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【大月書店通信】第185号(2024/6/28)

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「大月書店通信」第185号をお届けします。

一足飛びに夏が来てしまったような陽気ですね。
6月は1年で最も日の長い季節。今年は雨が少ないせいか、よけいに日の長さを感じます。昨年ソーラーパネルを載せた我が家では、日に日に発電量が伸びていくのがわかるので、ちょっと楽しみでもあります。

今月の新刊『市民エネルギーと地域主権――新潟「おらって」10年の挑戦』は、新潟で市民主体の再生可能エネルギー事業を育ててきた政治学者の佐々木寛さんが、その歩みの中での思索を綴った一冊。
佐々木さんは、もともと核エネルギーの平和的管理を研究する国際政治学者でしたが、3.11原発事故の衝撃から、地元の新潟で「おらってにいがた市民エネルギー協議会」の立ち上げに加わります。「おらって」はその後10年で県内40か所の太陽光発電所を有し、小水力発電にも挑戦する全国有数の「ご当地電力」に成長しました。
また、柏崎刈羽原発の再稼働を争点とした県知事選と、新潟県独自の原発事故検証委員会にも関わる中で、エネルギーと民主主義、そして地域の自治の深いつながりを現場からとらえてきました。

佐々木さんは現在の社会が「文明的転換」の時にあると考えます。資源と富の偏在を前提とする化石燃料や核エネルギーは、独裁や独占、果ては戦争を招き、気候崩壊の危機を加速させます。それに対抗するものとして、住民が主体となる再生可能エネルギーは地域経済を自立させ、民主主義を育てる「地域分散ネットワーク型社会」の下部構造となります。

日々の政治に目を向ければ、その変わらなさにうんざりしがちですが、時には地球規模の巨視的な視点から、大きな移行期にあると考えることで希望が見えてくるかもしれません。

◆ 佐々木寛[著]『市民エネルギーと地域主権――新潟「おらって」10年の挑戦


【新刊案内】『市民エネルギーと地域主権』ほか6月の新刊3点

6月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。(定価はすべて税込)

●自立した市民が持続可能な地域社会をつくる
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市民エネルギーと地域主権――新潟「おらって」10年の挑戦
佐々木寛[著]1,980円
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持続可能な地域づくりはエネルギー自立から――新潟で10年にわたって市民主体の再エネ事業を育ててきた政治学者が、エネルギーシフトと民主主義の不可分の関係、そして危機の時代を超える「文明の転換」への道を語る。

●特集=学校統廃合はだれのため?――公共を地域にとりもどす
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月刊クレスコ 7月号(no.280)
クレスコ編集委員会 全日本教職員組合(全教)[編]825円
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国主導の公共施設再編で学校の統廃合、複合化・集約化が進み、国はもはや教育学的な根拠を顧みていない。子どもの教育権を保障し、地域の基盤・防災拠点である学校を守り、公共をとりもどす対抗軸となる各地の住民運動を紹介。

●特集=テレビと政治の30年(後編)
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放送レポート 7月号 no.309
メディア総合研究所[編]550円
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●ドキュメンタリー台本●番組批評●制作者の素顔●ラジオの現場から●スポーツとマスコミ●映画の中のマスコミ●話題の本から●放送をめぐる動き
ほか

【話題の本・本の話題】

『赤いボタン』が「第57回夏休みの本」に選定されました

岡本央[写真・文]『 赤いボタン』が「第57回夏休みの本(緑陰図書)」に選定されました。この機会にぜひ読んでみてください。

夏休みの本(緑陰図書)は、夏休みの間に読書に親しみ、多くの読書をすすめるために選んだ図書のリストです。 夏休みにこそ読める長編、気軽に読める短編、夏の季節を味わえる図書などを小学校の低・中・高、中学校、高等学校のグレードごとに8冊、計40冊を毎年選定し紹介しています。( 全国学校図書館協議会HPより)
「第57回夏休みの本」リストは こちら

『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』の著者インタビュー記事が、「ハフポスト」で、公開されました

「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』『 ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち』(大月書店)著者の朝倉希実加さん、李相眞さん、牛木未来さん、熊野功英さんのインタビュー(「 韓国アイドルの日本語や兵役と、日本の植民地支配の歴史。学生たちが「政治と文化は別もの」に抱く違和感」)が「ハフポスト」で公開されました。

韓国カルチャーの人気が広がる一方、日本では、差別感情をあおる「嫌韓本」が売られ、朝鮮植民地支配を正当化したり、その歴史を否定したりする動きが後を絶たない。韓国カルチャーを好む市民の間でも、日本と朝鮮半島の歴史について話すことは避けられがちだ。そんな状況を受け、「歴史と文化はわけて考えていいのか」「楽しいことだけ見るのは文化の消費ではないか」と問いかけた本が、一橋大学で朝鮮近現代史を学ぶ学生たち(出版当時)が執筆した『 「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』と、その続編『 ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち』(大月書店)だ。

