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[OUEN Japan]とふるさと能登

明日から2泊3日で、富山県と石川県を訪問する。

ふるさとの山に向ひて言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな
(石川啄木)

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
(室生犀星)

うさぎ追いし かの山
小鮒釣りし かの川
夢は今も 巡りて
忘れがたき ふるさと
(童謡・唱歌 ふるさと)

実にふるさとを歌った歌は多い。その訳は、ふるさととは、"忘れがたき ふるさと"だからだろう。

私は、中学校を卒業して15歳で中能登町(旧鹿西町)を離れ、金沢大学附属高校に通うため金沢の寺町に下宿した。「東京大学に進み、花の東京で一旗挙げよう」と青雲の志を抱いていた。
吉幾三の"俺ら、東京さいぐだ"ほどではないが、「中能登町は何にもない田舎だ」と思い、中能登町に帰ることは露ほども考えていなかった(町長のお話しでは、「成人式のおり、成人になった若者たちに中能登町に帰ってきたいか聞いたところ、7割がイエスの回答だった。うれしかった」と。私の時代とは隔世の感がある。「中能登町は、そんなに若者に魅力ある町になったんだ」と私も嬉しくなった)。

昭和30年代後半〜40年代前半、私が10代で多感な頃は、日本は高度経済成長真っ盛りの元気溌剌オロナミンCの時代だ。今はオロナミンCやリゲインなどのスポーツドリンクは落目のようだが、当時はスポーツドリンクを飲んで24時間働く時代の始まりだった。"目指すは東京"であり、私はUターンを考えるのは負け犬だと思っていた。
勿論、家族は能登にいるし、先祖代々の墓もある。盆正月には帰ることはあったが、それも祖父母が亡くなってからとんと足が遠のいていた。不孝の極みだ。
そんなことで、私のふるさとの思いは15歳までの幼少の頃の懐かしい思い出だけだった。

[OUEN Japan]を設立して、石川県で[OUEN塾]を開催しようと思い石川県に帰ることが増えたが、その対象先は金沢市の企業と小松市をはじめとする加賀地方の企業だった。
高校の友人から、「小林は能登出身なのだから、能登の企業にも[OUEN塾]に協賛してもらうことをするべきだ」と言われ、それもそうだ、その通りと考え直した。そして、七尾市にある企業や信用金庫(能登には2つの信用金庫がある)を訪問してご協賛をいただいた。
七尾へは特急に乗って行った。中能登には4つのJRの駅があるが、そのどこにも停まらない。車窓から中能登の田園風景を懐かしむだけだった。

元日に能登半島が大地震に見舞われた。封印されていた能登への思いが俄然、沸々と胸に去来してきた。そして、その思いが日増しに高まってくる。

[OUEN Japan]は、日本の大学生や来日留学生を応援しようと思って設立したNPOだが、その名の通り、目指すは"日本を応援する"ことであり、それがミッションだ。そして、その思いは強いものでなくてはならない。中村天風師の絶対積極だ。特に、古稀を過ぎた身にとっては、今まで以上にその思いが強くなければ、その思いを果たすことができないと思うからだ。
この歳になると、心が身体を引っ張っていく、そして、心身一如、バランスがいい心身であることが何事を成すにも、それが大前提になる。

私は何でも屋であり、人にお願いされることは何でもやる。それで、的が絞られない。応援だと言って、あれもこれもに手を出して、それが自分の持ち味と思っていたが、それはそうではないだろう。

人生は有限である。思いは後に続く人につないでいくことはできるが、そのためにも、一本の主柱をつくり、その主柱を支えてくれる仲間たちの力を借りることで、その主柱は揺るがない大黒柱になっていくのだ。そして、その大黒柱が応援してくれた人たちを支えていく。
その好循環をつくるためには、思いを強く持った主柱を高く掲げ続けることだ。私には、今までその主柱がなかったと思う。

ふるさとから出て、そしてふるさとに帰る。そして、ふるさとに恩返しをする。それができることが、"人間としての幸せ"であろう。

人は幸せを求めて生きている。私の幸せは、お世話になった人たちに恩返しをすること。
応援の真髄とは、"恩返し"だ。キャッチボールだ。人は一人では生きていけない。人のお世話になって生きている。人とふるさとという心の支えがあって、人は生きていくことができる。

人とふるさとを応援できる幸せを噛み締めながら、恩返しをさせていただこうと思う。そんな気持ちで、人生の最終コーナーを廻って走ることにしよう。

[中能登町の山]
低い山だが、中能登町を南北に挟んでいる眉丈山の雨ノ宮古墳、石動山や碁石ケ峰は、最適のトレッキングコースだ。
月に一度の中能登町訪問で、近いうちに半世紀振りに訪れたいところだ。

不動院重陽博愛居士
(俗名  小林 博重)






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