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ほろ苦い大阪公演(2019)夏の思い出。2022/06/10

〜2021年に解散した韓国アイドルの思い出を綴るnote〜

前回noteに書いた、推しの2度目の大阪公演を見に行った時の話を書こうと思う。

「ハルさん、大阪で待ってます」と言われたことに舞い上がっていた私は、たぶん過度な期待をしていたのだと思う。
推しがファンサービスのつもりで言った言葉を真に受けて、勝手に期待していただけ。

その頃私は仕事が忙しくて、大阪公演は1日だけ見に行くことが出来た。

行った日はちょうどリリースイベントがあって、私は関西国際空港からショッピングセンターへ向かった。

既にステージ前にはヲタクたちが並んでいた。
顔見知りの東京のヲタクたちが気づいて、手を振ってくれた。

優先エリアの券も持たず、特典会もやるつもりは無かったから、私は人垣から離れて後ろの方で見ることにした。
推しは気づかないだろうけど、特典会をやらない後ろめたさから、気付かれない方が都合が良かった。

着実に大阪のファンを獲得した推したちのグループのリリースイベントは、盛況だった。
後ろからその様子を見て、私は嬉しい気持ちと寂しい気持ちが入り混じっていた。

これからきっと、もっとファンが増えていくのだろうな、と。
嬉しいことのはずなのに。

ミニライブが終わり、特典会の準備のためにメンバーたちは楽屋へ戻って行った。
私は顔見知りのヲタクたちに挨拶をして、そっと会場を後にした。

もし人が少なかったら特典会をやろうと思っていたが、たくさんのファンが集まっていて、私がいなくても良さそうだと思ったから…

夜の公演が始まるまでの間、行きたかったお店を回って時間を潰してから南堀江のビレボアへ向かった。

整理番号がとても良い番号だったから、私は最前列の右端、推しの立ち位置側の席に座ることが出来た。
仲良しのヲタ友は大阪に来ることが出来ず、私は1人で見に来ていた。

東京からのファンもたくさん見に来ていた。

最前列に座ってしばらくすると、真後ろの席で「どうする?別の席に移ろうか?」という会話が聞こえた。
「ううん、私は平気。ここでいいよ」聞き覚えのある声だと思ってチラッと後ろを見ると、SHOWBOXでよく見かける同担さんだった。

何気なしに聞こえた会話だったが、しばらく経ってその意味に気づいた。
もしかして、私が前にいたからだろうか。。

SHOWBOXのような場所では、暗黙のルールというか、同担の近くには座らないという傾向がある。

それは推しの目線が被るから、という理由らしい。
自分を見ているのか、同担を見ているのかわかりづらいとか、目線が分散してしまうとか、そんな理由のようだった。

私は地味なヲタクだし、そういう枠組みから外れた存在だと思っていたから意識したことは無かったが、「他の席にしようか?」と言っていた理由が他に思い当たらなかった。
周囲には他に東京から来た同担の子は見当たらなかったから。

私のこと言ってるのかな…と思うと居心地が悪かった。先に座っていたのは私なのだし、気にする必要は無いけれど。

それからしばらくして、東京から来ていた別のヲタクが突然話しかけてきた。
顔見知り程度で、東京ではほとんど話したことが無い子だった。

「私の席センターなので、交換しましょうか?」という提案に、私は混乱した。
なぜそんなことを言われたのか意味が分からず、動揺してしどろもどろになった。

「え?あの…私はここで…大丈夫です」そう答えるのが精一杯だった。

私は推しの目の前に座りたかったから、敢えて右端の席に座ったのだ。
センターの方が全体が見やすいと思うけど、私は推しの前に座りたかった。

その提案をした子は、真後ろの席の同担さんと仲良しのヲタクだったから変に勘ぐってしまう。
まさか、私を他の席に移動させようと仕組んだわけじゃないよね、、、?と。
そんなことするわけ無いのに、その時の私は疑心暗鬼になっていた。
おそらく、後ろの席の同担さんたちの近くに座りたかったのだろう。

