遠隔〇〇に足りない物を真剣に考えてみる

株式会社桜花一門は「移動したくない」という欲望と利益のもと、VRを使ったり別のものを使って「移動したくない」を実現できないか日夜考えてます。
例えば最近作ったのは「アスベスト検査員の実地研修」を移動せず行うVRコンテンツ＆システムです。
1年ほど前にも「我々が現実の展示会に求めているもの」というのをまとめました

というわけで、「遠隔〇〇」を制作するには、まず現実の我々が意識、無意識レベルで享受しているものの分析が必要になり、そこから要件定義が始まると思っています。

現実の飲み会で我々が享受しているもの

・世界からは味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚。そしてそれらがやってくる可能性というのも重要で、例えば我々が虚淵玄作品を見る時、「絶対なにかある」と身構えて見る。逆に「この作品にどんなドンデン返しはないです」と言われて見ると緊張感も無くなる。そういう可能性です

・人から享受するものとしては、「楽しそうにしている人を見て、自分も楽しくなる」というミラーリングです。これこそが重要だと思ってます。

Zoom飲み会で人が享受しているもの

Zoom飲み会ではこの中で味覚と聴覚、不完全な視覚だけが享受できます。
かなりのものがZoomによりスポイルされるわけで、そりゃ楽しくないものになるなと思います。
VRで行うとZoomより多少スポイルされるものは減りますが、やはり最終的に「お互い相手を殺す事ができる緊張感」という生物にとって一番重要なものがスポイルされるので現実のままとは言いづらいです

やっぱり遠隔はだめなのか？　リアル最高なのか？

そんなことはなく、例えば孤独のグルメ。あれはテレビで映像で遠隔である。でも人は井之頭五郎ちゃんを見ると、
・五郎ちゃんが美味しそうに食べるのを見て、ミラーリングでこっちも美味しそうに思う
が発生すると考えています。五郎ちゃんと一緒に何かを食べれば、遠隔宴会も可能です。

Zoom飲み会と孤独のグルメは何が違うのか？

端的に言うと「孤独のグルメは貴方を楽しませるために全力を出している」ということを考えています。脚本、カット割り、編集、演技、ナレーション、音楽。すべてを遠隔で貴方を楽しませるために使われています。
逆にZoom飲み会の時、貴方は全力で相手を楽しませようとしてますか？　してませんよね？　相手もそうです。だからZoom飲み会がつまらないのかもしれません。

【仮説】遠隔では色々なものが薄まるので、コンテンツを足す必要がある

本能、脳のミラーリングにより目の前の相手が楽しんでいたら、こっちも楽しそうになる。遠隔だとそれが起きないので、楽しい気分を追加しないといけない。そのために必要なのが脚本、カット割り、編集、演技、ナレーション、音楽それらを総称して「コンテンツ」になるのだろうと思います

ぶっちゃけ、生身の人間は目の前に立っているだけでコンテンツになるってことで、すげーぞーーーー

生身の人間すごいな（小並感）
逆にその事実に目を向けずに、現実を再現しようとしただけの遠隔〇〇は薄くなるのかもね。

次の問題。誰がコンテンツを作るのか？

コンテンツを作るのは大変です。あなたがZoomで全力で人を楽しませていないのは、それが難しくて大変だからです。またコンテンツもバズワードだと思っていて、もっと紐解くと「終わった後に、相手にどうなっていて欲しいのか。その状態変化」だとゲーム企画者の自分は考えています。
（この相手がどうなっていて欲しいか、についてはWii初期のテレビCMが秀逸です。ゲームの細かい説明はせず、Wiiによって家族の平和な団らんが待っている状態変化にスポットを当てたCMです）

このあたりまで体験をデザインして作れる人間が、遠隔〇〇を作らないとあかんのかもなーと今考えています。

また一般的なSNSのようにコンテンツ制作のハードルを下げることで、ユーザーに作ってもらうという手もあります。マインクラフト、Roblox、セカンドライフ、VRCなんかもそうです。（ただ最初は製作者がコンテンツを作らないといけんのだろうなとも思ってます）

結果それは現実を模倣し薄まったものじゃなく、テレビやゲームのような既存のものに近くなるかもね

と最近はよく考えています。
例えば具体例をあげると、展示会の目的が「商品と人間の出会い」と考えると、商品の出会いというジャンルに関してはジャパネットたかたこそ至高。人との出会いはマッチングアプリ（出会い系サイト）こそが至高。
そうなると理想の遠隔展示会とは、「ジャパネットたかた＋出会い系サイト」が合体したものになるのでは？　と思考実験を重ねています

俺たちの遠隔の道はまだ始まったばかりだ！

めざせ完全リモートワーク社会、に向けての戦いはまだ始まったばかりだ！！　桜花一門先生の次回作に乞うご期待！

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