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おばさんだけど、推しに少しでも可愛いと思われたかった③ 2022/11/29
〜2021年に解散した韓国のアイドルグループの推しの思い出を綴るnote〜
何を話そうか…、サインの時は毎回、何を話すか良いアイデアが浮かばない。ノープランの時の方が、盛り上がることも多かった。
明日の最終公演がんばって、と月並みな言葉しか思いつかない。
帰国したら何をするのか、次の予定はどうなっているのかということを訊きたいけど、イマイチ盛り上がらずに終わりそうな気がした。
最後は笑って楽しく終わりたいなと思うと、考えれば考えるほど難しかった。
順番が近づくにつれ、今日はもうノープランでいこうと決めた。時間が押していてスタッフが急かしていたから、どのみち大した話は出来ないだろうから。
推しは団体サインの4番目にいた。
最初の3人との会話が楽しく終わり、推しの前へと進む。
推しは慣れた手つきでサラサラとチェキにサインを書き終わると、ペンを置いて
ハルさん!
目をキラキラさせて、唐突にこう言った。
ハルさん、今日は子供みたいだね!
…へ?
突然すぎて意味がわからなかった。
「え?子供みたい??」と驚いて訊き返すと推しはしどろもどろになって
あ、今日の服が…子供みたい…これ
と、ジャンバースカートのジェスチャー。
私は思わず吹き出して、「変?」と笑った。
そうじゃなくて!
子供…えーと…
子供…と言いながら、顔を指さす推し。
日本語が出てこないようだったが、たぶん若く見えると言いたいようだ。
焦ってフォローしようとする推しが可愛くて、私は少しイジワルに「本当に〜?」と疑うような目つきで推しを見る。
推しは「本当!本当です!!」と強調した。
私は笑って「ありがとう」とお礼を言った。
スタッフに急かされ、会話はそれで終わった。
ノープランだったとはいえ、全く予想していなかった推しの言葉。楽しく終わりたいなと思っていたけど、違う意味で笑って終わった。
今まで、いつもと違う雰囲気の服を着た時は必ず気づいてくれた推し。個人サインの時は何も言ってなかったから、今日は人も多いし気に留めていなくても仕方ないよね、と少し残念な気持ちになっていたけれど、やっぱり気づいてくれたことが嬉しかった。
私が期待した反応とは、真逆だったけども。
タイトなトップスにタイトなジャンバースカートで大人っぽく決めたつもりだった。
今日はいつもより大人っぽいねとか、そういうスタイルも似合うねとか、そんな言葉を内心期待していた。
子供みたい、だなんて若作りしすぎなのかなと心配になるけど…
褒め言葉だと受け取っておこう。
キラキラした目でそう言った推しは、きっと私が喜ぶと思って言ってくれたのだと思うのだ。
推しは、私がいつも心の中で自分の年齢や容姿に対して引け目に感じていることを、察しているような気がする。
推しはそういう勘が鋭いから。
若く見られたい、可愛く見られたいと思う気持ちを汲んでくれているようで、申し訳ないような、嬉しいような、、、
来年、韓国でデビューして新しいファンがたくさん増えたら、こんな風に話すことは難しくなるかもしれない。
いや、こんな風に個別のファンサービスに気を配るようなアイドルではなく、パフォーマンスでファンを惹きつけるアイドルになって欲しい。なるべきだ。
まるで相反する2つの気持ちが、私の中に存在していた。
だけど1つ言えることは、SHOWBOXの2年間は忘れられない思い出ばかりで輝いていた。
次に会えるのがいつになるのか全くわからなかったが、その時までにもっと可愛くなりたいとまるで少女のような気持ちにさせてくれる推し。
仕事に疲れたただのおばさんだった私を、変えてくれた推し。
会えなくなった今は、もう1年以上洋服は買っていない。メイクも適当だ。
あのウキウキと輝いた毎日が嘘みたいに、私はトキメキのない毎日を生きている。
奇跡が起きてもう一度推しに会えたら、私はまたスカートを履いて、きれいにお化粧をして推しに会いにいくだろう。
終。
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