言葉のトンマナ

デザインをやっていく上で、言葉はすごく重要な要素で、丁寧に考えていく必要があるなと常々思っています。

最近UXライティングとか、改めて言葉の力や作用について、ユーザー体験を芯にした話が取り上げられているのはすごく良い傾向だなあと思ってます。

こちらのセッションのまとめで例として上げられている、Twitterのサーバーダウンの時の表現などは良い例で、感情なく「サーバーが落ちています」と表示されるより、イラスト共に「Twitterはキャパシティを越えちゃってるよ」とした方が共感性が高まり、ユーザーに寄り添い、不快な感情を軽減することができます。

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デザインやっている人には馴染み深いと思うのですが、「トンマナ」という用語があります。「トーン&マナー」の略で、プロダクトやサービスや広告など、デザインされたものがあたえる全体的な印象、という感じでしょうか。

「新規サービスのトンマナ、明るめのグリーンでやってみたんですがどうでしょう」

「このランディングページ、前に作ったやつとトンマナ合わせて作ります」

「任せといたデザイン、トンマナあってないよ。あと俺やるからさ、もう帰っていいよ。あ?いいから帰れっていってんだろ!」

などなど、便利に使える言葉です。

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トンマナは、見た目のデザインについて話題に上がることが多いのですが、サービスやプロダクトの印象を左右するのは、見た目だけではなく言葉を含めた、全体としてのトンマナが大事なのだろうと思います。

そのために必要なのが、

- 誰のための言葉かを明確にする
- ユーザーの共感性を得る
- 終始一貫した言葉遣い

あたりでは、と思っています。そもそもターゲットが明確で無いと、共感を得る言葉遣いはわからないですし、統一感のある言い回しも選択できない、ということです。

例えば若年層向けに設計された動画配信サービスのログイン画面では「ログインしてください」よりも「おはよう!今日初めてのログイン☀️」の方が適切かもしれませんし、逆に公共機関のホームページでこの表現だと不愉快な思いをさせるかもしれません。

そういった意味で、誰に話しかけるか、そしてそのトンマナは適切であるか、デザイナーは注意深く、想定し、観察し、選択することが重要だと思います。

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UIのボタンの、入力完了ボタンのラベル一つをとっても、

- 決定する
- 決める
- これでOK
- 送信
- 次へ
- 次に進む
- 利用規約に同意して進む
- はじめる

などなど、ユーザーを想定しつつ、どの程度寄り添うか、もしくは事務的にするかは、サービスやプロダクト全体のトンマナに大きく影響を及ぼします。つい使い慣れた表現を選択しがちですが、十分に考慮が必要なのだと思います。

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と、言葉とトンマナについて徒然書いたのですが、「伝わるWebライティング」という今年出た本があり、その内容がすごく良かったのでおすすめです。

「洗練され研ぎ澄まされたビジュアルも、屈託のないさりげないコピーに負けることがある」

肝に銘じ、言葉を大切に扱っていこうと思います。

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