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『グッド・バイ』-太宰治-


太宰治の未完作品。
青空文庫で読んでみたので軽く感想を書きます。

■あらすじ

妻と娘を埼玉に置いて、東京で闇商売をして儲けていた主人公の田島周二。闇商売から足を洗うと同時に十人近くいる女とも別れなくてはならない。そんな田島が"見た目"は絶世の美人・キヌ子を偽妻として連れて一人一人女に"グッド・バイ"と告げて別れていく話。

暗い話かと思えばそんなこともなく、コミカルな場面のほうが多い楽しい作品です。

■感想

それまでたくさんの女を抱えて器用に扱っていた田島がキヌ子に振り回されてる姿が面白い。現代の恋愛モノでよくある「イケメンモテ男が色んな女の子を器用に扱ってるのに好きな女の子に振り回されちゃう」みたいなね。(ちょっと的外れかも)実際に田島はキヌ子のことが好きな訳ではないし都合よく利用させてもらってるだけなんだけど。キヌ子に散々いいように使われてイライラした田島が作戦立ててキヌ子を従順にしようと企むも見事に失敗。そんな所が私にはすごく合って面白かった。

ラストは作戦が失敗したからもうキヌ子をいいように使って元を取るしかない!とりあえずキヌ子の怪力ぶりを利用してやる!ってところで終わってしまってめちゃくちゃ先気になるじゃん!!!ってなった笑
そこで終わるのかよって。もう一生先の話を読むことはできないんだよなぁ…

■作品について

田島は女と酒に目がないだらしのない男なんだけど何処かで見たことのあるような……
それは太宰治自身ですね。人間失格の葉蔵も女に振り回され、酒に溺れ……。

未完作品として終わってしまった『グッド・バイ』実は物語のオチは決まっていたようで、愛人たちと次々と別れた田島は最終的に自分の妻から"グッド・バイ"と言われてしまうらしい。

足を洗って妻と娘と暮らすために女たちに別れを告げたのに最終的には自分が言われてしまう。自分だけが"グッド・バイ"という立場ではないんだよ〜的なね。このあと田島はどんな道を辿るのか考えてみるのも面白そう。


テンポも良くて1時間足らずで読めちゃうお手軽な作品なので、是非読んでみてください。↓

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