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【大月書店通信】第183号(2024/4/30)

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「大月書店通信」第183号をお届けします。

4月10日に投票された韓国の国会議員選挙では、革新系の野党が大差で勝利しました。投票率は67%で、1996年以来最高とのことです。
ニュースなどで選挙戦のようすを見ると、両陣営が踊ったり歌ったり、良くも悪くも「お祭り」的な明るさは日本の選挙にないものですね。韓国ドラマにもシリアスからエンタメ系まで、政治や選挙を題材にしたものが多数あります。
そうした文化の端々から、人々が政治を自分の生活に影響するもの、放置すれば今より悪くなってしまうものと考えていることがわかります。わずか40年前まで軍事独裁政権が続いていたことを考えるなら、当然かもしれません。

4月の新刊『韓国社会運動のダイナミズム』は、こうした韓国の政治文化と密接にかかわる社会運動の多様な姿を、現地のアクティビストの参加のもとにまとめた一冊。
#MeTooなどを通じ急速に大衆化した女性運動、移民政策と外国人労働者の権利運動、政権交代や革新系首長のもとで進んだまちづくりへの市民参加、コロナ禍で苦境に立つエッセンシャルワーカーの権利を保障する運動、社会保障の持続可能性をめぐり現実的に議論されるベーシックインカム論争、の5つの切り口で、日韓の研究者とアクティビストが論じます。

キャンドルデモが象徴する市民の結集で民主主義を勝ち取り、バックラッシュに晒されながらも「何度でも」立ち上がる韓国の社会運動の息吹をぜひ感じてください。

◆三浦まり・金美珍[編」『韓国社会運動のダイナミズム』


【新刊案内】『韓国社会運動のダイナミズム』ほか4月の新刊3点

4月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。(定価はすべて税込)

●民主主義を追求する熱気と活力の源とは?
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韓国社会運動のダイナミズム――参加と連帯がつくる変革
三浦まり・金美珍[編]2,860円
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80年代の民主化闘争から近年の#MeToo運動まで、社会を変える活力と戦略性を備えた韓国の市民・社会運動。女性運動、労働組合、革新政治との協同など、歴史的背景と豊かな実践例を各分野の当事者・専門家らが報告。

●特集=子どもが幸せに生きる社会を求めて
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月刊クレスコ 5月号(no.278)
クレスコ編集委員会 全日本教職員組合(全教)[編]825円
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今年は子どもの権利条約批准30年。2022年改訂「生徒指導提要」で「児童生徒の権利の理解」が明記されたが、管理的な指導体制の下で依然生きづらさを感じる子どもは少なくない。子どもの権利の今までとこれからを考える。

●特集=「テレビと政治」の30年
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放送レポート 5月号(no.308)
メディア総合研究所[編]550円
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●ドキュメンタリー台本●番組批評●制作者の素顔●ラジオの現場から●スポーツとマスコミ●映画の中のマスコミ●話題の本から●放送をめぐる動き
ほか

【話題の本・本の話題】

最近の新刊の書評掲載

●加藤圭木[監]『 大学生が推す 深掘りソウルガイド
高校生新聞 ONLINE」4月8日
「しんぶん赤旗」4月21日
『hana Vol.51』

●加藤圭木[監修]『 ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち 
『hana Vol.50』

●生田武志・山下耕平 [編著]『 10代に届けたい5つの“授業”
「朝日新聞」4月8日
『福祉のひろば』2024年4月号

●田野大輔・小野寺拓也[編著]『 〈悪の凡庸さ〉を問い直す
「しんぶん赤旗」4月4日

●清水雅彦[著]『 憲法入門
「しんぶん赤旗」4月7日
「社会新報」4月11日
「週刊新社会」4月24日
「全国商工新聞」4月15日
『マスコミ市民』2024年4月号

【イベント】

「明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか」刊行記念 
福嶋聡さん関口竜平さん(本屋lighthouse)トーク

5/18(土)に開催される『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』の刊行記念イベントに、『 ユートピアとしての本屋』(大月書店)著者の関口竜平さんが出演します。

ジュンク堂書店で長年店長を務め、書店の店頭を多様な言論のぶつかる闘技場にたとえた「書店アリーナ論」を提唱する福嶋聡さん、千葉県幕張の「本屋lighthouse」店主で、反差別・反ヘイトをポリシーとして掲げる「セーファースペース」構築を目指して活動する関口竜平さんをお招きしてのトークセッション。

世代もお店の規模もここまでの経歴も異なるお二人ですが、差別を許さないという態度を明確に表明されてきたこと、書店の在り方について積極的に発言されてきたことは同じです。その上で、ヘイト本を「棚に残す」「棚から外す」と異なる結論に至った背景、書店という空間の在り方について語り合っていただきます。(申し込みHPより)

出演者:福嶋聡、関口竜平、河合南
開場:江古田スタジオラクーンCスタジオ
日時:5月18日(土)19時~21時

※イベントアーカイブを「百年の二度寝ネットショップ」にて販売中です。
購入はこちら

◆関口竜平[著]『ユートピアとしての本屋』


公開オンラインシンポジウム 「フェミニズム教育実践の可能性」が開催されます!

5/25(土)に開催されるオンラインシンポジウム「フェミニズム教育実践の可能性」に、 『 教室から編みだすフェミニズム』(大月書店)著者の虎岩朋加さんが出演します。ぜひご参加ください。

ジェンダー平等の確立は現在グローバルな課題となっており、日本においても、ジェンダーの視点からみえてくる教育の課題とその解決方策への注目が高まっています。ジェンダー平等に向けての教育実践の可能性について、学校現場を踏まえた話題提供をいただき、フェミニズム教育学の視点から議論をおこないます。学校現場と大学院生も含めた研究者との交流、若い世代とベテラン世代との対話を深めることを目指し、幅広い参加をお待ちしています。(イベントHPより)

出演者:久木田絹代(元中学校教員、近刊『なぜ母はこんなに働いているのか―中学生が綴る労働とDV』2024年6月発刊予定)、松本理沙(元高校教員、大阪大学大学院研究生)、虎岩朋加(愛知東邦大学、『教室から編み出すフェミニズム』)
司会:木村涼子(大阪大学)
日時:5/25(土)13時半~16時
開催方法:オンライン配信

◆ 虎岩朋加[著]『教室から編みだすフェミニズム――フェミニスト・ペダゴジーの挑戦』

【今月の赤旗半4段広告】

【編集後記】

先月、目の手術をしました。あまりないことらしいのですが、どんぴしゃでピントが合ったらしく、医師の作業がくっきりはっきり見えました。視界の隅から細い器具が入ってきて、動き回ってピーっと膜をはがして、次には余分なゴミ(らしきもの)を回収していく。見入っていたら、「あまりキョロキョロしないでください」と注意されてしまいました。医学の進歩にまた救われました。医療に限らず、対人援助職に十分な休息と報酬が保障されることは、私たち患者のためでもあるとつくづく思います。(千)


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