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面接官の憂鬱

突然ですが、私は仕事で面接官をする事があります。

勤めている会社が建設業を本業としている中小企業なんだけど、事業の中に人材派遣や施設の運転管理といった業務があり、そこの施設が正常に運営出来るよう人の手配を行なっている関係で、人が辞めたり移動になると必要に応じて求人を出して採用活動を行うのです。

で、その求人に応募された求職者の方の対応をやってるんだけど、なんだろう、応募者にめちゃくちゃな人が多すぎてムカつくんですよね。
いや、まぁ、めちゃくちゃな人を相手にしないくらい弊社の募集条件が良く無いのが問題なんだろうけど…。

そんな訳でめちゃくちゃな人たちのエピソードをせっかくだから(?)まとめておこうと思い記事にします。

短パンじじい

夏にね、面接の予定が入ったんです。
まぁ当たり前なんだけど暑いんです。

面接は基本的に施設や工場内で行なっているので、待ち合わせは外が基本なんです。
かつ、大体の施設は入り口が多く敷地も広いので、待ち合わせの連絡の際に間違いがないように場所・時刻を案内して、連絡先も念のため聞いて、当日の待ち合わせに臨むんだけど、この時はちょっと違ったんです。


〜求人応募の連絡を貰った電話でのやり取り〜
「当日の待ち合わせに使用するので携帯電話の番号を教えていただけませんか?」

応募は固定電話からだった。
当日は現地でやり取りする可能性もあるので携帯電話の番号を控えるのがいつものやり方。

「持ってないです」

相手からの返答は意外なもので、携帯電話を持ってないとのこと。
まぁそんなこともあるかと思い、じゃあ万が一当日に事故に遭って来れなくなってしまったりした際にこちらも心配してしまうので、どなたか親族の方の連絡先を教えてくれないかと聞くと叔父の連絡先を教えてくれた。(ちなみに応募者は50代前半、叔父は60代後半)
まぁなにかあっても連絡先あればいいかと思い、一応私の連絡先を伝えて面接当日を迎えることになりました。

で、当日の待ち合わせ場所、待ち合わせ時間になっても来ないっていう。


大丈夫、まだ慌てるような時間じゃない。
施設もちょっと駅から離れている所にあるので15分くらいの遅刻は全然ある。

そんなことを考えながら炎天下の中待つ事15分。まだ応募者は来ない。

大丈夫大丈夫、まだ慌てるような時間じゃない。
こんなこともあろうかと緊急連絡先を貰っている。
応募者の叔父に聞けば何か分かるかもしれない。

叔父に電話する
「突然の電話すみません。私、○○株式会社の大塚と申しまして、本日△△様と面接の約束をしていたのですが、時間になっても見えません。何かご存知ないでしょうか。」

叔父「15年くらい会ってないから、知りません。失礼します。」ガチャッ

ええぇぇ…、何のための緊急連絡先なんだ…
そして結局本人の行方も不明だし、どうしたらいいんだ。
そんなふうに一瞬途方に暮れましたが、面接のドタキャンとか採用後のバックレとかは割と良くあることなので忘れることにしました。

とりあえず汗だくの私は施設の事務所に戻り、従業員には面接バックれられた件を伝えて笑い話にして過ごしていたんですけど、しばらくしたら事務所に電話がかかってきました。

電話に出たら、かけてきたのは警備員室の人らしく、面接に来たって主張してる男性がいるんだけど何か知らないか。という連絡で、その男性の名前を聞いてみたら今日待ち合わせしていた男性だったので、ウチの客なので迎えに行く旨を伝えて謝罪。
関係者以外立ち入り禁止の入口から施設に入ろうとしていて呼び止められたらしい。何してんだ。

仕方ない、まだ慌てるような時間じゃ無い。
早速警備員室に迎えに行く。
受付の警備員さんに強めに謝罪をして通してもらう。
そしてお待ちかね、求人応募者との顔合わせ。
そこにはヒョロヒョロのお爺さんがいた。

「へへ、すみません、場所がわからなくて、へへ」

もうね、迎えに行く前から分かってたよ。
こいつはハズレだよ。
膝上くらいの長さの薄い生地の短パンに、乳首が透けるほどの皺くちゃのTシャツを着てる男ははにかみながら挨拶してきた。

ため息をグッと堪えて、一縷の望みを抱き、とりあえず面接をするために自社の事務所に案内する。
夜中にコンビニに行くような格好のおじいちゃんを引き連れて歩く様は他社から見ればなんだあの会社って思われること間違いなし。
それでも仕方ない、人手不足なんだから。
とりあえず面接をして話を聞いてみたらこんな格好のおじいちゃんでもなんとか使い物になるかも知れないと思いながら事務所に案内する。

刺さるような周囲の視線にギリギリのところで耐え、事務所の椅子に着席させて絞り出すように質問をする。

「とりあえず、今日はお越しいただきありがとうございます。本日面接を担当する大塚です。早速ですが履歴書を見せていただけますか?」





「あ、すみません、履歴書忘れました。へへ。」

「分かりました。今回はご縁がなかったという事で、今日のところはお引き取りください。ありがとうございました」




〜fin〜

なんなんだよ。もう。

別の人のエピソードに続く。(鬱)

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