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性格の凸凹

物事の受け止め方や、考え方には、当然個人差がありますよね。
ある範囲内であれば、それは個性の範疇となり、生かす武器にもなります。
ところが、度が過ぎてしまうと周りを困らせるし、自分も苦しむことになる、いわゆる「困ったさん」になります。
家族成育カウンセラー養成講座アドバンスコースでは、パーソナリティ(人格)について深く学んでいきますので、人格障害の治療では名高い岡田尊司先生の著書を参考に、考察を深めていきたいと思います。

極端な性格を持つ人の人間関係パターン

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性格の極端さというのは、1つの特性が、ある人は右に振り切り、ある人は左に振り切れる、というイメージを持つとわかりやすいです。

例えば、プライドが高い人がいたとしましょう。
プライドを持つことは大切なことです。でも行き過ぎてしまうと、困ることが出てきます。プライドが高過ぎて、人から欠点を指摘されることが許せず、激昂してしまうのです。「自分のいけないところを教えてもらえた」などとは受け取れず、けなされた、否定された、と受け取ってしまうため、怒り出してしまうというわけです。

反対に、自分に自信がない人がいたとします。自分のことをダメな人間だと思い込んでいるので、何をやっても自信が持てず、失敗するのが怖くて、自分から挑戦したり、責任を負うことをことごとく避けます。

どちらであっても、困るのは本人じゃないかと思いきや、実際はそうでもありません。プライドの高い人であれば、まずもってチームを築くことが難しくなります。
皆の立場を尊重しながら、協力して仕事をすることが難しくなるのです。
特に、上司にこのようなタイプの人がいると大変です。表面的には「みんなの自主性を発揮させよう」と言ってもそれを実現させることは到底難しく、それよりも、感情が激しく揺れる上司の気分や好みに振り回されっぱなしになります。しかも当の本人は、自分の気まぐれや横柄さに全く気づいていません。なので、周りはビクビクしながら気を使い、振り回されることに多くの時間を費やすというパターンに陥るのです。

反対に、極端に自信がない人は、その自信のなさを補おうとして、人に強く依存する傾向を持ちます。自分の意思を持つことを避けて、逐一、人に寄り掛かり、救いを求め、頼り切り、指示がなければ自分で動こうとはしなくなるのです。これもチームで仕事を推進させていなければいけない場合は大変です。何一つ責任を負ってもらえないので、仕事量と責任の量に極端な偏りが生まれ、頭数とは合わない推進力のなさが生じてしまうのです。でも実際は、自信がないだけで、能力は十分に備わっていることも多いのです。だからついつい期待をしてしまうのですが、その場合も、やはり本人の意欲がなければ、結局のところ難しいということになります。

偏りは適応戦略だった

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人間は集団を作り、群れて生きる戦略を作りました。
集団の中でどうやって振る舞えばいいのか、自分の持つ特性の生かし方を、学んでいくのです。

今回は、プライドの高さを例に挙げましたが、他にもいろいろあります。
几帳面さの度が過ぎたり、反対に、ルーズでだらしのなさが目立ったり。また、人と関わるのが嫌で自分の殻に閉じこもったり、反対に、人に依存しっぱなしで自分の意思や意見を持たなかったり。

この極端さは、なぜ生まれるのでしょうか?
それは、ある意味その人固有の生き延び戦略だと見ると、謎が解けます。
人は死ぬまで生き抜こうとする生きものなので、力強く、懸命に、生きづらさと闘いながらも生き抜こうとするのです。そして、その時に偏りが生まれるのです。

このような偏りは、誰もが持っています。ただし多くの人の場合、周りも自分も困らない範疇におさまっているのです。ところが、その程度が極端さを増すと「パーソナリティ障害」と診断がつくようになるのです。パーソナリティの偏りは、個々に全く違った特徴を呈しますが、実は共通点もあります。

偏りを持つ人の共通点

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一つは「自分に強いこだわりを持つ」こと。
すごい力を持つ「優秀な自分」というこだわりもあれば、劣等感が強く何をやっても「ダメな自分」というこだわりもあります。どちらであっても、自分に強いこだわりを持っている点では共通しているのです。

もう一つの共通点は「とても傷つきやすい」こと。
健康なパーソナリティの人であれば、気にも留めない些細な相手の素振りでさえ、悪意にとってしまい、傷ついてしまうのです。反応が悪い、黙っている、すぐに応じてくれないなど、なんてことないことであっても、自分を評価していない、粗末に扱った、大事にしていないと感じた結果、「傷つけられた」となるのです。

その結果、もう一つの共通点が生まれてきます。
それが「対等で、信頼し合う人間関係を築けない」というハンディです。
「対等な関係を築けない」ということは、常に上下関係しか持てないということ。すぐにマウントをとりたがったり、反対に「自分は劣っているから」と卑下したり。いずれにせよ対等の関係は大の苦手で、極端に固定した関係パターンを作ります。この他にも、尽くし過ぎてしまったり、押し付けてしまったり、疑い深くなり試してしまったり。いずれにせよバランスの悪い、安定感を欠いた関係を作ってしまう人は、パーソナリティの偏りを持つ傾向があると言われるのは、このようなカラクリがあるからなのです。

性格に強い偏りを持つということは、関係性の難しさを持つということ。
親密な人間関係を安定させることができない場合、親子関係であれ、夫婦関係であれ、とにかく近くて親密な関係が安定しない人は、パーソナリティの偏りを抱えていると捉えると、謎が解けてきます。そして、その偏りを軽減できれば、周囲と力を合わせることもできるようになり、困った側面が、一転して輝きを放つ武器になる可能性も秘めているのです。その最初の一歩は、「困ったさん」のカラクリを紐解ける力を持つこと。その結果、少しでも問題解決の糸口を見出せたらと思うのです。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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