①就労ビザの取得方法:学生ビザ(Laurea有り)から就労ビザへの書き換え編
イタリア留学中に就職活動を成功させ、そのまま就労ビザに移行した経験者も少なくありません。
学生ビザから就労ビザへの書き換えは、卒業後の就職をスムーズに進めるための有効な手段です。
しかし、手続きは複雑で、多くの書類準備や申請手続きが必要となります。
そこで今回は、イタリアの大学卒業(Laurea)取得者のNulla Osta取得方法と就労ビザ申請手続きを詳しく解説します。
イタリアの大学卒業者向け:学生ビザから就労ビザへの変更手続き
イタリアの大学を卒業し、現在学生ビザを持っている場合、20時間以上働くためにはビザを就労ビザ(雇用もしくは自営業)に変更する必要があります。この変更手続きは、イタリアの国公立または私立大学で取得したMIUR(イタリア教育研究省)認定の学位がある場合、年間を通じていつでも行うことができます。
資格要件(雇用ビザ=Subordinato 自営業ビザ=Autonomo 共通)
有効な学生ビザを持っていること
MIUR認定のイタリアの大学で学位を取得していること
雇用契約(雇用ビザの場合)または自営業の証拠(自営業ビザの場合)を示すこと
適切な住居(賃貸契約書もしくは住民票=Residenzaに相当するもの)を持っていることを証明すること
雇用ビザ=Subordinatoに必要な書類
有効な学生ビザ(Permesso di soggiorno Motivo di studio)
現在有効な学生ビザの原本およびそのコピー
パスポートの個人情報ページのコピー
パスポートの個人情報が記載されたページのコピー
イタリアで取得した学位証明書(Laurea)
イタリアの大学で取得した学位証明書
雇用主からの雇用契約の意向を示す書類
雇用契約に関する詳細(契約内容、レベル、職務内容、期間、勤務時間、給与など)が明記された雇用主の意向書。
20時間以上であればContratto Determinato(有効期限付契約)でも申請できるが、Contratto Indeterminato(終身雇用契約)でないと申請が通らないケースが多いため注意が必要。
雇用主の有効な身分証明書のコピー
雇用主の現在有効な身分証明書のコピー
雇用主の最新の納税申告書およびその受領証
雇用主(個人、法人、個人雇用主)の最新の納税申告書(法人の場合、直近の決算報告書など)
雇用主の会社登録証明書(Visura Camerale)
家事労働の契約でない場合、雇用主の会社登録証明書。
連絡先情報
雇用主および申請者の電話番号およびメールアドレス。
*書類は全てイタリア語である必要あり!
日系の駐在員事務所に就職する場合など、日本語での書式しかない場合は法廷翻訳→アポスティーユを行いイタリアにおける公文書化する必要があります。
自営業ビザ=Autonomoに必要な書類
有効な学生ビザの原本とコピー
現在有効な学生ビザの原本およびそのコピー
パスポートの個人情報ページのコピー
パスポートの個人情報が記載されたページのコピー
イタリアで取得した学位証明書
イタリアの大学で取得した学位の証明書
関連する専門職の登録証明書またはライセンス(必要な場合)
専門職としての活動に必要な登録証明書またはライセンス
合法的な収入証明書
年間収入が€8,500以上であることを証明する書類(納税申告書、銀行保証、口座残高証明書など)
*これから仕事を始める場合は銀行の残高証明がベター
P.IVA番号証明書(Certificazione di attribuzione della partita IVA)
商業納税番号Partita IVAの付与証明書
年金基金(INPS)への登録証明書
年金基金への登録証明書
*学生→自営業ビザについては追加で財務計画書(Attestazione dei parametri finanziari)などを求められるケースもあり。
共通するその他に必要な書類
適切な住居証明書
住居地の市役所から発行された適切な住居証明書。=Residenza
住居提供者(所有者または賃借人)による住居提供の同意書および提供者の身分証明書。=Dichiarazione di Ospitalita'
6ヶ月以上の期間にわたる所有契約または賃貸契約/使用貸借契約のコピーおよびその登録証明(税務署のスタンプまたはオンライン登録の受領証)。=Contratto di Locazione
*私が書き換えした当時は賃貸契約書だけで申請が通りましたが、最新の情報については確認することをお勧めします。
申請費用の収入印紙(Marca da Bollo)
申請に必要な€16の収入印紙。
手続きの流れ
オンライン申請方法
申請の提出
申請は専用のオンラインサイト(http://nullaostalavoro.dlci.interno.it)から行います。
その後の呼び出しや連絡がメールで届くため、申請時には有効なメールアドレスを必ず記載します。
申請フォームの記入
就労ビザ(雇用)の場合は「MODELLO V2」を使用。
自営業ビザの場合は「MODELLO Z2」を使用。
申請状況の確認
申請状況をオンラインサイト(http://nullaostalavoro.dlci.interno.it)で確認できます。提出時に提供された認証情報を使用します。
申請後の手続き
書類の提出
オンライン申請後、移民局(Sportello Unico Immigrazione)からのメールを待ちます。メールには申請番号と追加で提出が必要な書類リストが記載されています。
*市町村によって異なりますが、私がミラノで申請した際には1週間で呼び出しが来ましたので、申請時には書類が完璧な状態であることをお勧めします。指示された書類はすべて一つのPDFファイルにまとめ、以下のメールアドレスに送信します:
メールアドレス:sportellounico.pref_torino@interno.it
メールの内容:申請番号と申請者の氏名を記載します。
書類審査と通知
書類審査が完了すると、移民局からのメールで郵送キットを受け取るための面談日が通知されます。
面談時に持参する書類
面談時には以下の書類を持参します:
オリジナルの収入印紙(Marca da Bollo)€16
パスポートの個人情報ページのコピー
雇用契約書(就労ビザの場合)は3部提出
*面談では書類審査だけではなく、雇用の情報や動機などかなり根掘り葉掘り聞かれますので、イタリア語に自信がない方は、ある程度質疑応答を想定して準備していくと良いでしょう。
申請の不備対応
事前の不備通知
書類に不備がある場合、以下の方法で通知されます:
書留郵便(Raccomandata A.R.)
PEC(申請書に記載された助言所、支援センター、法律事務所のアドレス)
法人の場合はPEC
不備の修正
通知を受け取った日から10日以内に不備を修正し、指定されたメールアドレスに送信します。
最終的な却下
不備が解消されない場合、最終的に申請は却下されます。通知方法は以下の通りです:
書留郵便(Raccomandata A.R.)
PEC(申請書に記載された助言所、支援センター、法律事務所のアドレス)
法人の場合はPEC
最終的に手続きが終了し、申請が却下された場合でも、再申請や異議申立てを行うことができます。
4. まとめ
学生ビザから就労ビザへの書き換えは、手続きが複雑で、多くの書類準備や申請手続きが必要となります。
しかし、計画的に準備を進め、必要な書類を揃えれば、スムーズに移行することができます。
みなさんの手続きが無事にうまく行くことを心よりお祈りしております!!
注意事項
免責:上記の手順はあくまで一般的なものであり、個々の状況によって異なる場合があります。よって、こちらの内容について一切の責任を負い兼ねますのでご了承ください。
最新の情報については、必ずイタリア大使館・領事館のウェブサイトでご確認ください。
翻訳が必要な場合は、公式の翻訳者による翻訳が必要です。
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