶりの新作である。とはいっても、僕が主にプレイしていたのは初代プレステのころとプレステ2のタイトルをいくつか。二十代のころはバンドもやっていて、プレステ3自体を持っていなかったので、直近の作品は未プレイだったのだけれど、昨今のダークソウルやエルデンリングの盛り上がりを横目では見ていて、初代プレステ時代のフロム作品(スプリガンとかも)を好きだったことを思い出し、いつかアーマードコアの新作出ないかな、とずっと思っていたので、満を待しての発売だった。とはいっても熱心に情報を追っていたわけでもなく、発売日の一週間前くらいにファンの盛り上がりをネットで察知して、いくばくの逡巡の末に予約購入した。当日は案の定、寝かしつけで一緒に寝落ちしてしまったのだけれど、まだ早い朝にそそくさと起床し、プレステ4のスタンバイを解除して、コソコソとプレイしていた。今はやっとこさ、二週目をクリアしたところ。エンディングは三種類あるらしいので、引き続きちょこちょことやっていきたい。

 先月末に誕生日を迎えた。三十八歳だ。もうそんな歳か……、と思わないでもないけれど、二十代があっという間だったのに比べて、三十代は長く感じている。たぶん、娘のおかげだと思う。娘の成長を思うと、それはそれであっという間なのだけれど、人生における時間の密度が、なんとなく濃いような。当日は平日だったこともあり、妻がケーキを用意してくれて、簡単にお祝いしてくれた。二年前のこの日の動画を未だに見返していて、去年も今年もそのときの再現というか、マネを娘がしていた。ハッピーバースデー、パパ〜♪と最初は歌っているのに、途中から自分がケーキを食べたくて、ハッピーバースデー、ココ〜♪となるやつだ。ココは娘のことで、今ではもうそんなことはないのだけれど、二年前当時は自分の名前をまだ言えなくて「ココちゃん」と言っていた。今では姪っ子(娘から見たイトコ。妻の妹の娘)が、娘のことを「ココちゃん」と言っている。

 今日は今日で、当日を簡素にした分、美味しいお肉のお店を妻が予約してくれて三人で都心まで出て行ってきた。ブルジョワのバーベーキューと言った感じで、レストラン風の席に座っていると、串に刺さったさまざまな部位のお肉を持った店員さんがテーブルを回ってくれる、というスタイル。ランチだったけれど結構良いお値段のするお店だった。普段、お肉をガッツリ食べたいな、と思ったら『いきなりステーキ』に行くのだけれど、たまにはこういうのも良いかもしれない。サラダやデザートはバイキング形式になっていて、根が貧乏性なのでお皿にモリモリに盛ってしまい、せっかくのお肉のお店なのにすぐにお腹がいっぱいになってしまった。こういう食べ放題スタイルのお店だと、いかんせん食べ過ぎてしまい、終わりごろにはかなりキツくなってしまい、大食い王決定戦の決勝戦みたいになってしまう。途中、娘のトイレに妻が付き添って席を外しているときに、急に店内の照明が暗くなり、店員さんたちがハッピーバースデーを歌いながら、ケーキを運んできた。え、いやいま妻も娘もトイレ行ってるんですけど!? と一瞬焦っていると、僕を通り過ぎて隣のお客さんにケーキを渡していて、なんやねん、と思いながらも場の雰囲気に合わせて力なく拍手をした。戻ってきた妻にそのことを伝えると、「君、そういうの嫌いでしょ」とポツリ。いやまぁ、それはそうなんだけどさ。

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