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嵯峨谷の歴史 第4回

1・伝統行事「神踊り」って?

こんにちは!今回は嵯峨谷の伝統行事である「神踊り(こおどり)」について説明したいと思います。

神踊りとは、毎年8月15日行われる「家内安全・五穀豊穣」の願いを込めて踊る伝統行事のこと。室町時代から継承されていると推定され、たいへん歴史のある踊りです。                         締太鼓を用いた踊りで、近畿地方には締太鼓による鼓踊が多いと言われています。

2・神踊りの前に

まず踊る前に神踊りの衣装に着替えた一同は行列を作り神踊りの舞台である八幡神社まで歩いていきます。
行列の順番は

①先達 薙刀2人 ②大太鼓2人 ③踊り子7人または8人

となっています。1番目の薙刀は、薙刀を使って悪魔を祓う役割があります。この所作は笹ばやしと呼ばれています。

神踊りは合計で10番の踊りがあり、踊りの前には必ず口上が入ってから踊りが始まります。踊りの時間は一つ約5分~10分あたりです。

入葉(いりは)踊り                            1番・宝踊り                              2番・長者踊り                            3番・牛若踊り                            4番・御舟踊り                            5番・あや踊り                            6番・花見踊り                            7番・姑踊り                                8番・殿御踊り                               9番・頼子踊り 

以上10個の踊りの前に必ず口上が入り、今回はその口上の一部を紹介したいと思います。


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「東西東西また東西。                         当村氏神様へ当○○様方より家内安全五穀豊穣の笹ばやし願籠みを致され本日若連中相集まりその願満たしを致し等ございますが、時に時に何踊りがようございましょうか」

「〇番〇踊がようございましょう」   

「〇番〇踊がようそうにご評定が相定まりましたならば、中の中の新発意(しんぼち)がハットいやキャッといい、キャッといやスッという。太鼓を持ち カンコを持ち カンコ―はなけれども 太鼓のニコンメイのゴヨウシについて正しゃっしゃれ」  

このような口上から踊りが始まります。願いを込めた笹を奉納する事から神踊りは「笹ばやし」と呼ばれることもあるんですね。            始めに近畿地方には締太鼓を用いた踊りが多いと記述しましたが、嵯峨谷の踊りは左手に締太鼓を持ち右手の桴(いかだ・ばち)で打ちながら踊ります。資料によっては右手に太鼓、左手に桴と逆の場合もありますが、他の地方では太鼓を胸にかけて両手の桴で打つ踊りが主要です。

この踊りはごくわずかしか例がなく、神踊りは貴重な芸能であると言われています。

3・踊りについて

それでは踊りについて説明したいと思います。踊りの型は

①歩き ②振り ③すわり  

の3つに分かれています。右手の桴で締太鼓を打ち鳴らしながら立ったり座ったり、あるいは歩いて所作をします。                10個の踊りはこの①②③に分けられていて、①の歩きは歩いて動いての所作であり長者踊、牛若踊、御舟踊、花見踊、姑踊、殿御踊が該当します。

今回は1番の宝踊りの歌詞を紹介したいと思います。


「ハイ これのかどうらい ハイヨ 舟がついておいでそ

イヤ 御宝踊りよ おんどおろよ ハイヨ おんどおろよ

ハイヨ 舟の底積にゃ ハイヨ 黄金積ませ おいでそ

イヤ 御宝踊よ 音頭おろよ ハイヤ 音頭おろよ 

ハイヨ 舟の中積にゃ 白銀を積ませおいてそ 

イヤ 御宝踊よ おんどおろよ ハイヨ おどおろよ

ハイヨ 舟の上積にゃ ハイヨ 銭が積せおいでそ

イヤ 御宝踊よ おんどおろよ ハイヨ おんどおろよ

ハイヨ 舟の帆むろにゃ ハイヨ 金たはらせおいてそ

イヤ 御宝踊よ おんどおろよ ハイヨ おんどおろよ

ハイヨ 舟のとし綱にゃ ハイヨ 白銀をうたせおいでそ

イヤ 御宝踊よ おんどおろよ ハイおんどおろよ

ハイヨ おんさにさ ハイヨ いささにさ

や でんでらでんのでん」


以上が宝踊の歌詞です。そのほかにも最も古いと言われている歌本には鎌倉踊、清水踊、木曽踊と呼ばれる3曲が記されていますがこれについての記録が各歌本に一切なく詳しく知る人もいません。

最後

以上、嵯峨谷の伝統行事である「神踊り」についてでした。和歌山県から無形民俗文化財として指定されているこの「神踊り」を途絶える事なく受け継いでいけるよう、これからも嵯峨谷の歴史について発信していきたいと思います。


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執筆メンバー 匠 松下



                     

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