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FIPと抗生物質の必要性

画像:pixabay HeungSoon

抗生物質につきましては、私にFIP発症のご相談を下さる方の多くが使用に困っていらっしゃります。
私としてはある条件さえ揃えば明確に「不要」と考えていて、
今回の記事ではその理由を書かせて頂きます。

抗生物質(抗生剤)
抗菌薬の一種。
中でも細菌や真菌等、生物から作られた物を抗生物質の名称で呼びます。

但し多くのお医者様が抗菌薬と抗生物質を同義語で使用する為、
実際にはどちらも同じ意味で使用されています。
その為、この記事内でも抗生物質(抗生剤)として統合して呼称します。

イギリスの細菌学者、アレクサンダー・フレミングが1928年に青かびからペニシリンを見付け、これが世界で初めての抗生物質となりました。

※参考ページとして
「抗生物質 - Wikipedia」
「抗菌薬とは | かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~」


1.なぜ抗生物質が出されるか

勘違いされる事が結構多いそうですが、
抗生物質は菌には効きますがウイルスには効きません。
FIPはコロナウイルスなので、当然FIPには効かないんですね。
※ウイルスに効く薬は「抗ウイルス薬」

風邪の時に抗生物質を出された方も多いと思いますが、
風邪も殆どの場合はウイルスです。
割合にして8~9割です。

ではなぜ処方されるかと言うと、予防の観点からです。

その説明の前に、まずは菌とウイルスの違いをご説明させて頂きます。


・「菌」と「ウイルス」の違い

さて、先に面白い議論を一つご紹介させて頂きます。
それは医学界でも中々に意見の分かれる所の様ですが、
「ウイルスは生物か否か」と言う議論です。

増殖しますし、人間や動物の体を乗っ取りますし、「ウイルスを殺す」なんて言いますし、生物なんじゃないの?と思われた方が多いと思います。

ですが生物学的に見て、ウイルスは生物ではない、と言う説が有力です。

何故ウイルスが生物ではないと見られるかと言うと、
ウイルスは生物の要件をおよそ満たしていないんです。

つまりウイルスには

「細胞」が無く、
「代謝」が無く、
「単独での増殖」が出来ない

と言う事です。

「いきもの通信 Vol.219[今日の勉強]ウィルスは生物か非生物か?」


ウイルスは核酸(DNAかRNA)と蛋白質で構成されています。
”細胞”ではありません。

また、ウイルスはエネルギーとなる物質を取り込んで活動に利用、
不要物の排出をする作業である”代謝”をしません。
ですから勿論、消化器官もありません。

そして細胞がないため”単独での増殖”が出来ません。
だから他の生物の細胞を乗っ取って増殖するんですね。

この通り、ウイルスは人間の想像する「生物」の要件を満たしていない為に、生物へ分類し辛いのが現状です。
※分類上は微生物にあたります

「ウイルス学 - Wikipedia」


また、現在の生物学の基礎となっている「細胞説」は、
「生命の最小単位は細胞である」と言うものです。
この生命の最小単位である細胞を持たないウイルスは生命ではない、と言う考え方ですね。

「細胞説 - Wikipedia」


個人的な意見を言ってしまえば人間の分類なんて後から勝手に作った物ですし、自己を増殖させる目的こそが生物たる証明の様な気がしますが、
とにかくこれらがウイルスの特徴です。

対して細菌は明確に「生物」です。
上述したウイルスの持っていない物、出来ない事を
全て持っていますし出来るんです。


余談ですが、細菌以外にも「真菌」があり、
これには「抗真菌薬」が処方されます。
真菌とはカビの事で、水虫を引き起こす白癬菌もこれに当たります。
細菌は単細胞で、カビは多細胞です。

細菌と真菌はウイルスに比べてずっと大きく、10~100倍の大きさです。
ウイルスは生物の細胞と比較すると100~1000分の1の大きさしかないんですよ。

「今さら聞けない「ウイルスと細菌と真菌の違い」」

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・菌もウイルスも同じ様な病気を引き起こす

風邪の原因の殆どはウイルス由来ですが、たまに菌由来の物があります。
菌が起こす有名な病気として「マイコプラズマ肺炎」が挙げられます。
肺炎にもウイルス性肺炎と細菌性肺炎があるんですね。


