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そのセリフ、信用しちゃダメ!「買いたい人がいる」という不動産会社に潜む3つのリスクと対処法

「すぐに買いたいお客さんがいますのでうちの会社と媒介契約しませんか」

こんなセリフを聞くと、「この不動産会社なら家が早く売れる」と思うかもしれません。
しかし、このセリフで媒介契約を持ち掛ける不動産会社を安易に利用するのはとても危険です。

そこで、この記事では、買い主の存在を理由に勧誘する不動産会社のリスクなどについて解説します。

この記事を読むと、「買いたい人がいる」と言ってくる不動産会社の思惑や、その対処法などが理解できて、リスクを回避できるでしょう。


監修者情報

印南和行(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。


1 .不動産会社がいう「すぐに買いたい人がいます」は本当か

あなたが今から売却しようとする家や土地だけを指して、「すぐに買いたい」と思っている人はいないと思った方が無難です。

まだ不動産会社と媒介契約も結んでいない段階では、売り出し価格さえ決まっておらず、広告はもちろん、ネットにも掲載されていません。
そんな誰も知らない物件に対して「すぐに買いたい人」がいる可能性は、よほどの人気物件でない限りほぼゼロです。

ではなぜ、不動産会社は「すぐに買いたい人」がいると言うのでしょうか?

可能性があるとすれば、売却する物件と同じ地域や似た条件の物件を探している人がいて、「いい物件があったら教えてください」と不動産会社にお願いしているケースが考えられます。

つまり、不動産会社の立場では、「自社ではこの地域で物件をお探しのお客様からご相談を受けています」といったことはあるかもしれません。

しかし、仮にそのような人に物件を紹介したとしても、本当に気に入るかどうかわかりませんし、売買価格などの条件が整うのかどうかも全くの未知数です。
つまり「すぐに買いたい人」は、すぐに売買契約に至る人ではなく、「もしかしたら購入希望者になるかも知れない候補者の一人」となります。

にもかかわらず、あたかもすぐに買い主が見つかるかのように、誇張してアピールする不動産会社には注意が必要です。

2.「すぐに買いたい人がいます」という不動産会社に潜むリスク

「すぐに買いたい人」ばかりを強調する不動産会社の利用にはリスクがあります。
そのような不動産会社に潜むリスクを3つ解説します。

2-1 事実かどうか確かめようがない

不動産会社が、本当に「すぐに買いたい人」を顧客として抱えているかどうかは、売り主が確かめることはできません。

不動産会社からすれば、もし「すぐに買いたい人」がいなかった場合でも、売り主をごまかすことが可能です。

例えば「その人は別の物件に決めてしまいました」、あるいは「事情があって購入を諦めました」と不動産会社から言われれば、売り主にそれを確かめる術はありません。

このように、売り主に対して平気で嘘をつくような不動産会社が必ずしも多いわけではありませんが、不誠実な不動産会社との媒介契約は何としても避けたいところです。

2-2 買取に誘導されるかもしれない

嘘をついてでも媒介契約を取りにくるような不動産会社は、そもそも仲介する意図がなく、最終的に自社でその物件を安く買いとることを目的にしているかもしれません。

例を挙げれば、「購入希望者は別の物件に決めましたが、代わりにうちが買い取りますよ」と、安く買い取ることを持ち掛けるような手法です。
そもそも「買いたい人がいる」はそのような手法の際に用いられがちなセリフで、過去の不動産トラブルでも報告例があります。

そのような詐欺まがいの不動産会社であれば、ありもしない瑕疵が物件にあると嘘を重ねて、意図的に売却価格を下げるように仕向けるかもしれません。

このような不動産会社は極端な例かもしれませんが、「すぐに買いたい人がいる」という聞こえがいい言葉の裏には、リスクがあることを十分認識しておきましょう。

2-3 競争力のない不動産会社かもしれない

「すぐに買いたい人がいます」ということだけを、強くアピールしてくる不動産会社は競争力がない会社かもしれません。

なぜなら、十分な販売実績や売却に至る具体的な販売戦略を持っている不動産会社であれば、「買いたい人」の話ばかりをアピールしなくても、媒介契約を結べるからです。

逆に言えば、実績や販売戦略に欠けている不動産会社は、競争力がないため「買いたい人」の存在だけをよりどころにして、媒介契約を取りに来ているかもしれません。

「買いたい人がいる」という話すべてを否定はできませんが、その点ばかりを強くアピールしてくる不動会社の実績や販売能力などは、より注意深く確かめることが必要です。

3 「買いたい人がいます」と言われたときにどうすべきか?

では実際に「買いたい人がいるのですが」と持ち掛けられたらどう対処すべきでしょうか。ここでは対処法2つをご紹介します。

3-1 安易に信じない

絶対にやってはいけないのは、「買いたい人がいる」と言ってきた不動産会社を安易に信じて、すぐに媒介契約を結んでしまうことです。

実際に「買いたい人」がいるのかどうか、売り主は見抜くことはできませんし、いたとしても1組であれば希望価格が低く、成約価格が相場より安くなってしまう可能性もあります。

いずれにしても、慌てて1社だけの話で判断するのではなく、複数の不動産会社を比較検討して、売却を依頼する不動産会社を決めることが大切です。

3-2 販売戦略を確認する

「買いたい人がいる」と言ってきた不動産会社がすべて怪しいとは言い切れませんが、大切なポイントは不透明な買い主の存在ではなく、不動産会社の販売戦略です。

買い主の存在ばかりをアピールする不動産会社に対して「買いたいと言っている人が、何らかの理由で買えなくなったらどうしますか?」と、逆に質問して販売戦略を確かめてみましょう。

販売戦略の良し悪しを見極めるには、どのように販売活動を行うのか、あるいは買い主となるターゲットを想定した効果的な販売手法を実践できるかなどポイントが多岐に渡ります。

このような販売戦略がしっかりしている不動産会社であれば、「買いたい人」だけでなく、買い主の候補となる多くの人に物件をアピールすることが可能です。

結果的には、適正な価格でスムーズに売却するには、販売戦略のしっかりした不動産会社に依頼する方が早道になります。

4 まとめ 

今回は、不動産会社が言う「買いたい人」がいるのかから、「買いたい人」をアピールする不動産会社のリスクや対処法を解説しました。

買い主の存在だけで媒介契約を持ちかける不動産会社の利用にはリスクがあります。

そのため、不動産会社選びでは販売戦略などを重視して進めましょう。

この記事を見て、皆さんが信頼のおける不動産会社と巡り合うことを願っています。


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