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私の仕事 – 「これまで」と「これから」③

③きっかけ

そんな私がどうして、今の私になったのか。
大学時代に、なぜかいつもなら絶対に行かないようなツアーに
申し込んだことが始まりだ。

高校の後輩が先にそのツアーに申し込んでいた。
アメリカでのホームステイ3週間の後、
カナダとハワイそれぞれ1週間の観光という旅程。
英語嫌いなのに、
ホームステイを体験してみたいという気持ちになったのだ。

理由は今でも分からない。

そんな気持ちで旅立ったから、
現地に着いたら、上手くいかないことばかり。
現地の人たちと英語で交流したい気持ちが
それほどあったわけではなかったから、
言葉も十分に勉強してきたとはとても言えず、
意思の疎通もままならない。

同じツアーに参加した人たちのステイ先は、
だいたい裕福な家庭で、大きな家。
一方、私のステイ先は、ごく一般的な家庭で、部屋も小さく、
小学生の娘さんの部屋で、エキストラベッドに寝ていたくらいだ。

最初はコミュニケーションがうまくいかないこともあって、
その距離の近さが疎ましく思うことばかりだった。
時には、自分の出来なさ加減に腹が立って、
「一人にして!」なんて言って、部屋に閉じこもることもあった。

でも、時が経つにつれ、
ステイ先のファミリーのあたたかさがよくわかるようになった。

決して贅沢な暮らしではないけれど、日々の生活を大切にしている。
手作りの食事やおやつ、手芸や日曜大工、キャンプ、車の修理、
家族との時間。
あたたかな空間がいつもそこにあった。

三週間はあっという間で、自分で格闘している間に終わってしまった。
最初の頃の失礼とも言える態度にもかかわらず、
私と一緒に過ごせたことをファミリーはとても喜んでくれた。
再会も約束した。

ふがいない自分を受け入れてくれたことに、
私は感謝の気持ちしかなかった。
でも、それすらもその時は、思うように伝えられなかった。

「必ず、もっと話せる自分になって会いに来る」
心の中でそう決めた。

(次は2022.6.5)

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