※参考ページとして
「ウイルス - Wikipedia」
「細菌とウイルスは違うって知っていますか?|朝日新聞デジタル」

「ウイルスについて ~ウイルスと細菌の違い~」


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2.抗生物質が出される理由

抗生物質が出される理由は予防の観点からと書きました。
つまり殆どの場合はウイルス性の風邪ではありますが、
1~2割は菌由来なので念のために出される場合が一つ。

もう一つは、こちらが主な理由なのですが
風邪で弱った体への細菌による二次感染を防ぐ
という理由で出される場合が一つです。
例えば肺炎や副鼻腔炎、中耳炎、膀胱炎などですね。

実はこの処方の主な理由となっている二次感染予防には殆ど効果がない事が、最近の幾つもの研究で分かっているそうです。

※参考ページとして
「風邪の治療・抗生剤治療について|キャップスクリニック|内科 小児科」
「ろっこう医療生活協同組合 Q19)予防的に抗生物質をのむことは良策ですか?」



・抗生物質の副作用

抗生物質はとても強い薬で、酷ければ

腎障害
心臓・呼吸障害
血液障害(溶血、血小板減少 等)

「抗生物質の副作用とその対策 | 新宿さくらクリニック」

を引き起こす事もあります。

私も実際にペニシリン系の抗生剤である「サワシリン」で動悸が起き、
すぐに服用を中止した経験があります。
注射薬では死亡だって多くあるんですよ。
その件については別の項目で詳述します。


ただ、そういった理由が無い限りは一度服用を始めた抗生剤は飲み切らなくてはなりません。その理由は次に記しますね。

他にも肺炎や感染症などが副作用として挙げられ、
抗生剤で防ぐ筈の病に罹るなんて意味がありませんよね。

更に、抗生剤を簡単に使用してはいけない理由があるんです。


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・世界的驚異の「耐性菌」

この安易に抗生物質を処方する状況が世界的に続いた結果、
現在 薬剤耐性を身に付けた「薬剤耐性菌」が数多く出現しています。

世界的規模で危機的な状況なので新聞等でご覧になっていらっしゃる方も多いと思いますが、耐性菌による死者は世界で年間、最低でも70万人です。

「抗菌薬使い過ぎで年70万人が死亡 専門家団体が発足「国民が知る必要」


更に、どんな抗生物質も効かない多剤耐性菌
「スーパー耐性菌」と呼ばれて世界中で脅威に見られています。

この耐性菌が出てしまう原因の一つとして、
「途中で服用を中断してしまう」という事が挙げられます。


抗生物質は基本的に全ての菌に対して効果があります。
つまり体に良い菌だろうと悪い菌だろうと殺してしまうんですよ。
そうすると腸内細菌が纏めて死んで、一時的に緑色の便が出たりします。


これって免疫を著しく落とす危険な行為だと思うのですが、
とにかく薬剤耐性を獲得している菌は、当然ながら抗生物質の服用中でも我慢出来ています。
そうすると体内はこの耐性菌達の天下になってしまい、
それが体外に出て、世界中で増えてしまいます。

ですが、スーパー耐性菌でなければ十分な量の抗生剤を最後まで服用する事で大抵の耐性菌は殺せます。
ですから「抗生剤は最後まで飲んで下さい」、と言われるわけです。

他にも、そもそも抗生物質に曝露される事自体が薬剤耐性獲得の原因になりますので、とにかく抗生物質の安易使用は危険、と言う事ですね。

「どのように耐性化するのか | 薬剤耐性菌について | かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~」


この様な状況に伴い耐性菌問題はWHOでも優先課題とされ、
日本でも2017年に「抗微生物薬適正使用の手引き」が作られました。
この手引きに従って軽症例に対して抗生物質が不要と医師が判断し、
患者に説明した上で処方を「しなかった」場合に
その医療機関へ800円が報酬として支払われる
というものです。
※小児患者のみ

ですが800円の内の3割(未就学児は2割)は患者の自己負担だと言うのですから、お国はちゃっかりしていますよね。

そもそも実際に不要な薬を「出さない」のですから、
医療行為として当然と言えば余りにも当然の事
であり、
これを国が支援という構図なら素晴らしいのですが、
何故か患者が「出されないお薬にお金を払う」と言う状況。

