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困ったさんのつくられ方

子ども時代に培われた「安心感の土台」は
大人になってからの人格の基礎に根付き
対人関係や社会生活を支えてくれます。

特に、不快な体験をした時などは
その威力を発揮して、その存在感を示します。
対人関係の中で起こる
意見のすれ違いや葛藤、衝突、軋轢…

この時に、沸き起こる
「感情の種類や強さ」

この事態をどう解釈するかという
「受け取り方や認知の仕方」

具体的にどんな行動を取るかという
「処し方」

に安心の土台が現れ、その人固有の
”スタイル(パターン)”を作ります。

このスタイルのことを
『人格=パーソナリティ』と呼びますが
私たちは、対人関係において
このパーソナリティの持つ特性に
苦しめられることが多いのです。

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人のつくられ方を見てみよう

人のつくられ方は
外から見ただけではよくわかりません。

相手と関わっていく中で
違和感を感じ
不可解な
腑に落ちない場面に
度々遭遇するうちに

『なぜ、そんなふうに考えるのだろう?』

『なぜ、そんなに怒るのだろう?』

という『なぜ?』がいくつも積み上がり
気がつくと
相手の思考パターンに
すっかり取り込まれていた自分に
気づいたりします。

『そうか、自分が悪いんだ』

『自分がいけないから、怒られても仕方ない』

といった感じ。

また、パーソナリティの偏りが及ぼす影響は
思いのほか大きく
仕事関係や社会生活に留まらず
夫婦関係や家族関係
子育てにまで及び
世代を超えて伝承されていく
危険性を持つのです。

ですから
人のつくられ方を知ることは
対人関係の苦しみから解かれることですし
子どもの人生を守ることにもなる
とても大切なことなのです。

パーソナリティ理論について
多数の著作を持つ
岡田尊司さんの本を参考に
お伝えしていきたいと思いますので
少しでもお役に立てたら嬉しいです。

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自己反省とは無縁の”困ったさん”に悩まされることが多い私たち

人間関係で悩む時
自身の性格に嫌気がさしたり
落ち込むことがありますよね。

ところが実際は
相手の性格に悩まされていることが
ずっと多いのです。

『自分のどこがいけなかったんだろう』
と悩む人は、良心的な人です。
でも困ったさんは
そんな自己反省は、一切見せません。
悪いのは相手だと批判に徹するので
トラブルが絶えず
同じような人間関係をくり返します。
だから、相手を自分と同じように捉えてはダメ。

人のつくられ方は様々で
他人が自分と同じように感じたり
考えるわけではないのです。

なんとかうまくやっていきたいと思っても
どうしてもうまくいかない…
という相手に対して
理解に苦しむ時があったら
パーソナリティについての知識は
大きな助けになります。
特に、パーソナリティ障害についての
知識を持つことは
関係性が泥沼化することを防いでくれます。
(パーソナリティー障害については
別の回に、少しずつお伝えしていきますね)

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パーソナリティーの知識

パーソナリティーは
成熟できれば個性が魅力を発揮し
他にない独自の力を発揮します。

ところが
未成熟のまま成長すると
著しく偏った性格は
周囲にいる人たちを苦しめるようになります。
つまり『幼さ』が重要なポイントとなるのです。

幼さが目立ち
周囲のお困り感が際立てば
パーソナリティー障害の診断がつき
治療の対象になりますが
本人が自らの問題に気づいて
病院を訪れることは、まずありません。

困った!と悲鳴を上げるのは
大抵周囲にいる人たちです。
仮に、周りの人たちが
相談に訪れたとしても
それは、家族や親しい身内に限られ
本人を説得することはとても困難で
問題が表面化することが遅れます。

たとえ、家族が相談に訪れたとしても
治療の現場に本人が登場することは少なく
多くの場合、現状維持のまま
誰かが犠牲となり、緩衝材となって
出口の見えない泥沼化した関係性を
維持させていることが多いのです。

