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人付き合いが苦手で孤独を愛するひっそりさん

人づきあいを好まない人がいます。
俗っぽいことが苦手で、物事を深く深く考えることが大好きで、余計な人間関係にわずらわされることを避けたがる、まるで仙人のような物静かな人。
このようなタイプの人をここでは『ひっそりさん』と呼ぶことにします。

ひっそりさんは孤独が大好き。
孤独を心から愛する人なのです。

物静かで、華美な生活を嫌い、物欲も乏しく、生活は質素。
物質的な世界よりも、精神的な世界を好み、どこか世捨て人のような雰囲気を漂わせています。

強く何かを求めることがないので、感情も一見するととても平坦に見えます。
喜怒哀楽を表に出すことは少なく、人との関係も情緒交流を避け、人間関係のカタチは希薄さが伴います。

ところが、見た目とは違い、内面はとても繊細。
ここがよく勘違いされるところかもしれませんが、むしろ感じやすいからこそ、感情が揺れることがしんどいので、なるべくひとりでいることを好むのです。

口数が少なく、聞かれなければ自分から発言することもありません。
なので、何も考えていないのかと思われがちですが、とんでもない。
内面は、こだわりが強く、思考の潔癖さを感じるほど頑固で、「こうあるべきだ」という完璧主義的な考え方を持っています。

なので、皆と協力してチームで何かを成し遂げなくちゃいけない時などは、その過程に苦痛を感じるかもしれません。
意見が活発に飛び交っていても、静かに佇んでいることが多いのです。
ところが、派手さはないけれど、与えられた仕事はコツコツと積み上げながら進めていく誠実さがあり、独特の世界観の中で独自の成果を生み出すことも多いのです。

無口で誰かを攻撃することも、言わないし、しない。
人畜無害なおとなしい人ですが、追い詰められるとびっくりするような反撃をすることもあります。
その場合は、周囲が驚くほど強い姿勢で、容赦ない態度を見せるかもしれません。
それは、人間関係に慣れていないために加減がわからないからという理由が当てはまります。

ひっそりさんは、たとえ結婚しても、相手との距離は縮まることがありません。
あまり近づきすぎると、心に侵入されるような恐怖を感じて、距離を遠ざけてしまうのです。
同じようなタイプの者同士であれば、お互いに淡白な関係に満足するのかもしれませんが、一方が「もっと近づきたい」「もっと頼りたい」と思うと、面倒くさい、うっとおしいと感じてしまい、壁を作って相手を遠ざけてしまうのです。

壁を作ることで自分を守っている

営業

人間関係の希薄さが極端に偏ってしまう場合は、ちょっと厄介です。
誰も寄せ付けないわけですから、強い信頼関係を築いていかなくちゃいけない場面で、相手に違和感を感じさせてしまうのです。

でもそれは、過去に容赦無く心に進入してくる人間関係の中で、散々苦しんだ嫌な体験の記憶を持つと同時に、人との関係の中で心が満たされるという、心を触れ合う経験値が乏しかったことに理由があります。
感情の起伏が激しく、自分の満足を満たしたいというコントロールの強い親の元で傷つき、その傷は幾度となく放置され、大人の身勝手な言動に振り回されてきたつらい過去が、人に対して防衛的になってしまうのかもしれません。
つまり、ひっそりさんが人と必要以上に近づかないというのは、幼少期から自然と身につけた適応戦略なのです。

理解者を得る、魅力を引き出す

ひっそりさんの魅力は、深く関わったことのある人ならわかると思うのですが、人を近づかせないところがあるので、本当の魅力ある姿に気づく人は限られるかもしれません。
独自の世界観を極めるけれど、分かり合う喜びを求めず、心地よい人間関係をはなからあきらめているので「感情が動かない人」「淡白な人」と思われたり、ぎこちないやりとりが続いた挙句に、周りとの調和を欠く行動をとってしまうことが多いので「常識のない人」と誤解されちゃうのです。

その不器用さが、かえって純粋だと捉え、相手の中に保護的な感情を掻き立てて、助けてあげたいと思わせることもあります。
処世術を持たない自分に代わって、ぎこちなくなる人間関係を理解し、そっと助けてくれる理解者を持てたら、ぐんと生きやすくなるだろうと思います。
そして、表面にはなかなか現れない魅力を、上手に引き出して、社会とのかすがいのような役割を果たしてくれたら、大成功することも大いに期待できます。

ただ、そこに頼ってばかりで、自分も成長していこうと努力しなければ、そんな関係はなかなか手に入れられない。
そもそも高い独自性を極める性質を持っているのですから、それを大きく生かすためには、同時に、自分の苦手に取り組むしかないのです。
それは、ひっそりさんだけに言えることではありません。
誰もが同じ課題を持っているのです。

真の理解者を得るためにも、行動を起こすことです。
仕事でも、人間関係でも、なんでもいいのです。
与えられた今の環境の中で、苦手があっても思い切ってチャレンジすることをお勧めします。

いやだ!不快だ!と逃げたくなる気持ちの手綱を持って留まり、コツコツ取り組んでみてください。
自分でもびっくりするような成果につながっていくことと思いますよ。
それくらい魅力を持っているということです。
だから頑張って。

鶯千恭子(おうち きょうこ)








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