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注文住宅を建てようとする人の「営業ガチャ」攻略法 020

コラム:土地を先行して契約してしまった、ある家族の話


忘れもしません、ある年のゴールデンウイークのことでした。とあるお客様が当時私の勤務していた住宅展示場に来場され「こんな土地を契約してきたのだが、間取りプランと見積を作成してほしい」とおっしゃるのです。当時営業マンだった私は、この時点でイヤな予感がしました。「土地を契約してきた」ということで始まるお客様はたいていまともなゴールにならないからです。

とはいえ計画的に土地選びをしてきたお客様であれば無事にゴールにたどり着くケースもまれにありますし、せっかく来場されたのですから真剣に話を聴くことにしました。そして契約してきた、という土地のマイソク(土地情報チラシ)を拝見した私はあっという間に青ざめていきます。

「お客様、、がけ条例って書いてありますけど、、これどんな内容か聞きました?」『説明だけなら聞きました』

「お客様、、間口が5.2㎡しかありませんけど、、」『はい、頑丈な三階建てを希望です』

「お客様、、住宅ローン条項があと12日後ですけど、、これってどういうことかおわかりです?」『え?この日までにローンの審査を通しておけってことですよね?』

「お客様、、ローンの本申込を通すにはいつまでにどんな書類が必要かお分かりですか?」『うーん、わかりません』

「お客様、、この物件間口がたったこれだけしかありませんけど、土地の売買契約前に間取りを描いてみましたか?」『え?普通そんなことをするんですか?』

「お客様、、ではどうして、この土地を契約されてきたのですか??」『子供の学区を変えたくなかったし、、それにほら、土地が決まっていないと建築会社って決められないじゃないですかー?』

(何にもわかってねえじゃねえか・・!)そ、それで、ご予算はどのくらいで?」『全部の要望を入れて、予算は2,000万円を超えたくありまs』

「無理です!!」

とまあ、わかる人が見ればまるでサンドウィッチマンのコントのようなやりとりをしたことがあります。
それぞれがどのような内容かは割愛しますが、簡単に言えば悪質な不動産会社に掌でいいように転がされてしまっていることがわかった私は、こう言いました。

「お客様、、この土地で家を建てるの、やめませんか??」

その後、そのご家族がどうしたのかは私の知り得ないことです。私が「やめませんか?」と言った直後ご主人はムッとしたような風でしたので「なぜこの俺がこんな失礼な事を言われなければならないのか」と気分を害したのではないでしょうか。
そしてこれは推察ですが、「やめませんか?」などと失礼な事を言ったりせず「いやあ~素晴らしい土地を購入されましたね~、さっそく弊社で間取りと見積をご準備させて頂きますぅ~(ちょうどいいカモがやってきた)」という建築会社でお家を建てたのかな、と推察すると感慨深いものがありますね。

その家族が「やっぱりあの時引き返しておけばよかった」と思うのは近い将来やってくるであろう令和の関東大震災または10年後のメンテナンス時期でしょうか。

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