見出し画像

初心にかえって男子新体操を褒め称えてみたい

私が男子新体操のファンになったのはかれこれ5年ほど前のことになります。当時、こんなスポーツがこの世に存在することを全く知らなかったため、その同調性や芸術性にそれはそれは驚いたものですが、以降、さまざまな演技を見る機会を得、日々の練習風景なども知るようになるにつれ、その感動は薄れ………

るどころか、ますます深まっていくことを、今日は語ってみたいと思います。

画像2

2019年秋に行われたクラブ選手権での一コマです(写真撮影:M. Yamamotoさん)。

男子新体操の定番中の定番、「柔軟」。だいたい、このように脚をまっすぐ伸ばして左右に開き、おなかを床にぺったりとくっつける…という技を6人揃って行うのが定番なのですが、この「柔軟」にも、各チーム個性を出そうといろいろ工夫が凝らされています。この演技は2018年度の国士舘大学の「糸」の団体ですが、この柔軟を初めて見た時の衝撃は忘れられません。撮影のため、マットの左サイドからカメラを構える私の真正面に、6人の選手がこんな感じで。(右手の位置、首の角度をわずかに変えるだけで、こんなにも表現力ある柔軟になるのかと驚くばかり)

スクリーンショット 2019-11-10 17.40.18

動画で確認したい方はこちらをどうぞ(正面からの映像のあとにサイドからのクローズアップ映像があります)。

この柔軟の衝撃については、今だにうまく言葉にできません。「糸」という名曲を表現するために、指先の表現を取り入れたということや、シルク・ドゥ・ソレイユで活躍されたOBの野呂昂大さんと弓田速未さんが振り付けに関わったことなどを後から知りました。ちなみにこの時のレオタードのデザインも、皆様すでにお気づきでしょうが、「糸」をモチーフにデザインされたものです。

少し前置きが長くなりましたが、それではいよいよ、2019年クラブ選手権での「KOKUSHIKAN RG」の柔軟を【写真で】ご覧ください。

画像12

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

実際に動画でこの柔軟の動きを確認していただけるとわかるのですが、この柔軟はわずか5〜6秒の間に行われる動作にすぎません(彼らの動作が瞬間的なものであることは、なびく頭髪によってわかります)。体を前に倒す、コンマなん秒かの動きの時ですら、上体の角度、腕の位置、頭の角度と方向その他もろもろ、完璧と言えるほどに揃っていることに、男子新体操を見続けて5年たった今でも、シンプルに驚愕することができるのです。

今回は国士舘を取り上げましたが、男子新体操のトップクラスのチームというのは多かれ少なかれ、このレベルの同調性を持っています。そして今回は柔軟を取り上げましたが、おそろしいまでの同調性が発揮されるのは、柔軟に限りません。

画像13

画像14

斜前屈の時も、タンブリングの時も。
身体中に、5人の仲間の動きを察知するためのセンサーがついているかのように、彼らはシンクロナイズするのです。

インスタにアップするためにM. Yamamotoさんが撮ってくれたこれらの写真を見ながら、男子新体操というスポーツの、もっとも根源的でもっとも本質的な魅力を再確認したように感じました。

人が揃って動くという、ただそれだけのこと。

それだけのことを磨き続けて、芸術の域にまで到達させてしまったスポーツが、男子新体操なのだと。


大会や取材の交通費、その他経費に充てさせていただきます。皆様のお力添えのおかげで少しずつ成長できております。感謝です🙏