私は1人で大阪へ来て、周りと馴染めず疎外感を感じていたのだと思う。だから疑心暗鬼になっていたのだろう。疑ってゴメン、と後から反省した。

公演が始まっても、私の気持ちは盛り上がり切らなかった。
推しは…目線をたくさんくれて、それは嬉しかったのだけど、、、

特典会が始まり、どのメンバーの列も大行列だった。

人が多すぎて、長く話すのは迷惑だろうと思ったから、早めに切り上げようと思った。

個人サインの時、推しが公演中に口ずさんでいた曲のことを話した。
「レイニーブルーを歌ってたけど、好き?」そう聞くと推しは「秘密」と答えた。

そう答えると思わなくて、会話が続かなかった。
突き放されたような…、私が期待したような会話ではなかった。。

他に話すことが思いつかず曖昧に笑うと、推しは「歌詞が綺麗な曲だから、、好きです」と答えた。
 
私には会話を続ける気力が無く、早めに切り上げた。今日は何もかも上手くいかないような気がする。

団体サインが始まると、美人ちゃん(年下のヲタ友)と一緒に並ぶことになった。
気持ちもだいぶ落ち着いてきた。

団体サイン会は、推しが1番手に座っていた。
先に並んでいた美人ちゃんが持参した写真を見ながら、楽しそうに話していた。

私の順番がきたが、何を話すか決めていなかった。
とっさに、美人ちゃんが持参した写真の中で1番かっこよく写っているメンバーについて話すことになった。

1番かっこいいのは○△くんかなと、正直に推し以外のメンバーの名前を挙げた。(実際その時の推しの写真がイマイチだったから…)

ハルさんひどいよぉ。ぼくは??
あ、そうか、僕はいつもかっこいいからね、はいはい。

そう言われて私は気の利いた返事が出来なかった。
推しが、会話を早く終わらせたいと思っているような気がして、一言「そうだね」と笑った。

会話が続かなくて「じゃあまた東京でね」とだけ言って立ち上がった。人が多すぎて、推しは早めに会話を終わらせたいのかもしれない。
今日は全然だめ。何もかも上手くいかない日だ。

私の反応が薄かったからか、推しは少し慌てて

あ、あのっ、ハルさん。
ココに会いたい。

と、突然言い出した。
ココは私が飼っていたコーギーのことだ。

何の脈絡もなくそんなことを言い出したから私は何と答えていいか分からず「え?あ、うん、わかった」と答えてしまった。

今度は逆に推しが驚いて「え?会えますか?」と目をパチクリさせていた。

思わず顔を見合わせて、私も推しも笑ってしまった。「うん、いつかね」そう言って私は移動した。

意味のない、他愛のない会話。
大阪で推しは、明らかに疲れていたように見えた。

日本に来て1年が過ぎ、そろそろ韓国デビューを実現させたい時期だったと思う。
この頃、他のメンバーももっと大きな会場でライブが出来るように頑張ると盛んに言っていた。

そういう時期に、1年前と変わらず小さなライブハウスで、毎日ヲタク相手に気の利いた会話をしなきゃいけない現実に疲れているように見えた。

大阪公演が終わったら、またすぐにSHOWBOXへ戻ってくることになっていたから、推しの負担にならないようなファンでいようと私は自分に言い聞かせた。

1年前の自分を思い出そう。
ファンサービスなんて期待しなかった過去の私。
推しの歌を聴くことが出来れば、それだけで幸せだった頃の私。

そう心に決めた大阪遠征だった。


この時の記憶は、ぼんやりとしか覚えていない。
日記がわりのメモを読み返して、そういえばそうだったなと、その時の気持ちを思い出しながらnoteを書いた。

東京に帰ってから仲良しのヲタ友に報告すると、ヲタ友は「ああ〜、それは推しくんのヤキモチだね」と言った。

どこがどうヤキモチなのか、私にはサッパリわからなかった。

「それはさ、ココの事を知ってるのは僕だけだっていうアピールよ。○△はココのこと知らないでしょ?っいうアピール」とヲタ友は言う。

それで私は考え直した。
そうか、推しが早く会話を終わらせたがっているように感じたのも、それは自分の受け取り方次第かもしれない。

自分の気持ちがマイナス方向に傾いていると、全てを悪い方向に捉えてしまう。
推しの気持ちなんて推ししかわからないこと。
勝手に落ち込んで勝手に傷つくのは、私の悪いクセだな、と。

そう考えると少し心が軽くなった。

考え方次第で、会話の印象は180度変わる。
ポジティブに考えた方が幸せだ。

推しが突然ココの話を持ち出した意図はわからないけど、犬が好きな推しだから本当にココに会いたいのかもしれないな、なんて想像して微笑ましい気持ちになった。

おしまい。

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