出口が見えないというのは
とてもつらいです。
何か方法はないものでしょうか。

それには
一体何がおきているのか
"関係性のカラクリ"を解くことが重要で
そのためには
相手をよく理解することが必要なのです。

不可解なパーソナリティーを持つ
困ったさんを理解していくためには
どんなタイプであれ
根底に、共通した症状を持つ
といわれていますので
整理してみますね。

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根っこに横たわる共通点

1.根底に年齢不相応の「幼さ」を持つ

幼児が、思う通りにいかないことに遭遇すると
駄々をこね、周りを困らせることがよくありますよね。
大人でも同様に、気に入らないことがあると
カンシャクを起こしたり
相手を無視して困らせたり
幼い子どものような振る舞いを見せて
自分は「怒っている」「不快だ」
ということを伝え
相手を自分の思う通りにコントロールしようとします。
まさに、幼児期から児童期初期の発達段階の
特徴を、大人が示すのです。

2.all or nothing (白黒思考)

両極端に物事を考える特徴があります。
相手のことをよく知らず
出会って間もないにもかかわらず
「いい人だ」と好評価すると思いきや
自分の意向に反したり
少しでも気に入らないことがあると
一転して、今度は相手の欠点をあげつらい
『最悪の人』に格下げするという
引き算評価が極端に見られます。
これも幼児期の発達段階が
まだ優勢に残っている状態だといわれています。

3.過敏で傷つきやすく、関係性が不安定になりやすい

とても傷つきやすい特徴を持つといわれています。
普通なら聞き流せる話も
『侮辱された』『攻撃された』と感じて
怒りが抑えられなくなったり
反対に、ひどく落ち込んだりします。
これは、生まれ持つ繊細さという気質の上に
"否定的な体験"がくり返されたことで
その傾向を強めてしまったといわれています。

4.劣等感や自己否定感を抱えている

安定感があるように見えても
実は、根底に劣等感や自己否定感を抱えており
それを補うように、自分を大きく見せたり
正論をかざして相手を追い詰めようとする
ロジハラ(ロジック・ハラスメント)として
周囲を困らせることがよくあります。

5.自分の気持ちと相手の気持ちを混同しやすい

自他の境界があいまいになる傾向を持ちます。
自分が「苦手だ」と感じる相手に対して
『相手が自分を嫌っている』と感じたり
反対に、自分が好むものを強引に押し付け
相手がどう感じているかは
目に入らなくなる傾向を持つのです。
「自分が世界の中心」という
幼児の特徴をそのまま温存させているので
周りに合わせることは
ことごとく苦痛に感じるのです。

6.歪な自分へのこだわり(自己愛)を持つ

自己愛は、自分を大切にする感覚で
生きていく上で欠かせないものです。
そして、学習によって
成熟させていかなければなりません。
ところが、困ったさんの場合は
学習の初期の過程で
成長を歪めてしまうのです。
自分のことを過大評価し
絶対君主のように振る舞い
自己愛をいびつに肥大化させてしまったり
反対に、生きていて申し訳ないと思うほど
極端に自信が持てない
貧弱な自己愛になってしまうのです。

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本当に望むものしか手に入らない

当人も、生きづらさを抱えていますが
そこに向き合うには苦痛が伴うので
覚悟が必要です。
ところが、困ったさんにとっては
それはとても恐ろしく
強い恐怖を伴うことなので
大の大人でもやり切れる人は
そう多くありません。

自己反省という、頭を垂れることで
相手と深い信頼関係を築く基礎を
身に付けずに大人になっているので
途中で逃げ出してしまったり
自分の都合のいい
偏った解釈をすることで
自分を守ろうとし
その結果、いつまでたっても
いくつになっても自分を変えずに
周りが自分に合わせてくれることを期待して
幼児のままの姿を押し通そうとするのです。
それを許す人
支援してしまう人がいる限り
何も変わらない
ということになります。

犠牲となる人を減らせたらいいのに。
そして、本人も怖がらず
逃げずに自分と向き合い
強がらずに上手に人を頼れたら
どんなにか幸せになれるのに…と思いますが
それを望まなければ、解決は難しく
安易に手助けをしても堂々巡りなんだ、
というカラクリがあることに
”気づく”ことが
解決への一番の近道なのだと思うのです。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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