納得出来ない事は間違いないのですが、
それでも目を瞑らなくてはならない程に世界中が危機的状況にある事は間違いありません。


※参考ページとして
「風邪に抗生物質、使わない病院に報酬 耐性菌の抑止策」
「脱・薬漬け 「投薬せず」が病院収入に」
「抗生物質と腸内フローラ|乳酸菌生産物質の原料・製造/乳酸菌生産物質の光英科学研究所」

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・FIPで抗生物質が出される理由

FIPで抗生物質が出される理由は勿論、二次感染予防です。
コロナウイルスが原因ですから、ウイルスそのものには効きません。

FIPでは治療でステロイドを使用するのが標準的であり、
ステロイドは免疫抑制剤となりますから極端に免疫が落ちてしまい、
普通では罹らない様な感染症に罹ったりします。

合併症として口内炎や歯肉炎はよく見られますし、
通常の免疫状態なら倒せるあらゆる菌とウイルスに負ける様になってしまうんです。

勿論FIPV(Vはウイルスの頭文字)にも負ける様になります。
これが緩和、延命療法と言われる所以です。
症状による炎症を抑えても、
ウイルスを殺せなくなってしまう諸刃の剣
と言う事です。

ですが上述した通り、抗生物質に「予防効果」が無い事は近年幾つもの研究で明らかになっています。


更に体内で耐性菌を作り出して保菌したまま、
その菌が体が弱った時に暴れ出してしまったら手の付けようがありません。

ブログの方では度々お伝えしている事ですが、
FIPで免疫の要である腸内環境を整える事は非常に重要な課題です。
その環境も抗生剤で滅茶苦茶になってしまいますし、
副作用で肺炎や感染症になったり腎障害を引き起こしたりもします。

百害あって一利なし、ですね。

なので抗生剤は飲むとしたら、
症状が出てから正しく飲まなくてはいけない
んです。
「予防」に使用して良い薬ではないんですよ。

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・抗生物質の注意点

処方される際の特に大切な注意点として、
抗生剤は必ず内服薬でお願いして下さい。

機能があるならば赤文字で書きたいくらいです。
なのでもう一度書きます。

抗生剤は必ず内服薬でお願いして下さい。


ブログの方でのご紹介となりまして恐縮ですが、


こちらの「4.なぜ注射は危険なのか」でも書いております通り、
注射薬は肝臓の濾過を経由しない為に薬毒がもろに体内へ入り、
急逝を引き起こす事もあります。

特に2週間続くと言われてよく使用される「コンベニア注」は絶対に使用しないで下さい。

こちらももう一度書かせて下さい。

「コンベニア注」は絶対に使用しないで下さい。


「コンベニア注 死亡」と検索すると怖い程出てくる、とても強い薬です。特にFIPで弱った体なら命取りになります。

実は家のドライ疑いの子も、
このコンベニア注射を避妊手術の時に打たれてしまいました。

手術が原因なのか分かりませんが、夜中に震えて元気なく小さくなってしまい、自分の無知さを本当に後悔しました。
2週間も持続する(体にも)強い抗生物質があるなんて思いもしなかったんです。

お薬が原因かも知れないと考え、大慌てでビタミンC、ミルクシスル、鯉油をあげられるだけあげました。
これらはnoteでご説明するのは大変難しいので、
ご興味がおありの方はブログの方へお願い致します。

暫くすると落ち着いて休み、少しすると手術当日にも関わらずキャットタワーを昇り降りしたり走ったりしたので安心しました。
傷口が開きそうで別の意味で心配はしましたが・・・。

自戒でもありますが、
処置の一つ一つに必ず「それは何ですか」と聞く癖を付けて下さい。
自分が納得するまでは絶対に使用しない事、
強いお薬は絶対に避ける事(「避けて下さい」とお願いする事)を徹底して下さい。

健康な子でも医薬品で亡くなったりするんです。
FIPの子はその一つ一つが確実に命を縮めます。


この様に、抗生物質は時に命を落とす直接の原因ともなる怖い薬剤です。
それでも二次感染は心配、予防は(抗生物質では出来ませんが)したいと思われる方もいらっしゃると思います。
私もそうです。

冒頭で述べた「ある条件さえ揃えば不要」はこのお話に繋がるのですが、
つまり薬害が無く、耐性のつかない抗菌剤をあげれば良いんです。

※参考ページとして
「風邪に抗生剤(抗生物質)は危険です(米国小児科学会) -ふかざわ小児科福岡市東区」

「FORTH|最新ニュース|2017年|抗生物質への耐性について (ファクトシート)」
「抗菌薬使い過ぎで年70万人が死亡 専門家団体が発足「国民が知る必要」
「薬が効かない…恐怖の“耐性菌” 河川や公園の池でも見つかる」
「耐性化のメカニズム | 薬剤耐性菌について | かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~」


