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注文住宅を建てようとする人の「営業ガチャ」攻略法 019

コラム「土地を探しに不動産会社に行くな!」

さて今回は、色々な方々から怒られるかもしれませんが、マッチングサービスを運営している立場としてはどうしても書かねばなりません。

それは「土地を探しに不動産会社に行くな!」です。

魚を買いに魚屋さんに行くのは普通ですし、野菜を買いに八百屋さんにいくのも普通ですが、土地という不動産を探しに不動産屋に行くな!とは声を大にして言わねばなりません。
理由は「デメリットはたくさんあるが、メリットがほとんどないから」としか言いようがありません。

一応言葉を理しておくと「主に土地の仲介や売買を行うのが不動産会社」「主に建物を建築するのが建築会社」と区分しておきます。ハウスメーカーや工務店は建築会社ですね。店頭の窓ガラスにベタベタと物件情報チラシを貼ってあるのは不動産会社だと思ってもらってよいでしょう。

理由1:不動産会社でなければ得られない土地情報がほとんどない。


売買に出されている土地情報のほとんどは今やレインズ(不動産流通標準情報システム。不動産流通機構が運営しているネットワークシステム)で検索できるからです。レインズには不動産会社はもちろん、建築会社もまず間違いなく加入していることから情報量にあまり優劣はありません。

ちょっと業界に詳しい人なら「不動産会社の方が隠し物件(レインズに掲載されない物件)が多いのでは?」と疑問に思われる人がいるかもしれません。確かにひと昔前は専任媒介だろうと専属専任媒介だろうと故意にレインズへ掲載しない悪質な業者が少なくなかったため、隠し物件の量だけ不動産会社が有利という時期はありました。しかし現在では隠し物件への罰則が厳しくなってきたためかなり減少してきています。

その他に「売主物件はレインズ掲載の義務が無いではないか」と批判もありますが、売主物件情報はレインズ以外のポータルサイトに掲載されていたり、近隣のハウスメーカーに積極的にチラシを配布しにいったりすることが多く、近年では情報が隠匿されているケースは多くありません。

理由2:仲介手数料が余計にかかりやすい


当たり前の話ですが仲介業者は仲介手数料が主な収入源ですから、手数料は取れるだけ取ろうとして当然。ふつう土地の売買契約における仲介手数料は土地価格の3%+6万円+消費税を請求されます。

ところが建築会社は主な収入源はあくまで建築に過ぎませんから、土地の仲介手数料を請求する機能がない会社が多く「建築会社を通したら仲介手数料がかなり割安だった」ということが少なくありません。

「なぜ建築会社は仲介手数料を取らないのだろう?」と不思議に思えますが、もしこの話に疑問に思われたら建築会社の営業マンに尋ねてみてください。恐らく「うちの建築会社なら仲介手数料は不要」または「1%+消費税でよい」という回答になると思います。*建築会社自ら不動産会社を抱えているところはその限りではありません。

そうすると仮に3,000万円の土地の仲介手数料の場合、不動産会社を経由すると105.6万円、かたや建築会社では0~33万円程度と72~105万円も諸費用が変わってくることになります。余計な出費は少しでも減らしたいところですから、この差額はなかなか大きいのではないでしょうか。

理由3:不動産会社は建築のことをあまり知らない

実は(ここだけの話)不動産会社は建築について詳しくない営業マンが多くいます。建築会社の営業マンなら一瞬でわかる致命的な部分に不動産会社側はまるで気づいていなかったということも少なくありません。

例えば第一種低層住居専用地域にある100㎡程度の土地は、2階天井の一部が高い確率で低くなりがち。それによって「建具が入らない」「ユニットバスなどが入りにくい」「単純に使い勝手が悪い」というデメリットもあれば、天井が下がるための追加コストもかかります。こういったことについて不動産会社はあまり知識を持ち合わせていないため、いざ間取りを作成しようとすると「こんな話は聞いていない」となることが多いです。ただし重要事項説明書にはその辺りの記述が必ずされているので、売買契約を締結した後から文句を言いに行っても勝ち目はないでしょう。

そのため建築会社の営業マンが主体となって土地探しをする場合、候補となる土地が見つかるとその土地に間取りを作成したり見積を作成したりするのが普通です。しかし不動産会社の営業マンはそれをしないことがほとんど。それは「間取りを描いている時間で他のお客に土地を取られてしまう」という理由もありますが、それよりも「そもそも間取りを描く技術や能力がない」というのが大きな理由ではないでしょうか。私からすると「え?間取りも予算も見えないのに、この土地を契約させちゃってしていいの?」と驚いてしまうのですが、つまり彼らは建築のことをあまり知らないのです。


理由4:土地に予算の大半を喰われやすい


不動産会社の営業マンは、高ければ高い土地を売買すればそれだけ大きな仲介手数料が入ります。しかも土地は金額を上げれば上げるほど有利に見えてきますから、不動産会社に乗せられて高額な土地を買ってしまったため、上物の割ける金額がほとんどなくなってしまったということがとても多くあります。

その結果、超ローコストメーカーしか選択肢がないというのは悲劇かもしれません。この辺りはバランスシートを埋めた人ならおわかりですね。土地を先行して決めてしまうと後々どこかで行き詰ってしまいやすいので、くれぐれも気を付けてください。


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