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<その7.5>これまた田んぼのインコ④ (後ろ髪引かれ編)

K家のB様が快く門を開けてくださったので、私は、いったん畳んだ脚立を持って、お庭にお邪魔しました。B様は、ご親切にわざわざ私を、インコさんがいるはずの木の場所まで先導してくださいました。

B様と私が近づいていくと、インコさんは、まだその木にいてくれました。ただ、穴からは出てしまっていました。

穴に入る時のインコさん
(こんなふうに穴に入ってたら、
絶対捕まえられるって思うよね)

インコさんが、私たちに気が付いて、じっとこっちを見ました。私たちを警戒してなのか、インコさんが再び穴に入る様子がなかったので、脚立をインコさんがいる木の近くにそーーーーっとセットだけして、穴に入るのを待つことにしました。

待っている間、木の下で、目だけはしっかりとインコさんを追いながら、しばらくB様と飼い鳥の保護活動に関するお話していました。B様は私の活動に興味を持ってくださったようで、比較的熱心に聞いてくださいました。

ある程度お話が済むと、B様が気を遣って「私がいるからインコが木の穴に入らないのかもしれない」とおっしゃってお宅に戻られ、私ひとりになりました。

インコさんが穴に入った時に穴をふさいで捕まえようと思っていたのに、インコさんは穴の近くの枝にとまっていたものの、なかなか穴には入ってくれませんでした。

穴に入らずにこの木からどこかに行ってしまっては元も子もないので、私は、インコさんの様子を見ながら脚立を1段上がることにしました。そうっと、もう1段。

するとインコさんが奥の枝に移ってしまいました。
その時に餌を手のひらにのせて、左腕を伸ばしてみました。そうしたら、なんとインコさんが私の手のひらの餌をついばみました!
手のひらに、インコさんの頬っぺたの羽毛の感触をはっきりと感じ、その瞬間、「あ!この子は絶対に保護できる」と確信しました(※1)。

しかーーーし!欲張って、もう少し手を伸ばしたくて、もう1段上がろうとつい足元を見たほんの一瞬で、インコさんが飛んでしまいました(※2)。

時計を見たらこの時点で8時10分ぐらいでした。私は9時半からテレワークで、ここから私の家までは自転車で40分ぐらいかかるので、8時15分には現場を出なくてはいけません。私に残された時間は、あと5分程しかありませんでした。

ギリギリまで保護に努めたいけど、私には、K家の方々に残すメモを書く時間が必要でした。脚立をお借りしたこともあるし、私が仕事のために一旦この場を離れることを、K家の方に伝えなくてはいけません。
チャイムを鳴らして直接お話するという手段もありましたが、朝なので時間を取らせては申し訳ないと思いました。
そこで私は、保護活動用の名刺の裏に、脚立の貸し出し及び敷地内立ち入り許可に対するお礼と再訪の旨を簡単に書いて、ポストに投函しておくことにしました。

インコさんが止まった木を
通りから見るとこんな感じです
(真ん中の木にインコさんはいます)

字を書いている間も、インコさんはK家の低い木にとまっていました。インコさんがすぐそこにいる状態なので、メッセージを素早く書き終えさえすれば、ほんの少しの時間でもまた捕獲の試みができそうな感じです。

なのに!

急いでいるときに限って、私は誤字脱字を連発。しかもボールペンが途中でかすれて出ない!(;_;)

しかたなく芯がちゃんとでるシャーペンに替え、3枚目でやっと投函できるレベルのメモが書けました。こんなにも保護できそうな状況なのに、モタモタと何度もメッセージを書き直している自分を、この時ほど情けないと感じたことはありません。

名刺をポストに投函した後は、荷物を自転車の籠にせっせと入れて、撤収作業をしていました。インコさんはいったんどこかに飛んだと思いきや、すぐ近くの木に戻ってきていて、待っていればまたあの穴の木に来そうでした。

できれば自分で保護したかったのですが、この後、お昼ぐらいにはTさんやMさんがいらっしゃるだろうと思って、後ろ髪を盛大に引かれている状態で、現場を後にしました。

夕方、保護活動とは全く関係ない別件で、もともと仕事を早退する予定でしたので、もしお昼にTさんやMさんが保護できなかったら、その用事を取りやめて、夕方に保護に来ようと考えました。

 ☆ ☆ ☆

※1 以前の記事でも書きましたが、ずっと逃げ回っていたはずの迷子さんが、無意識に捕まえてもらいたがっているのでは?と感じる瞬間があるのです。この時にもそれを感じました。

※2 慣れない脚立の上で、怖くてつい足元をみてしまいました。保護活動家たるもの、脚立の上での動作にも慣れなくてはいけないのだなと思いました(しかし私は高いところが苦手です…)。

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