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3月の月曜日「きのうみたゆめ」

 三寒四温というにはちょっと極端なくらい、季節を先取りして暖かくなったと思ったら、雨が降り冷え込み、とはいえ例年通りか、と思っていたところに、今日はまた春らしい気温になった。桜がもう咲いたようで、花見なんかはしないから無関心でいたけれど、やたらと気にする同僚がいて、それを若干鬱陶しく思うことをどうかと思うくらいには、自分の性格の悪さには自覚的だ。

 なんの気まぐれか、この前の休みに近所の花屋さんに行き、プランターと花の種を買ってきた。もちろん培養土も。早咲きコスモスという種で、店主曰く、今の時期ならこれが簡単で良いらしい。駅前にあるようなチェーン店的な店ではなく、初老の店主が切り盛りしている個人経営のお店で、奥で新聞を読んでいたところに声をかけると、丁寧に説明してくれた。

 百均で買ったジョウロで毎朝、娘と妻が水をやっている。僕はラッキィ池田の頭にあるやつを勧めたけれど、娘は黄色のジョウロを選んでいた。もちろん、そっちの方がセンスが良い。いや、ラッキィ池田の悪口を書いているのでない。そのジョウロを選んだ、という話だ。

 昨夜、夕食の時に「めがでたんだよ」と娘が教えてくれた。ベランダに置いてあるプランターを覗いてみると、確かに小さな芽がいくつか顔を出していた。花が咲くのは、六月頃らしい。コスモスといえば秋だけれど、これは早咲きコスモス。なんとなく、まだまだ先という感じもするけれど、こうやって毎日水をやって眺めながら、花が咲くのを待つのも悪くない。早く咲いて欲しいという気持ちもあるけれど、それまでの過程も楽しいと思えば、できるだけ先でも良いような気もしている。

 今朝、保育園に行く時に、娘がお友達と公園に行ってきた、という話を始めた。先週、保育園のみんなで行ったのかと思ったら、どうやら二人で行ったらしい。一瞬、わけが判らなかったけれど、興味深かったので、そのまま話を聞く。
「ひぃちゃんといっしょに、こうえんにいってあそんで、いえにかえるとき、みちがわからなくなったけど、けいさつにでんわして、みちをきいたんだよ」

 帰り道がわからなくなって、警察に電話をした。なんというか、何か困ったことがあったら警察を頼れば良いということを、もうなんとなく理解しているんだな、と感心した。警察の電話番号は? と尋ねると、「いちいちぜろ!」と自信満々に答えてくれた。頼もしい。iPhoneもiPadも、もうほとんど使いこなしている。まだ教えていないけれど、多分もう電話も掛けられるだろう。

 特に否定したりせず聞いていると、僕の顔を見て、「ゆめのはなしだよ」と教えてくれた。

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