文化が好きだとしても、歴史を知らなければ差別に加担してしまうこともある。たとえば、韓国人が話す「日本語」も、男子の兵役義務も、掘り下げれば日本の加害の歴史と繋がっている。( インタビュー記事より)

最近の新刊の書評掲載

●清水雅彦[著]『 憲法入門
「思想運動」6月1日

●生田武志・山下耕平 [編著]『 10代に届けたい5つの“授業”
「全私学新聞」6月3日

●加藤圭木[監]『 大学生が推す 深掘りソウルガイド
「ふぇみん」6月15日

●加藤圭木[監]『 「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし
前田エマ『アニョハセヨ韓国』(株式会社三栄、6月刊)

●加藤圭木[監]『 ひろがる「日韓」のモヤモヤとわたしたち
「マスコミ・文化 九条の会 所沢 会報」 5月5日

●岡本央[写真・文]『 赤いボタン
『この本読んで! 2024年夏号』

●岡本央[写真・文]『 火のトンネル
『この本読んで! 2024年夏号』

【イベント】

『大学生が推す 深掘りソウルガイド』刊行記念 金富子さん×一橋大学社会学部加藤圭木ゼミ「ソウルの街とわたしたち」が開催されます

2021年、出版と同時に大きな話題を集めた『 「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』から3年、新たなメンバーも加わり、新しい視点で創り出されたソウルのガイドブック『 大学生が推す 深掘りソウルガイド』の刊行を記念したトークイベントを開催します。

当イベントでは、植民地朝鮮ジェンダー史の研究者で、韓国文化にも造詣の深い金富子さんをお呼びして、本書の魅力について語っていただきます。そしてそれを踏まえて、私たちが本書を制作するなかで考えてきたソウルという街と私たちの関係についてもお話しします。本書でも意識的に取り上げたフェミニズムに関連するスポットなどについても深掘りする予定です。( CHEKCCORI HPより)

出演者:金富子(キム・プジャ)、一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール
場所:CHEKCCORI(チェッコリ)
日時:7月13日(土)18時~19時30分
開催方法:会場参加(定員20人)・オンライン(定員80人)あり
参加費:1,650円(会場orオンライン)/オンライン参加+『大学生が推す 深掘りソウルガイド』書籍付き券3,500円(税、送料込み)
※お申込みは こちら

◆ 加藤圭木[監]『大学生が推す 深掘りソウルガイド


「BOOK MARKET 2024」に出展します

​​​​​​BOOK MARKET 2024は、7月20日(土)~21日(日)に浅草・台東館7階で開催です。本当に面白い本が大集合する本の夏祭り。ここでしかない本との出会いを楽しみに、ぜひお越しください。

3冊以上お買い上げの方に橋本太郎さんのイラストエコバッグをプレゼント!A4版の大きめ絵本も入るサイズです!( アノニマ・スタジオHPより)

場所:東京都立産業貿易センター 台東館
日時:7月20日(土)~21日(日)10時~17時
BOOK MARKET Facebookページで、出展社の紹介をしています。


『包括的性教育をはじめる前に読む本―社会を変える性教育』刊行記念
池田賢市さん虎岩朋加さんトークイベント開催!

8月1日(木)に開催される『包括的性教育をはじめる前に読む本―社会を変える性教育』の刊行記念イベントに、『 教室から編みだすフェミニズム』(大月書店)著者の虎岩朋加さんが出演します。

今回のトークイベントでは、教育学がご専門のお二人に、なかなかジェンダー平等が実現しない日本の現状を変えるためには、どうすればいいか、それぞれの著書を踏まえながら、話し合っていただきます。( 申し込みHPより)

出演者:虎岩朋加、池田賢市
場所:Readin’ Writin’ BOOK STORE
日時:8月1日(木)18時30分~19時
開催方法:会場参加・オンラインあり
参加費:1,500円(会場orオンライン)/1週間のアーカイブ配信あり
※お申込みは こちら

◆ 虎岩朋加[著]『教室から編みだすフェミニズム――フェミニスト・ペダゴジーの挑戦

【今月の赤旗半4段広告】

【編集後記】

最近わが子が朝起きない。体調悪いと言って学校も休みがち。なのに夜はタブレットいじって動画見たりゲームしたり。「目の使い過ぎ!」「早く寝なさい!」なんて注意していたら、起立性調節障害と診断されました。上から目線だったなと深く反省しました。(K)
※起立性調節障害:めまいや立ち眩み、朝が起きられない等の症状を呈する病


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