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コットンクラブ/The Cotton Club

『完璧な映画は存在するか』

 この問いに、どう答えれば良いか。答えは簡単で、実際に完璧な映画をひとつ差し出せば良い。では、完璧な映画とは?

 人によって、どんな映画を挙げるかは様々だろう。『バック・トゥ・ザ・フーチャー』『レインマン』『ターミネーター』はたまた『蜘蛛巣城』などなど。単に名作なだけともいえるし、それ以上とも言えるかもしれない。『ゴッドファーザー』だって、パートⅢを除けば、そうかもしれない。ただ、その人にとっては完璧であったとしても、違う誰かにとってはそうではないかもしれない。当たり前だ。映画は完璧である必要なんてない。完璧じゃないところにこそ、魅力が宿っていたりする。

 禁酒法時代のアメリカ。大恐慌の少し前の時代の高級ナイトクラブで繰り広げられるドラマを描いたこの作品は、そんな『完璧ではないからこそ愛おしく感じられる映画』だろう。もちろん、人によるとは思うけれど。

 音楽を題材にした映画というのは難しい。なぜなら音楽を扱う以上、映画としてだけではなく、その音楽にも魅力がないといけない。例えば下積みを経て成功を得る歌手の映画があったとして、主人公の声や歌唱力が人並み以下だったら、物語の説得力がなくなってしまう。同時に、音楽を扱った作品に限らず、映画の半分は音楽で出来ているといっても過言ではない。だからこそ、音楽映画の音楽(劇伴はもちろんのこと、劇中の世界に流れる音楽)は、やはり重要だ。

 その点、この映画の音楽は良い。なんならこの映画自体をBGM代わりに流しておくのもオツなものだ。ストーリーは、やや散漫ではある。けれど、それゆえに流し見に適しているとも言える。なんだか褒めているのか貶しているのか判らないけれど、『上映中に眠くならないからといって、良い映画だというわけではない』のと同じように、流し観に適しているからって、悪い映画ではない。アンビエントミュージック(≒環境音楽)ならぬ、アンビエントムービーとしての視聴に耐えうる作りになっているのは、さすが巨匠コッポラとでもいうべきか。

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