見出し画像

注文住宅を建てようとする人の「営業ガチャ」攻略法 012

住宅ローンの借入先をどう選ぶか

自己資金が点検できて、適正な住宅ローンの支払いも見えてきたとなると、次は住宅ローンの借入先をどう決定するかです。
ここでは基本的な考え方の他に一般的な住宅ローン書籍ではあまり語られない内容に絞ってご案内しましょう。

・事前審査は半年間に3回までに制限しておく、と心得る・そのため最初は「金利はやや高くとも、審査が通りやすい金融機関」から
審査を始める
・最初の審査が通ったら「金利や条件が良く、審査が厳しい金融機関」にチャレンジする
・ネット銀行は金利は低いものの、注文住宅にはあまり馴染まないと心得る。理由は建築確認済証の提出を事前審査に求められることが多くスケジュール的に資金計画が成り立ちにくいから。
・万が一、最初の事前審査が通らなかったら一度立ち止まってみる。
・それでもお家を建てたい気持ちや必要性に迫られたら、フラット35や住宅ローン以外の選択肢などを選択肢に入れることを検討してみる。

特に重要な点は
・事前審査は半年間に3回までしか行うことができない、と心得る
というのは絶対に忘れてはならないルールです。
こういった基本的なルールがあるにもかかわらず浅学な不動産会社や建築会社は「目の前の客が果たして自分の成績になるかどうか」にしか興味がなく、いとも簡単に事前審査を促してきたりするので私は本当に頭にきます。軽々しく「とりあえず仮審査だけかけてみましょう。なあに、お客様がどのくらいの借入ができるかどうか確かめるだけですし、別にイヤなら無理に借りなくてもいいんですよ」なんて言いつつ、そんな軽いノリで3回しかない貴重なチャンスの1回が奪われるんですよ!?
しかも本当に悪質で無知な業者だと3回どころか一度に4~5回も同時に審査にかけるようなことがあり、私はちょいちょい怒り狂っています。

金融機関のルールは様々に違う


私がどうしてここまで怒り狂っているかというと、金融機関によって住宅ローンの通し方が大きく異なっているからです。そのため3回のチャンスを上手く活かしていれば「もっと有利なローンに受かったのに」というならまあまだダメージは浅いと言えますが、下手な選択によって「銀行の審査が通過できなかった」となってしまうと目も当てられず、その時点でお家を建てる計画が少なくとも半年程度先延ばしになってしまいます。この辺りについてお話します。

ふつう金融機関の違いなど「口座を作っている銀行か、作っていない銀行か」「看板の色が赤なのか青なのか緑なのか」くらいの認識かもしれませんが、住宅ローンの審査要綱は千差万別と言っていいほど異なるのです。同じお客様が審査を行ったとしてある銀行では全く問題がなく審査が通ったのに、別のある銀行では「あなたには1円も貸出できません」(ゼロ回答)ということがあり得るということ。そのあたりのルールをある程度認識していない限り、事前審査を出すことは本来ならためらわれます。

例えばある金融機関の収入合算ルールは「夫婦それぞれ正社員でかつ1年以上の勤務歴があること」だったります。いくら年収が高くても契約社員やパート勤務では収入合算として見なされないので、配偶者が正社員でない場合や勤続1年未満の場合、そして収入合算をしなければ希望する借入予算には届かない場合、そもそもこの金融機関で事前審査を行う意味がないどころかむしろ審査を行っては貴重な一回を失ってしまうだけです。

他のある金融機関では夫が正社員であれば妻はパート勤務でも収入合算に入れて良いものの「妻の年収の1/2までが合算ルールです」というところもあります。
(例:正社員の夫の税込年収が400万円、パート勤務の妻の税込年収が100万円の場合、妻の年収は1/2計算、つまり50万円しか計算に入れられません。400+100/2=450万円。これを7倍にすると3,150万円が住宅ローン貸出の目安となります)
これも妻の収入を100%で想定してしまうと、あとになって「予算が足りない!」ということになるかもしれません。

住宅支援機構が取り扱うフラット35は1か月分の給与明細があれば転職したてでも審査ができる場合がほとんどのため比較的審査基準が緩いものの、近年一部の不動産会社では「フラット35の審査が通っていても何も効力がありません」という所が増えました。つまり「本申込(本審査)でどうなるかわからないのがフラット35だから信用に足りません。よって値引きや買付の交渉カードにはなりません」というのです。(不思議なことに大手ほどそう言うようになりました)そのような不動産会社や建築会社と交渉する際は、他に民間の住宅ローンを通しておかないとチャンスを失い兼ねないのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?