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3.天然の抗菌剤は耐性が付かない

日記の方では度々ご紹介していますが、プロポリスとマヌカハニーには強力な抗菌作用があり、「天然の抗生剤」と呼ばれています。
どれ程強力かと言うと、どちらも海外では医療用として認可されている程に強力で、マヌカハニーは日本でも仙台の国立病院で使用されています。

「ハチミツによる感染創の治療|国立病院機構仙台医療センター外科部長・臨床研究部長 武田和憲」


プロポリスとは:
プロポリスは西洋蜜蜂が樹脂、樹液、蜜、新芽などを蜂の分泌物と混ぜて作った蜂の巣の壁の抗菌剤です。

植物は傷付けられると抗菌作用のある物質を作ります。
それを集めて分泌物と混ぜ合わせ、巣の壁に塗りつける事で強力な殺菌力により巣内を無菌状態に保つ事が出来るんです。
巣内は数万匹の蜂がおり、高温多湿ですがプロポリスの殺菌作用でカビ一つ生えません。
この性質上、プロポリスは「天然の抗生剤」と呼ばれます。

家の子にも膀胱炎の際に使用しましたし(膀胱炎は細菌が主な原因)、病院に連れて行くと2匹共に病気予防として飲ませます。

雌猫にFIP疑いがかかった後はこれを毎日多めに飲ませていたのですが、毛艶が良くなりさらさらのふわふわになりました。
雄猫の方にも飲ませましたが、やはり同じようになりました。


マヌカハニーとは:
ニュージーランドに自生する「マヌカ木」の花から採った蜂蜜で、
プロポリスと同じ様に「天然の抗生剤」と言われる程強い殺菌作用があります。

この花は夏季の1~4週間しか咲かない非常に貴重な物です。
ニュージーランドの先住民族である「マオリ族」はマヌカ木を昔から薬木として活用して来ました。
「マヌカ」はマオリ語に由来し、「復活の木」、「癒しの木」の意味です。



・抗生物質より効く例もあり、耐性菌を殺せる天然の抗菌剤

実際に行われたマヌカハニーの臨床実験では、
抗生物質を数ヶ月投与しても疾患が改善しなかった患者にマヌカハニーを試した所、数日間で完治した程に高い殺菌効果があります。


「マリリニュージーランド 医療用マヌカハニー’MANUKA MED’とは?」
「マリリニュージーランド マヌカハニーとは?」


また、これらには耐性菌が確認されておらず、
逆に抗生剤の効かない耐性菌を殺す為に使用されています。


「プロポリス - Wikipedia」
「抗生物質が効かない細菌に、蜂蜜で対抗|WIRED.jp」


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・プロポリスとマヌカハニーの副作用

この二つに副作用は殆ど無いと言われていますが、
「アレルギー」が極々稀にある様です。
他にプロポリスは抗血液凝固作用の可能性、喘息増悪の可能性を一部の専門家が指摘しています。

また、良い商品なら薬品汚染(農薬等)されていない植物から集めた物を使用するのですが、粗悪な物だとその薬品汚染に反応してアレルギーを出す事があるそうです。


いずれにしてもどんな物でも少量づつ、
悪い変化が無いかを慎重に見て与える事が安全です。

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・プロポリスとマヌカハニーの選び方

大変魅力的なこの二つは、どちらも世界的に偽物が数多く出回っています。
上述した様に汚染された物も出回っていますし、
安物買いの銭失いにならない為には信頼できるメーカーと商品を見付ける事が大切です。
必ずどちらも認証や証明書のある物をお選び下さい。


※参考ページとして
「第2回 マヌカハニー中の強力な抗菌物質は「MGO」であることがついに判明|株式会社 シクロケム」
「美肌ケアと傷口ケア | マヌカヘルスのマヌカハニー」
「プロポリスまめ知識 - ブラジルプロポリス本店」

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インターネット上で様々な情報を共有して下さる皆様、
日々研究を積み重ねて社会をより良くして下さる皆様に、
心からの御礼を申し上げます。

ご無理がなければ100円のご支援をして頂けますと、大変有り難く思います。