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手付金はまだ払うな!手付金の相場と全額返金パターンを徹底解説

「ちょっと待った!本当にその金額で大丈夫?」

不動産仲介業者の言う通りの手付金額を支払ってはいけません。手付金を交渉によって金額を下げることも可能です。

なぜなら手付金を支払うと基本的に返ってこないからです。手付金支払い後に契約を解除する場合、支払った手付金を手放すことになってしまいます。

とはいっても、具体的にいくら支払えば良いのか想像がつかない人が多いのではないでしょうか。

手付金は契約した証として、契約時に支払う金銭のこと。手付金を放棄することで一定期間内であれば解約することができます。

手付金の相場は売買代金の5%~10%です。しかし最低◯◯円というルールがあるわけでないので、取引相手の了承が得られれば手付金0円でも契約可能です。

今回の動画では、手付金額、リスク、注意点、交渉方法等を解説しています。手付金に関する不安のほとんどを解決できますので、最後までごください。


監修者情報

印南和行(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者8万人、総視聴回数2100万回を超える(2022年7月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。

1、手付金を言われるがままに支払ってはダメな2つの理由

手付金を不動産仲介会社に言われるがままに支払ってはいけない2つの理由を、知らないと後悔する可能性が高い順番でご紹介します。

この理由を知っておくと、手付金に関する不安や疑問の大半は解消できるでしょう。

1)手付金は一度支払ったら原則返金されない
2)手付金の相場は5〜10%だが交渉で変更できる

1-1)手付金は一度支払ったら原則返金されない

手付金を支払うときにはこれだけは覚えておいてください。

『一度支払ったら原則返金されることはない』

自らの事情で契約を解除する場合、支払った手付金を手放す必要があります。手付金を500万円支払っていたら、500万円を失うのです。

1-2)手付金の相場は5〜10%だが交渉で変更できる

手付金の相場は5%~10%。ただし、5〜10%はあくまで目安であり交渉によって変更可能です。なぜなら手付金の額は売主と買主の合意で決めるものだからです。

たとえば、買主の自己資金にゆとりがない場合は、交渉次第で手付金10万円、場合によっては0円とすることもできます。

というのも、『当初に設定される手付金の額は、売主の希望でなく、不動産仲介会社が「仮に設定した金額」であるケースが多い』からです。

不動産仲介会社の最優先事項は契約を成立させること。不動産仲介会社は成約報酬のビジネス。契約できる見込みがあるなら手付金を減額する交渉も積極的に対応してくれる可能性は十分にあります。

2、手付金について知っておくべき7つの重要ポイント

手付金を支払う前に必ず知っておくべき7つの重要ポイントを、知らないと後悔するリスクが高い順番に解説します。

1)手付金は解約手付
2)最適な手付金の金額は5%以内
3)手付金を少なくした時のリスクは「契約解除されやすいこと」
4)手付解除の期限に注意
5)最適な手付金交渉タイミングは「購入申込み時」
6)手付金が全額戻ってくる要件4つ
7)手付金支払い時のトラブル3つと対策

2-1)手付金は解約手付

手付金は「解約手付(かいやくてつけ)」という役割があります。契約を解約する場合、手付金を解約料として支払うことになります。

例えば、手付金額が100万円の場合、解約する時相手方に支払う金額が100万円となります。

2-2)最適な手付金の金額は5%以内

買う側にとって最適な手付金の金額は、物件価格の5%以内。金額はできるだけ少なくしたいです。

理由は2つ。1つは手持ちの現金はできるだけ多く残しておいたほうが生活面で安心だから。

2つめは、万が一、契約を解除する場合の損失を抑えることができるからです。

高額な物件であれば、目安の5%にこだわらず手付金100万円程度にするのがオススメです。

たとえば、物件価格8000万円となると手付金400万円(5%)になります。400万円は大きい金額ですよね。交渉により手付金100万円とすれば、引き渡しまでの間、手元に300万円をおいておけるので安心です。

2-3)手付金を少なくした時のリスクは「契約解除されやすいこと」

手付金の額が少ない場合、「売主から契約解除をされやすい」というリスクがあります。

例えば手付金が0円の場合、手付解除をしてもペナルティが0円となるので、買主、売主どちらからも解約がしやすくなってしまうのです。

せっかく出会った理想の物件の売買契約をしたのに、1週間後に契約解除となってしまい、別の人に買われてしまったらショックを受けますよね。

このように手付金0円は契約が不安定となるため、不動産仲介会社は推奨しませんし、売主の了承が得られるケースは稀でしょう。

4)手付解除の期限に注意

手付金を放棄することで契約を解除する「手付解除」には期限があるので注意してください。手付解除の期限は売買契約書に記載されています。

※1『契約の履行に着手』は法律用語でわかりにくい言葉です。
契約の履行の着手が何を指すのか、契約の当事者によって認識が異なる場合があるので、重要事項説明をうけるときに、
「契約の履行に着手とは、具体的にどんな状態ですか?」
と質問して確認しておきましょう。

