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ロシアがいよいよ本気を出してきた

(トップ画像:イリナ・ヴィネル氏所有のジムで練習する花園大学の選手たち)

ロシアで男子新体操の大会が開催されたようです。

こちらのニュース映像に登場しているスーツ姿の男性は、アレクサンダー・ブクロフ氏。彼は、現在埼玉栄高校の監督である石田渓氏がロシアでコーチをしていた時の教え子です。

秋田市添川地区で活動している「ジャンクションスポーツクラブ」の関係者の方にロシア語のナレーションを翻訳していただきました。

今回の男子新体操の大会は歴史的な事になるのではないか? 今回の大会は10の県から子供達が集まりました。 年齢は10歳~15歳で、子供達は男子新体操に慣れてきています。

子供達は男子新体操にもっと慣れるために大会に出たいと思っています。 ロシア人は日本の男子新体操の練習を真似しています。 今回は4種目のうちの3種目を選んで出場しました。 スティックは1番扱いやすく日本の刀のような形をしている。 クラブは2人しか扱えなくスティックは全員扱えます。

ロシアの男子新体操は始まったばかりです。 器械体操や女子新体操の先生方に手伝ってもらいながら活動しています。 男子新体操のルールが分からないため女子新体操と同じルールで採点しました。 女子の柔らかさの変わりに男子は力強さを取り入れています。

今回の大会は1番最初の大会なのでマットの心配がありました。 ガザンから来た男の子が優勝しました。 男の子「結構難しく心の心配をしていたが最後まで頑張った」「毎日、朝昼晩練習しました」 今のところロシアの男子新体操は始まったばかりで、その素晴らしさが子供達に浸透はしていません。

2月に同じ場所で15歳以上の大会が開かれます。 15歳以上の子供達も、かなり上手なのでお楽しみ下さい。

かつて、ロシアのメディアは男子新体操に関する取り組みを以下のように報道していました。(2016年あたりのニュース記事。ロシア語を英語に機械翻訳したものを更に日本語に訳したもの)

日本発祥のこのスポーツは、2005年にイリナ・ヴィネル女史が始めたものだ。才能ある男の子を探している時に、サマラでアレクサンダー・ブクロフを見つけ、数ヶ月後には彼を世界チャンピオン*にしたのだ。

その後、どういうわけか男子新体操は急速に忘れられてしまった。しかしこのスポーツが長い間忘れられっぱなしになるなどということを、イリナ・ヴィネルは許さなかった。全ロシア新体操協会(WFHG)の会議で、男子新体操部門を作ることが満場一致で決議されたのだ。その担当者はアレクサンダー・ブクロフである。

「公式に認められたので、男子新体操のことを理解してもらうために今後は何倍も真剣に取り組んでいく必要があります。器械体操と混同されたくないのです。偏見や見下すような態度もありますが。」とブクロフ氏は言う。

イリナ・ヴィネルアカデミーは、新しいプログラムを立ち上げた。これは「スター・チルドレン」と呼ばれ、3歳〜12歳までの男女に体操を通して総合的なトレーニングを行う。来年には、20人からなるロシアチームができそうだ。

「いくつかの地域から申し込みが来ています。カザン、ペトロザボーツク、モスクワ、バルナウル、私の郷里のサマラなどが将来的にはつながっていくでしょう。ロシア全土から優秀な子供を選抜しています。」とブクロフ氏は言う。

「男子新体操で使われる手具は女子のものとは違います。女子より重いクラブ、リング、木製のスティックとロープです。また、考え方も異なっています。だから、男の子を女の子みたいにするというわけではないのです。」とブクロフ氏は語る。

「同じ手具であるロープにしても、女子よりずっとダイナミックで、アクロバットの要素があります。あらゆる種類の宙返り、ひねり、回転など。6人で行う団体もあります。手具は使われませんが、クレイジーなまでのアクロバットの要素と同調性があります。」とブクロフ氏は付け加えた。

すでにモスクワその他の都市で男子新体操のクラスが存在している。最近行われたAmina Zaripovaカップでは、ロシアの新しい種類のスポーツ(=男子新体操)の代表9人が演技をした。この地球上で最も成功したコーチであるイリナ・ヴィネルにとっては、ロシアといえども広すぎて手に負えないということはないだろう。イリナのおかげで、男子新体操がFIGの傘下に入るのも、遠いことではないと思われる。

*訳注)2000年頃に一時的に行われた国際化の試みの一環として、日本で「世界大会」が開かれた。

出典:

https://www.infox.ru/news/128/37016-viner-povedet-muzcin-k-cempionskim-titulam?

ロシアは男子新体操というスポーツを認め、選手を育成し、着実な取り組みを実現してきているようです。おそらく指導者も手探りの中で、日本の映像を見ながら練習しているのではないでしょうか。

私はこれらのニュースに接すると、「この子たちに日本の男子新体操を見せてあげたい!」「クラブの扱い方を日本のお兄さんたちに習うことができたら、どれだけ喜ぶだろうか」と思ってしまいます。

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(↑モスクワ・赤の広場で)

「国際化」とはいきなり男子新体操の国際試合が行われることではなく、まずは広く世界にこの競技のことを知ってもらうことから、ではないでしょうか。ロシアで男子新体操の試合が行われたならば、日本の選手を一人派遣して、エキシビション演技をするのも国際化の一環です。あるいは、ロシアの試合で優勝した男の子を日本に招待する、でもいいと思うのです。

国際化をするにしろしないにしろ、あるいはロシアと協力するにしろしないにしろ、その決断までの過程で情報を提供したり、相手側とコンタクトを取るなどのコーディネートができる人材が必要です。そのような人材を、男子新体操界の中から作り出す必要があります。若い世代の選手・OBの中から、国際感覚と語学力と、総合的なマネジメント能力を身につけた人材が育つことを祈るばかりです。

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↑地下鉄の駅とは思えない壮大なロシアの駅。Googleマップを見ながら、「おかしいな〜、この近くに駅があるはずなんだけど…」と迷っていたら、てっぺんに小さく「M(メトロ)」の文字を発見。ロシアという国の偉大さを思い知る。

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