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伝統構法による家 建前を終えて

2020年3月16日上棟式を行いました。
上棟式は棟上げまで無事行われたことへの感謝と今後の家の安泰を願う神事です。

14日に材の搬入、15日6時30分に現地へ。7時30分頃にお神酒で乾杯し建前が始まりました。大工は棟梁を含め9名、クレーン運転士1名。15日の夜には強風と強雨にも見舞われましたが、朝には止んでおり16日も同時刻から大工8名、クレーン運転士1名、更に左官さんにも来ていただきました。そして17時30分頃、棟梁による祝詞の奏上により上棟式を行うことができました。


2016年1月23日に当時『AA STUDIO』との屋号であった野の草設計室を初めて訪問。あれから4年が経ちました。約1年をかけた20数回の打ち合わせを経る間には長女が誕生しました。その後、1年半の期間を要する木材の自然乾燥。この家を建てることを受けていただいた棟梁のスケジュールもあり自然乾燥の期間は延長され、結果的に2年間となり最高の乾燥具合を得ることができました。

2019年5月30日に地鎮祭。その後、棟梁による材への墨付けと刻みの作業。私たち素人では想像できない量と細やかな作業。家の将来に想いを込めた材への配慮の数々。棟梁の魂の籠った仕事には感服の想いと感謝でいっぱいです。

この家には「誕生と成長の家」という名前がついています。この家を計画するには妻と夫婦となり家族が誕生したことに始まるものです。そして、この家の計画をしている間には長女も誕生しました。家族は誕生し、成長していきます。

古来より伝えられてきた伝統構法による木と土の家は完成がピークではありません。木は製材されてから100年近くをかけて強度を増していくといわれています。木や土の淡い発色。経年による色の変化。すべてが個性を発揮します。木と土壁の家の空間は自然で潤いがあります。木も土壁も空気や湿度を取り込み、吐き出します。家は家族とともに生きて成長していきます。

誕生にも成長にも愛が欠かせません。誕生は愛に始まり、成長には愛を注ぎ続けます。野の草設計室の伝統構法への愛。棟梁の技に込められた愛。この家に係わるすべての人の想いを「愛」という一字に込めて棟木へ「愛 誕生と成長の家」としるさせていただきました。

家が完成を迎えて住み始めるにはまだ1年ほどかかります。完成が世に姿を現す出産とするなら、建前は悪阻(つわり)が終わったくらいでしょうか。現代の家づくりと比べると非常に長い時間がかかっていますが、それも自然の一部です。何が良い悪いというのではなく、私たちは、この自然な時間の流れを選択しました。その時間の流れの中でたくさんの愛が育まれています。
この家が100年200年と成長する中で、たくさんの愛が生まれ成長してほしいと思います。

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