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12月の火曜日「レスト・イン・ピース」

 12月だ。朝晩はすっかりというか、しっかりと寒くなり、早くも上下ヒートテックが手放せなくなっている。とはいえもう12月なので、『早くも』でも無い気もする。しかし、今週半ばにはまた最高気温が20℃近くなる予報も出ており、ままならない。上下ヒートテック、特に下のヒートテックは一昨年くらいにデビューしたのだけれど、相変わらずトイレで用を足すときは手間である。ギリギリで駆け込んでしまうと、いろいろとギリギリになる。

 十日くらい前から左目がなんかゴロゴロとするな、と思っていたものの先週末あたりから明らかに腫れてしまい、土曜日に眼科に行ってきた。二年前にも右目にできたが、モノモライなんてそれまで一度もなったことがなかったのに。なんだか少し不本意である。もらった目薬を差しているが、病状はあまり改善していない。なんなら少し進行しているフシもあるが、前回もそんな感じの経過だった。一旦、ピークを迎えてから収束していく、というか。こちらも不本意ながら、まぁ仕方がないと付き合うことにするが、目がシパシパしてしまうので、パソコン仕事にはわりと支障が出てしまう。

 お昼に入ったまぜそば屋で、注文をしたあとツイッターを眺めながら待っていると、チバユウスケの訃報が飛び込んできた。思わず「えっ?」と声に出てしまった。嘘だろ嘘だろ嘘だろ、脳内にリフレインしたが、なんとか抑えた。なるべく平静を装って(誰に対して?)、出来上がったまぜそばを食べた。いつもどおり刻み生姜も入れた。夕方、確かこの人音楽詳しかったよな、という同僚と少しだけそのことについて話した。僕より年下だったので、後追いだけれど好きだった、と言っていた。タトゥーがドタキャンしたMステ、リアルタイムで見てたんですか? 良いですね、と言われた。

 19歳のころの一時期は、ほとんどパクリみたいなバンドをやっていた。僕もどちらかと言うと後追いではあったけれど、ROSSOのライブには一度だけ行った。新潟フェイズだったか新潟lotsだったか、記憶が定かではないけれど、『シャロン』という曲の最中に、目の前にいた女の子が文字通り音を全身で浴びるようにして聴いていた光景が印象に残っている。光と音とメロディが今でも目と耳に焼き付いている。アンコールをやらなくて、終演後にはほとんど叫びみたいな「チバーーーーーーーッ!」という声が何度も何度も響いていた。僕もそれに紛れて、一度だけチバーーーーーーーッ! と叫んだ。

 満腹感からくる気怠さも相まって、午後は「もう仕事なんてやってられるか」という思いと戦いながら定時になった瞬間に帰宅した。仕事は残っていたけれど、目も痛いし別に明日でも良いし。昼休みに聞こうと思っていた曲たち、でも今聴いたらそれどころじゃなくなるな、と思って止めていた曲たちを聴きながら帰った。家に帰ってから、妻と娘がお風呂に入っている隙に一曲だけ録ってTwitterに上げた。コードだけさらって一発で録ったので、歌詞を少し間違えていたけれど、気持ち的に一回しか録る気が起きなくて、そのまま上げた。

 いつもどおりの生活というか、娘とのルーティンがあるので、いつもどおりやりながらも、今日は合間にTwitterを見てしまっていた。こんな日くらい、と思いつつ。SNSなんて、どこか無いなら無いで良いか、と思っているけれど、あっても良いな、と少しだけ思った。

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