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生きづらさを補う適応のカタチ

離陸し、大空に飛び立った飛行機があったとします。
ところが、大変!途中で片方の尾翼が傷ついてしまうのです。
左右に大きく揺れながら、危うく墜落しそうになるのを必死にバランスをとり、目的地まで飛び続けなければなりません。その飛び方は、側から見るとヒヤヒヤします。じょうぶな尾翼を持つ飛行機からすれば、なんとも危なっかしくて、見ていられません。

『なぜあんな飛び方をするんだろう??』
はてながいくつも頭に浮かんでくるでしょう。

『かなり変わった飛び方だなあ』『ものすごく大袈裟だし、不器用で極端だし、理解できないほど奇妙で、はた迷惑・・・』。でも、立場を変えてみると、なんとなく見えてくる。本人なりにバランスを取ろうとして、相当頑張っているということを。つまり、奇妙に見える偏った振る舞いや言動にも、ちゃんと意味があるのです。

認知のカタチと適応のカタチ

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これは、アメリカの精神科医で認知行動療法の創始者であるアーロン・ベックの考え方です。大変面白いなあと思います。人の振る舞いには、そこに至る認知のカタチがあり、認知のカタチが違うからこそ、相容れない、理解できないと感じる関係性が生まれるのです。ところが、どちらも適応しようと頑張っている点では、違いがないのです。

「困ったさん」の場合、心の根底に幼い頃から「デリケートで傷つきやすい自己愛」を抱えており、生きづらさを感じながらも、生きていくためには自己流の防衛的な戦略を身につけていくしかなかった、と捉えると、被害者でもあるという側面を理解できるようになります。人から「大丈夫?」「どうしたの?」と声をかけてもらい、上手に支援をもらえる方法を学んでいれば、人間関係でこんなに困ることはなかったでしょう。でも、やり方を知らないのだから、仕方がありません。

生きづらさが生む才能とハンディ

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でも一方で、ちょっと並外れた、特別な能力を磨き上げることもあります。生きづらいからこそ磨かれる才能。かなり変わり者だけど秀でた才能を持っている、といわれる人は、そんなつくられ方をしているのかもしれません。

でも、せっかくの才能なのに、生かせるかどうかは環境次第。適材適所で身を置く環境に恵まれれば、また支えてくれる人に恵まれれば、才能も生かされるでしょうが、残念なことに、多くの場合、行き過ぎた偏りの方が目立ってしまい、周りを困らせる人として見られてしまう。この場合の偏りとは、才能とハンディという「諸刃の剣」と化すのです。

では、「認知の歪み」とは、どのようなものがあるのでしょう。
例えば、「注目されなければ価値がない」という思い込みがあります。この場合、とにかく目立たなくちゃ!無価値になってしまう!と思い込んでおり、どんなことをしてでも、人の注目を集めようと必死になります。また、「人はいつか必ず裏切るものだ」という思い込みであれば、誰に対しても、絶対に警戒を緩めることはありません。この他にも、いろいろなパターンがありますが、どれも知らず知らずに身に付けた思い込みで、自分ではその極端さに気づくことはありません。(この辺りは「家族成育カウンセラー養成講座アドバンスコース」でじっくり取り組んでいきます。)

関係操作も適応戦略の一つ

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また、その結果、人の心を操作して、関係性を操ろうという適応戦略を作り出す人もいます。それが、いわゆる「マニュピレーター」と呼ばれる人です。
(興味のある方は、こちら↓をお読みください)

生きづらさの代償という視点を持って見ることで、不可解な言動の謎解きができるようになります。人の振る舞いには、必ず意味がある。そして、効果的な方法を学び損ねてきた結果でもあると捉えることで、不要な摩擦を避けて、程よい距離を保つことができるようになったり、悪循環を断つことができるようになるのです。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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