手付解除の期限を過ぎると、契約を解除するためには違約金を支払う必要がでてきます。違約金の金額は売買代金の10〜20%が相場です。

2-5)最適な手付金交渉タイミングは「購入申込み時」

手付金交渉の最適なタイミングは、交渉が通りやすい「購入申込み時」。

購入申込みは、手付金の額、売買価格の値下げ、引渡し日の希望など、さまざまな契約条件を売主側に提示する場。この場で希望の手付金額を記載して、売主から承諾してもらうのがベストです。

「すでに購入申込みをしてしまったんだけど、、、」という方もまだ諦めないでください。契約日の前であれば、売主の承諾さえ得られれば、手付金の額を交渉することは可能です。

最適な手付金交渉タイミング
パターン1:購入申込時→◎オススメ
パターン2:購入申込後、契約日まで→▲前日などギリギリでなければ可能
パターン3:契約時→✕オススメしない

2-6)手付金が全額戻ってくる要件4つ

買主の手付金が全額戻ってくるケースは主に4つ。実際に起こる確率が高いと思われる順番に解説しま

パターン1:契約不成立 事前に手付金を振込したが契約しなかった

手付金の振込をしたが、契約はしなかったケースです。
この場合、手付金分は返金となります。厳密にいうと、手付金として支払った金額は契約締結するまでは「預り金」の扱いとなり、契約締結した瞬間に「手付金」に変わります。

パターン2:ローン特約や買い替え特約などで白紙解約した

パターン2は「白紙解約」になった時です。白紙解約とは、ある特定の要件を満たした場合、契約そのものがなかったことを指します。
白紙解約になるケースが多いのが以下の2つです。

パターン3:売主の事情で契約解除

売主側が手付解除をした場合です。
この場合、買主が支払った手付金が返金された上で、買主の手付金と同額を売主が買主に支払います。

パターン4:手付金保全措置により全額返金

売主が何らかの事情で契約を継続できない場合に、手付金保全措置がとられていた時です。手付金が全額返金されます。

2-7)手付金支払い時のトラブル3つと対策

手付金支払い時のトラブルに巻き込まれないように契約前、契約時にしっかり対策をしましょう。トラブルが起きてしまうと解決するのが困難となってしまう可能性があるからです。

手付金支払い時のトラブル3つを実際に起こる確率が高いと思われる順番に解説します。

パターン1:契約後に売主と連絡がとれなくなった

契約時に手付金を売主に支払ったが、その後、売主と連絡がとれなくなったケースです。契約の当事者は買主と売主となるため、売主が行方不明となると手付金の回収が難しくなるリスクがあります。

パターン2:契約後に売主(不動産会社)が倒産した

手付金が一定額以下の場合、または一定額以上であっても手付金保全措置が講じられていない場合(※法律違反:宅地建物取引業法第41条の2 )、手付金を回収できない可能性があります。

ただし、手付金保全措置が講じられていれば、万が一、不動産会社が倒産した場合でも手付金は返ってきます。

宅地建物取引業法によって、売主が不動産会社になる場合、一定額以上の手付金等を買主が支払った場合には、売主は保全措置を講じることが義務づけられているからです。

不動産会社に保全措置が義務づけられている手付金等の額

宅地建物取引業者が自ら売主となり、買主である一般消費者に完成物件を売却する場合、売買代金の10%または1,000万円を超える手付金等を受領しようとするときには、手付金等の保全措置を講じなければなりません。
参考:公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会HPより

パターン3:手付金を営業担当者が横領した

営業担当者に手付金を渡して、手付金を横領されるトラブルも発生しています。手付金は契約時に売主に支払うものですので、どんなに信頼できたとしても、営業担当者に手付金分を預けてはいけません。
過去には手付金21億を着服したという事件も発生しています。

参考:明浄学院元理事長ら逮捕 21億円横領容疑 大阪地検

3、手付金の支払い金額ごとの注意点

売主と買主のどちらの立場か、手付金の支払い金額ごとに異なる注意点をしっかり押さえてください。

ここでは、売買代金3000万円の売買契約をすることを前提として、手付金を支払うケーススタディをお伝えします。ご自身の状況に近いケースを見つけて参考にしてください。

3―1)手付金10万円の場合

万が一のペナルティが少額のため、手付金10万円の場合は契約解除が簡単です。そのため、特別な事情がない限りオススメしません。

特別な事情とは、売主に債務不履行の可能性がある場合です。たとえば、売買価格3000万円に対して、その不動産の残債が5000万円あるケースです。

売主は、売買価格3000万円に加えて2000万円分を返済しなければ売ることができません。このようなケースでは、手付金の額をできるだけ少なくすることも対策の1つです。

