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スイセンをニラと間違えて醤油漬けにして食中毒

 スイセン類は、葉や球根など全ての部位が有毒で、葉はニラ、球根がタマネギに似ていることからよく食中毒の原因となります。
 スイセンによる食中毒は厚生労働省の統計によると、平成24年から令和3年の10年間に 62件発生しています。患者数は合計195名で1名の方が亡くなっておいでです。

今回の事例

 報道によると7日に給食として提供された「ニラのしょうゆ漬け」を食べた園児や職員計77人のうち、園児 12人(4~6歳)が2時間半以内に嘔吐や発熱などの症状を発症したということです。
 ニラと思ってたスイセン類は、施設の職員が「数年前に知人からニラだと言われて譲り受け、施設内で栽培していたものを使用した」と説明しているそうです。

 ニラには特有のにおいがあり、葉を揉んだ後のにおいで判断できるのですが、ニラと信じ込んでいると臭いが違うのが気にならないようです。

 若い頃に庭でニラやタマネギを栽培していた人は、高齢になり認知症が出始めると現在はスイセンを栽培していることを忘れてしまい、ニラやタマネギと思い込んでしまうことが起きているのかも分かりません。

自然毒のリスクプロファイルから

【中毒対策】
 一般にヒガンバナ科植物にはヒガンバナアルカロイドが含まれており、それらが有毒成分となる。
 Narcissus 属には有毒成分はリコリン (lycorine ) 、ガランタミン
( galanthamin )、タゼチン( tazettine )とシュウ酸カルシウム ( calcium oxalate ) などである。
 全草が有毒だが、鱗茎に特に毒成分が多い。 食中毒症状と接触性皮膚炎症状を起こす。
 不溶性のシュウ酸カルシウムを含んでいて,接触性皮膚炎を起こす。
【間違えやすい植物】
 細い葉のタイプのスイセンはニラによく似ているため、花が咲いていないと間違えやすい。また、ノビルも過去にスイセンとの誤食の例がある。鱗茎はタマネギと間違えやすい。
 葉を揉むと(または切ると)ニラはニンニクのような強い刺激臭(ニラ臭)があるが、スイセンの臭いは弱く青臭い。

自然毒のリスクプロファイルから

【参考資料】

給食「ニラのしょうゆ漬け」食べた園児ら食中毒、実は有毒成分含むスイセンと判明…施設内で栽培(読売新聞オンライン 2022/04/12 14:33)
過去10年間の有毒植物による食中毒発生状況(平成24年~令和3年)/厚労省
有毒植物による食中毒防止の徹底について(2022/04/06 薬生食監発0406第1号)
自然毒のリスクプロファイル:高等植物:スイセン類
時短、安い、旨い!ニラの醤油漬け レシピ・作り方(kenken7043)
有毒植物による食中毒(今日の疑問 2018/05/03)


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