断罪!サタニズムによるインターフェースデザイン思想
神は万物にアフォーダンスを与え、
悪魔は人にシグニファイアを与えた。
※この記事は SmartHR Advent Calendar 2019 24日目の記事です。
あ゛〜が〜ぞ〜だ〜い゛〜も゛〜ん゛〜(挨拶)
SmartHR デザイナーのおうじです。
生まれたときから顔面白塗り、手足は鋲だらけなのでこの時期になると身体が粟立ちます。
アドベントカレンダー。ブラックメタルの本場ノルウェー風に言うとユール・カレンダー(Julekalender)、にはこれまでとんと縁がなかったのですが、会社の好意でサタニストの私が参加させてもらうことになりました。
SmartHR はとてもオープンでサタニックな会社ですね。
ちょうど先日は同僚のデザイナーが UI デザインにおける構造・設計の話を書いていたので、この記事ではそのあとの工程、表層を表現するにあたっての精神論を悪魔的に書ければと思います。
UI デザインの記事です。あくま(悪魔)でも。
現代のサタニズム
古くからイメージされるサタニズムは、神として悪魔を崇め、冒涜的な行いをすると想像されてきましたが、1960 年台に創立されたサタン協会の教義ではこれらを否定しています。
まず、サタニズムはあらゆる神を信仰しません。(悪魔と名のついた存在も含め)
サタニズムとは少数派的な精神・思想であり、自分自身の行いや考えをどのように発展させていくかを模索するものです。
サタニズムには 9 つの罪 があります。
1. 愚鈍さ
2. 虚栄
3. 唯我主義
4. 自己欺瞞
5. 群れに従うこと
6. 見通しの欠如
7. 過去の権威を忘れること
8. 非生産的なプライド
9. 美意識の欠如
そのいずれも我々資本主義の中に生きる現代人にとってはあたりまえに嫌悪を覚える罪ばかりです。
しかし、ことインターフェースデザインの業務領域になると人はそれらの罪を犯してしまいがちです。
以降は実際にインターフェースデザインの現場で犯される悪魔的罪について紹介していこうと思います。
サタニズムには「求められてもいないのに意見や忠告を与えないこと」というルールがあるので、みなさんへの忠告ではなく私自身が犯したの罪の告白という形式にします。あくま(悪魔)でも。
断罪せよ!
「虚栄」の罪
虚栄とは、ありもしないものがあるように見せる様子や、実態とは異なるように見せかけることです。
ことインターフェースデザインにおいてこの罪はよく犯されがちです。
自身の経験で印象に残っているのが、「アンカーとボタンの見た目」問題です。
アンカーとボタンは HTML 要素やコンポーネント実装を見ればわかる通り、全くの別物です。
一般的にアンカーは GET メソッドを叩くだけのものに対し、ボタンは POST メソッドやフロントエンドのファンクションを叩くこともあります。
これらを同じ見た目で表現していたところ、一部の画面で「この見た目のコンポーネントはページ遷移する」と学習したユーザーがボタンタグに対して別ウインドウで開くために右クリックを連打し、目的達成ができないという不幸がありました
まさに虚栄のインターフェース。サタンの御名において断罪する。
「唯我主義」の罪
サタニズムで罪とされる「唯我主義」とは、自身が知っているものや感知できるものだけを信用し、他者の知識や認識をないがしろにするというものです。
私が以前デザインシステムを開発しはじめたころ、コンポーネントデザインの効率化を目指してかのアトミックデザインを採用しました。
私やデザインシステムの開発メンバーにとってアトミックデザインはとてもシンプルで運用可能なルールのように見えましたが、いざデザインシステムの運用を開始すると、利用者がコンポーネントを探す際、どのディレクトリになんのコンポーネントが入っているか理解するのに苦労しているようでした。
アトミックデザインを手放しにシンプルで運用しやすいルールだと思い、誰もが容易に理解するであろうと考えるのは傲慢です。
ルールを適用したからには、どんな些細なことであっても丁寧かつ根気強く他者へ説明を続けるべきです。
まさに唯我主義。サタンの御名において断罪する。
「見通しの欠如」の罪
サタン協会はこの罪について
自分が誰で何なのか、自分の存在が何を脅かすのかなどについての展望を失ってはならない
と解説しています。
人は誰であれ社会的、歴史的に繋がった存在であり、自身がそれらに与える影響を認識していなければいけません。
インターフェースも同様に自身(コンポーネント)が世界、すなわち画面に与える影響を意識しなければいけません。
私が複雑なフォーム画面をデザインしていたとき、「特定の選択肢を選んだ際にのみ追加入力してほしい選択肢がある」という要件がありました。
私は特に疑うことなく、ラジオボタンの選択肢によって続く質問事項の表示・非表示が切り替わるフォームをデザインしましたが、ユーザーは画面をお行儀よく上から順番に見てはくれません。
ユーザーがあらかじめその隠されたフォームの質問を入力しなければいけないとわかっていたとき、前提となるラジオボタンよりも前に隠されたフォームを探そうとしていました。(当然、そのフォームは隠されているので発見できません)
まさに見通しが欠如したインターフェース。サタンの御名において断罪する。
終わりに:神のアフォーダンスと悪魔のシグニファイア
神は万物を創造し、あらゆるモノのあり方を決めつけました。
時は流れ現在、わたしたち人間は他者に使われることを目的としたモノをデザインしています。
他者は時に無知で愚かで、わたしたちに害をなすことすらあります。
しかし、この記事で紹介したように自己も容易に罪を犯し、他者へ害を成すことがあります。
自己がエゴのために他者へもたらした害、他者がエゴのために自己へもたらした害。
それらを飲み込み、純粋な利益のためだけにデザインする我々こそが真のサタニストであると私は思うのです。
個人の見解です。あくま(悪魔)でも。
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