3-2)手付金100万円の場合

売買代金3000万円の場合、手付金100万円で契約するケースが多いでしょう。

手付解除をすると買主、売主は100万円を失うので、特別な理由がない限り契約解除はされにくくなります。

3-3)手付金600万円の場合

手付金が600万円は売買価格の20%。600万円となるとトヨタの新型クラウンも現金購入できるほどの金額です。

手付金600万円ともなると、買主、売主ともに心理的に契約解除することが難しくなるでしょう。

手付金を20%とすることで、売買価格の値下げをしてもらえる等の特殊な事情を除き、オススメしません。

4、手付金の支払い方法ごとの注意点

手付金の支払い方法は次の3つです。オススメの方法を表にまとめました。取引で採用されるケースが多い順にご紹介します。

4-1)現金

手付金を現金で支払う方法です。契約日に契約する場所に現金を持参して、締結のタイミングで相手に手渡します。

余談ですが、現金で支払う場合、契約時に手付金の金額に間違いがないかを確認する作業が必要です。100万円であれば、1万円札が100枚、間違いなくあるかを確認します。

4-2)振込

手付金を指定された銀行口座に振り込む方法です。契約日または契約日の前日までに指定の口座に振り込みます。

4-3)預金小切手

手付金を預金小切手で支払う方法です。略して「預手(よて)」ともいいます。契約日に契約する場所に小切手を持参して、締結のタイミングで相手に手渡します。

契約相手の売主、不動産仲介会社にも「手付金は預金小切手で支払う」と伝えておいたほうがよいです。預金小切手の扱いに不慣れな売主さんだと契約当日に「現金でないと不安」といわれるケースがあるからです。

5、手付金の交渉を成功させるコツ

手付金の金額変更、支払い方法の交渉を成功させる2つのコツがあります。コツを抑えると交渉の成功率が飛躍的に高まります。
交渉のチャンスは何度もないので大事にしてください。

5-1)コツ1:購入申込みの時に交渉する

手付金を交渉する最適なタイミングは『購入申込みの時』。なぜなら購入申込時は交渉が通りやすいからです。

購入申込は、手付金の額、売買価格の値下げ、引渡し日の希望など、さまざまな契約条件を売主側に提示する場。購入申込書に希望の手付金額を記載して、売主から承諾してもらえば成功です。

5-2)コツ2:明確な理由を伝える

手付金を交渉するためには、理由を明確に伝えてください。理由があれば、取引相手も納得しやすくなるからです。

交渉のコツは相手の立場で考えること。「ぜひ購入したい。でも手付金を用意できない。手付金が安くなったら契約する」と伝えれば、契約することを優先して交渉に応じてくれやすくなるでしょう。

6、不動産会社に不安があるなら、業者変更も一つの手

「不動産会社が交渉に応じてくれない・・・」そんなときは業者変更も一つの手。手付金の交渉が成功するかは不動産会社の対応次第ですので、信頼できるプロに任せることをオススメします。

買主から「手付金の金額を減額したい」と要望した場合、買主と売主の交渉の間に、不動産会社が1社〜2社はいります。

手付金の減額してほしい理由などを上手に伝えれば交渉は成功しやすくなり、反対に「買主から手付金を減額してほしいと要望された」と事実だけを伝えるようだと交渉はうまくいきません。

中には、交渉するのが面倒だからといって、売主には伝えず、不動産会社の独断で「確認してみましたが、手付金の減額はできませんでした」と答える悪質な会社も存在します。

いくら物件が気に入っても、不安を感じる不動産会社と契約手続きをすすめていくのは得策ではありません。

売買契約だけでなく、物件の引渡し、引き渡し後のサポートまで考えると数年単位で長く関係をもつことになるので、全国不動産売却安心取引協会が認定した「おうち売却の達人」のような担当者に任せると安心です。

まとめ

今回は『手付金額の相場、手付金のリスク、注意点、交渉方法等』について解説しました。

手付金は不動産仲介会社に言われるがままに支払ってはいけません。なぜなら、一度支払ったら原則返金されることはないからです。

手付金の額に不安がある人は臆せず金額を下げられないか交渉してみましょう。手付金額を下げることができれば、万が一解除となっても手放す金額が少なくなります。

自己資金を増やすことは大変ですから、手付金の支払いは少ないに越したことはありません。

手付金の金額の目安は5〜10%ですが、最終的な金額は売主と買主の話し合いで交渉できます。

手付金の金額、支払い方法ごとに異なる注意点を抑えた上で、自分にとって最適な手付金の額、支払い方法を選択できるよう交渉しましょう。

交渉を成功させるコツは「購入申込みの時に交渉すること」「明確な理由を伝えること」手付金に関する不安を解消して、希望どおりの売買契約を実現しましょう。


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